パタゴニアが食品? 個性派アウトドア食グッズ
キャンプというと夏休みがある7、8月を思い浮かべる人も多いようだが、ベストシーズンは秋。暑い夏とは比べ物にならないほど快適で過ごしやすいうえ、秋ならではの味覚も楽しめるからだ。今回は秋、冬キャンプにオススメしたい、便利なギア&フードを紹介する。
環境にも体にも良い食品専門の部門を日本でも販売開始
パタゴニア「パタゴニア プロビジョンズ」
パタゴニアは1973年に米カリフォルニアで設立された、アウトドア界のパイオニアだ。環境に配慮した製品開発や、環境保護に積極的に取り組む同社が2016年9月、おいしさと原材料にこだわった食品シリーズ「パタゴニア プロビジョンズ」の日本での本格的な展開を開始した。2011年に米国で立ち上げた食品専門の部門だ。
きっかけは、かつて作っていたコットンTシャツに、人体に害を与える化学薬品が含まれていたこと。その事実を知った同社は、人間や地球への悪影響を最小限に抑えるために、全てのコットン製品を100%オーガニックコットンに切り替えた。その結果、有害な化学製品の使用を抑えることに成功したといい、同様の変革を食品業界でも行いたいと考えたのだという。
今回発売されたのは、生息数が豊富な天然魚だけを捕獲して加工したスモークサーモンや、オーガニック農場から調達した果物やアーモンドなどを使用したエナジーバー。アウトドアはもちろん、普段も食べたくなる食品ばかり。携帯性に優れ、手軽に栄養補給できるとあって、まさに、キャンプに最適なフードコレクションだ。
また、ラインアップはフードだけではない。米国シアトルに拠点を置く、高品質のステンレス製ボトル、カップ、タンブラーなどを製造販売するミアー社と開発した「パタゴニア プロビジョンズ:ドライグッズ」も展開。液体を入れても漏れないように工夫した独自のふたで開閉でき、保冷効力は最長24時間、保温効力は最長12時間の頑丈なステンレススチール製のボトル「ミアー・グラウラー(1.9L)」、二重の真空断熱構造を採用した「ミアー・フード・キャニスター(473ml)」など、アウトドアシーンでもオフィスでも活躍しそうだ。
木とメタルのコンビが光る、新形態バーナー
プリムス「オンジャ」
スウェーデン発の燃焼器具メーカー、プリムスといえば1890年初頭、当時のストーブ(バーナー)の燃料として使われていたパラフィンに圧力を加えてガス化することにより、煤(すす)を出さないストーブを発売。それ以来、"ストーブのブランド"として浸透している。
そのプリムスが2016年春に発売したのが「オンジャ」だ。横型で無骨な印象のバーナーが主流の中、木を組み合わせた斬新なデザインが目を引く。魅力はなんといっても省スペースなところ。X字に足が開く構造なので安定感も抜群。
本体は高さもあり、ロースタイル(椅子なら座面の高さが30cm程度、テーブルなら天板の高さが40cm程度)であればスタンドを用いずに使用できるのだ。付属のウッドボードは、硬さと耐久性に優れたオーク材を使用。鍋敷きとして使えるうえ、収納時は五徳の上にのせてふたのように使用することもできる。電車移動でのアウトドアやバーベキュー、女性キャンパーにもオススメのモデルだ。
熱伝導率に優れた、ユニーク構造のケトル
ペトロマックス「fk1」「fk2」「ロケットストーブ」
1910年にドイツで創業した、灯油ランタンでおなじみのペトロマックス。同社の「ファイヤーケトル」は、湯を沸かしながら調理もできる。下段のボウルに小枝や枯れ葉などを入れて燃焼させることで、約3分で湯を沸かすことが可能。内部は煙突構造になっており、熱伝導率が非常に高く、また沸騰すると音で知らせてくれるので、目を離していても安心だ。
下段のボウルには3本の脚がついており、倒れにくいうえ、地面に燃えあとを残さない自然にやさしいデザイン。付属の五徳を使えば、小さめの鍋やカップを置いて、湯沸かしと同時にちょっとした調理ができる。
さらに、ペトロマックスでは小型の薪ストーブもラインアップしている。この「ロケットストーブ」は、直径23.5cm、高さ33cmと持ち運びに便利なコンパクトサイズが特徴。他の薪ストーブと比べてサイズが小さいうえ燃焼効率も良く、その使い勝手の良さで注目を集めている。
超速湯沸かし「ジェットボイル」が、万能クッカーへと進化
ジェットボイル「PCS FLASH」「ジェットボイルミニモ」
米国発のアウトドア調理器具ブランド、ジェットボイルのクッカーは、わずかな燃料で素早く湯沸かしや調理を可能にする。
もともとは無骨で重いアウトドア器具にうんざりしていた創業者のドワイト・アスピンウォールとペリー・ドウストが、"もっと手軽なアウトドア用調理器具を"と開発に着手したのが始まり。2001年スタートとブランドの歴史はまだ浅いが、「バーナーとクッカーを一体型にする」という発想で、一般的なバーナーの2倍近い熱効率を実現した。500mlの水を約150秒で沸騰させ、従来の半分の時間と熱量で湯を沸かせるのだ。全モデル、クッカーの中にすべてのパーツが収納できるオールインワン設計なのも持ち運びに便利だ。
短時間での沸騰を可能にした秘密は、クッカー底面の蛇腹状のフラックスリング。これを配置することで、熱効率を高め、クッカー内の湯に伝達する。一般的なクッカーの熱効率が約30~40%程度なのに対し、ジェットボイルの熱効率は約80%以上で、ガスの消費量も一般的なクッカーの約1/2程度で済む。また、湯を沸かすだけでなく、調理もできる万能型でもある。
クッカー側面を覆うネオプレン製カバーは断熱性が高く、調理中でもクッカーを素手で扱え、ヒートロスも防止。なお、カバーにはスプーンやフォークなどのカトラリーを差し込んで収納できるポケットも付属している。
(ライター 中條彰俊、中澤範龍)
[日経トレンディネット 2016年10月27日付の記事を再構成]
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