知らなきゃ損 簡単・瞬時・お得な金融新サービス
日経トレンディがスタートアップ商品大賞に選んだ製品の中からマネー部門の大賞となったLiquidとモゲチェックを紹介する。
昨今は「フィンテック」という言葉だけが躍り、実生活に結び付く大きなインパクトを持った金融系の新サービスは少ない印象もある。しかしここに来て、決済や資産運用のあり方を根本的に変える可能性を秘めた、驚きのサービスが次々に現れている。まさに「知らなければ損をする」のだ。
Liquid:カード一切不要の「指だけ決済」
ハウステンボスが昨年10月に導入して話題を呼んだ、指紋で決済できる「ハウステンボスマネー」。このシステムを手がけるのがリキッドだ。しかし今や、指紋認証機能は一般的なスマホにも搭載されている。同社の技術の何が優れているのか。
スマホの場合、ユーザーの指紋を登録したいくつかの指紋と照合し、どれかが一致すればよい。しかし、店や金融機関での認証となると、膨大な数の指紋から合致するものを探さなければならず、「時間がかかりすぎてしまう」(リキッド・ジャパン社長の保科秀之氏)。
そこでリキッドは、画像解析のノウハウを生かし、特徴的な模様(特徴点)で指紋を大まかに分類。該当するグループ内だけで一致する指紋を探すことで、時間を大幅に短縮し、数秒以内での決済を可能にしたのだ。
現在は、地方自治体や金融機関もリキッドの技術に注目。同社と組んだイオン銀行は、指紋だけで出金や振り込みができるキャッシュカード不要のATMを実用化した。
今後は指紋認証に対応したレジを中小の店舗に拡販。18年3月までに5万台の納入を目指す。観光客の利便性向上のツールとして、地方自治体などにも売り込む。「指だけ決済」が一般的になる日は近い。
モゲチェック:ローンの借り換えメリットを瞬時に計算
専門家が開発した、最強の「借り換えメリット自動計算サービス」がモゲチェックだ。自分が今借りている住宅ローンの借入額、返済年、金利などを入力すると、全国の銀行120行、1000本以上もの住宅ローンに借り換えた場合の総返済額の変化を瞬時に計算。借り換えメリットの大きいものからランキング形式で表示する。結果は「変動」「5年固定」「全期間固定」など金利の種類別に表示。銀行の設定する事務手数料まで加味されている。
開発元のMFSは、実は住宅ローン借り換えの対面相談を手がけるベンチャー。来店を促す導線としてこのサービスを開発した。「特定の金融機関への利益誘導がない、公平なサービス」(CEOの中山田明氏)として、今後も無料で広く公開していく方針だ。
(日経トレンディ編集部)
[日経トレンディ2016年11月号の記事を再構成]
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