誰が買うの? お値段3億円、アストンの新型車
写真はアストンマーティン・ジャパンが2016年10月3日に日本で初公開した「AM-RB001」のコンセプトモデルだ。実車はおよそ3億円という価格ながら、既に購入待ちの顧客は約600人というから驚く。
限定販売数は150台と公表されているため、すべての希望者が手に入れられるわけではない。そこで「Lagonda Taraf」「One-77」「Vulcan」などのアストンの特別モデルを所有するユーザー、つまり生粋のアストンファンを優先するという。そんな厳しい条件下でも日本には約10台が上陸予定らしい。
プロトライプ含めて150台生産のハイパーカー
AM-RB001は英国スポーツカーブランド、アストンマーティンと、F1コンストラクターであるレッドブル・レーシングのコラボレーションにより誕生したハイパフォーマンスカーだ。ハイパフォーマンスカーとは、近年登場してきた見た目や性能などでスーパーカーを超えるものを指す呼び方である。
公開されたのは、2016年3月に「F1オーストラリアGP」で初公開されたモデルと同じプロトタイプ。サーキットから抜け出たようなスタイルで、F1マシンにキャビンを取り付けたような低いシルエットのボディーを持ち、2人乗りのキャビンを備える。パワーユニットとしては、新開発の高回転型の自然吸気V12気筒エンジンをミッドシップにレイアウト。車両重量をエンジンの最高出力で割ったパワーウエイトレシオは、わずか1.0。開発には、レッドブル・レーシングが培ったF1技術が採用されているという。
公開されたコンセプトモデルはデザインを見せるためのモックアップだが、開発は進んでおり、公道走行可能なロード仕様とサーキット走行に特化したサーキット専用仕様の2種類が用意される予定。ロード仕様も街乗りだけでなくサーキット走行にも対応し、低速でのドライブでも楽しさが感じられるクルマに仕上げているという。
生産台数は開発用のプロトタイプを含めて限定150台で、このうち25台がサーキット専用車になる予定だ。生産はアストンの専用工場で行われ、2018年から納車の予定。
2020年にはアストン初のSUVの投入も
同社は2016年8月31日に中核モデル「DB11」の新型を日本でも発表。エンジンやシャシー、サスペンション、インフォテイメントシステムを含む電子系統の開発にメルセデス・ベンツの協力を得た。このDB11のために、専用の工場も新設した。さらに今後、続々と投入する新モデルに対応するため2つの工場を立ち上げ、2017年には「ヴァンテージ」や「ヴァンキッシュ」の新型も発表、2020年にはアストン初のSUVの投入も予告している。
趣味性が高いブランドだけに、販売台数は多くはないが、2016年は日本市場でも販売台数が昨年比126%という好調なペースを見せており、ディーラーも新たに2店舗がオープン。すでに問い合わせが多いというAM-RB001とDB11の導入を機に、より多くの富裕層からの注目を集めるのが狙いだろう。英国車の市場は大きくない日本だが、映画『007』にも登場するクルマとして認知度は高いので、販売を伸ばす可能性はまだまだありそうだ。
(ライター 大音安弘)
[日経トレンディネット 2016年10月25日付の記事を再構成]
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