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「英語はでかい声で」 会話上達、フィリピン人見習え 東進ハイスクール英語講師 安河内哲也氏

2016/11/12

 グローバル化が急速に進む日本。2020年度の大学入試改革で英語のテストに「スピーキング」が加わるのは必至の情勢だ。受験科目になると、とたんに目の色を変えるのが日本人。若年層のスピーキング力は一気に高まりそうだ。では英語が不得手なビジネスパーソンはどうすればいいのか。東進ハイスクールのカリスマ英語講師として知られる安河内哲也氏に、簡単にスピーキング力を上げるノウハウを聞いた。

■2020年度にも大学受験に「スピーキング試験」

 「20年度から大学受験の英語テストは革命的に変わります。読み書き中心からリスニングが増加、そして新たにスピーキングが加わるでしょう」。文部科学省の「英語教育の在り方に関する有識者会議」委員でもある安河内氏はこう語る。

 大学入試の在り方は20年度に抜本的に見直される方向だが、その目玉になるのが英語のテストだ。「まだ案の段階ですが、英語は読む、書く、聞く、話すの4技能が問われ、均等に評価されるようになる可能性が高い」と安河内氏は語る。ただ、スピーキングのテストにはネットワーク機器などインフラが必要、予算などコストの課題もある。大学関係者のなかには「20年度の一斉導入は非現実的」との声もある。ただ、欧米やアジアの主要国ではTOEFLやIELTS(アイエルツ)など民間の4技能テストを就学基準に採用している大学は少なくない。「民間のテストをうまく活用すれば、壁は高くない」と安河内氏も話す。

 ではどうやってスピーキング力を測るのか。面接官と英語で会話し、採点すると同時にネットワーク端末を通じて第三者が評価してより公平性を担保する方法がある。さらにAI(人工知能)などIT(情報技術)を活用して迅速に判定・評価する方法もある。

 在日米国大使館などが採用している英語力測定テスト「VERSANT(ヴァーサント)」はもっとも簡単にスピーキング力を測る方式だ。わずか17分間の英会話テストで、その5分後には結果が出る。電話やパソコンを通じてネーティブスピーカーが質問し、それに答えるというやり方だ。AIで英会話の内容でチェックし、スコアを決める。日本では楽天などがすでに採用している。

東進ハイスクール英語講師 安河内哲也氏

 日本や韓国、中国など東アジアはいずれも「受験国家」だ。中国の役人登用試験「科挙」で培われた歴史の影響もあり、試験でエリートを選抜するという色彩が今も強く、受験の在り方は社会にも大きな影響を及ぼす。

 安河内氏は「1990年代まで韓国人は日本人同様に英語をしゃべるのが苦手だったが、受験や企業でスピーキング力が問われるようになり、ガラッと変わった。韓国企業の20歳代社員は、英語がペラペラな人が急激に増えた」という。

 20年度の東京五輪の年を境に、日本の英会話の潮流が一気に変わる可能性はある。企業のグローバル化が進むなか、楽天のみならず、大手商社や大手メーカーでもスピーキング力を問うテストが導入されるのは必至だ。では中高年などの英会話が不得手なビジネスパーソンはどうすればいいのだろうか。

■フィリピン英語をお手本に

 安河内氏は「いや、発音なんて気にしすぎなくていいのです。スピーキングテストも実際のビジネスも内容重視です。とにかく間違えてもいいから、しゃべりまくること。時制とか、助動詞とか、神経を使いすぎる必要はない。インドやフィリピンなどESLの国の英語が手本になるでしょうね」と助言する。

 ESLとは「 English as a Second Language」の略で、英語を第2言語にしている国をさす。日本はEFL(English as a Foreign Language)という英語を外国語として扱っている国だ。「英語は英国や米国の言語という以上にグローバルな言語です。グローバル企業の役員会では、インド系などアジア人も増えていますし、よりシンプルな英語を話すように欧米人も心がけている。日本の中学英語で習う単語でも日常会話なら問題はない」と話す。

 さらに安河内氏は「英語はでかい声で話すことが大事です。日本人の英語が通じないのは9割方が声が小さいからだ」という。日本のビジネスパーソンは普段の会話でも大声を出すことは控えるが、「米欧の企業のビジネスパーソンは声が大きい。しかも会話にすぐ割り込む」。商慣習や企業文化の違いだが、日本人もある程度の意識改革は必要だろう。

 具体的な英会話習熟法はあるのだろうか。安河内氏は「最もコストが安く、簡単な方法は、フィリピンなどESL国の講師との無料インターネット電話「スカイプ」を使った学習だ。毎日25分でフィリピン人としゃべって月5000~6000円ぐらいのコスト負担で済む」と話す。スカイプを活用したオンライン英会話は急速に普及している。フィリピンは人件費が安いが、「普通に教育を受けた人なら、結構しっかりした英語を話す。米国企業はコールセンターとしてフィリピンなどESLの国をよく活用している」(安河内氏)。今やフィリピンのセブ島は格安の短期英語学習の留学先となっている。

 カリスマ英語講師の安河内氏の口癖は「英語は机で勉強するな! 外に出て行って、ガンガンしゃべることですね」という。英語の苦手な中高年のビジネスパーソンでもまだ間に合うかもしれない。

安河内哲也氏(やすこうち・てつや)
1967年福岡県生まれ。1990年上智大学外国学部卒。東進ハイスクール・東進衛星予備校英語科講師、実用英語推進機構代表理事。文部科学省の「英語教育の在り方に関する有識者会議」委員など歴任。

(代慶達也)

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