日本でもヒット確実 米国発「最旬」5つの食トレンド
片や地域密着の「フードホール」、片や"全自動"の「イーツァ」。米国では正反対の食のトレンドが生まれている。その他、「窒素飲料」から、注目の「クラフトビールホテル」まで、日本にも上陸しそうな米国発の"最旬"の食の話題をまとめた。
「ご当地フードコート」が大増殖
世界のどの街にもある、青果の卸売市場。だが、ロサンゼルスの中心街にほど近い「グランドセントラルマーケット」は、他の卸売市場とはちょっと様子が異なる。中に入ると目に飛び込んでくるのは、見るからに興味を引かれるカフェやデリ、ピザ店やアイスクリーム店など。もちろん青果も買えるのだが、ここでの主役は、地元でちょっと名の知れた、流行の飲食店たちだ。
こうした場所は「フードホール」と呼ばれ、フードコート、フードトラック(屋台)に次ぐ大型のトレンドといわれる。チェーン店を排除し、出どころのはっきりした、地元が誇る食を集めること。そして、社交場の役割を持たせた広い飲食スペースを備えることが、フードホールの条件だ。青果や魚介の卸売市場がリノベーションでフードホールに生まれ変わる例が多く、生鮮食料品も買える。米国のレストラン業界で最も注目すべきムーブメントといわれている。ロサンゼルスやニューヨークが発祥で、今やデンバー、オースティンなど全米各地の主要都市で新規開業が相次ぐ。
丼メニュー専門の"ロッカー飲食店"
一方、サンフランシスコでは、フードホールの発想とは真逆の無機質な飲食店「Eatsa(イーツァ)」が話題を呼んでいる。「自動」を売りにするボウル(丼)メニュー専門の店。スマホアプリか店内のタブレットから注文し、数分待つと、ロッカーのドア(透明な液晶画面)に自分の名前が表示され、裏側から商品が出てくる。15年に1号店を出して以降、サンフランシスコなどで計4店舗を展開する人気店に成長した。
調理し、商品を出しているのは人間なのだが、表側に店員は全くいない(支払いはクレジットカード)。糖質が少なく食物繊維などが豊富な穀物・キヌアをベースにしたメニュー構成。効率を重視する日本人にもぴったりで、同様のコンセプトの店は近いうちに東京にも現れるだろう。
食感も見た目も新しい発泡食品
食の新たなトレンドでは、窒素を使った飲料、食品にも注目。米スターバックスは16年夏、窒素を加えて泡立てたアイスコーヒー「ニトロ・コールドブリュー」(ニトロは窒素の意)の提供を一部の店舗で始めた。ビールのように専用サーバーから注ぐ。口当たりが良いだけでなく、見た目のインパクトも大きいことから話題を集めている。窒素を使うと、ギネスビールのような、細かくまろやかな泡立ちになり、口当たりが格段に良くなる。アイスクリームチェーン「クリームス&ドリームス」は、液体窒素で瞬間冷凍させ、食感を良くしたアイスクリームを発売。日本でも流行しそうだ。
新種の"スシ丼"、自由度の高さから人気に
ハワイ発の海鮮丼の一種・ポキが人気急上昇中。米国では丼メニュー自体の人気が高まっている他、魚を選べるなどメニューの自由度が高い点も支持されている。写真はハリウッドなどに店を構える「ポキノメトリー」。
限定ビールも飲める、メーカー独自の宿泊施設
飲料メーカーが、ファンとのつながりを深める手段としてホテルを開業する。著名なクラフトビールメーカー、ストーンブリューイングが西海岸に開業するホテルは、館内に3つのバーを設置。到着時の無料ビールサービスの他、限定ビールの提供も計画する。
(日経トレンディ編集部)
[日経トレンディ2016年12月号の記事を再構成]
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