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五輪会場、整備費なぜ高騰? 背後に潜むTV放映権料

オリパラ学(7)

2016/11/4 日本経済新聞 朝刊

 五輪のテレビ放映権が日本で一般に初めて注目されたのは、1980年モスクワ大会の国内向け中継をテレビ朝日が独占した時だった。結局、日本はボイコットして不参加となり、独占の意味はなくなってしまったが、この時の放映権料は当時の為替レートで約20億円程度だった。

 その後、84年ロサンゼルス大会から商業化にかじを切ったことで五輪の放映権料は高騰を続け、2018年平昌、20年東京の2大会セットの日本向け放映権料は660億円。桁違いなのは米国で、14年から32年までの夏冬10大会の中継を独占した米NBCが支払う総額は約120億ドル(1兆2600億円)にも達する。

 実は競技会場の整備費が高騰するのも、テレビ中継と関係している。破格の契約をしたテレビ側はそれに見合った映像を求める。世界中に配信される国際映像は、現在は国際オリンピック委員会(IOC)が設立したオリンピック放送機構(OBS)が、競技ごとによりすぐりのスポーツ映像制作会社やテレビ局を選定し、制作を委託する。98年長野五輪の国際映像制作を担当した元NHKの杉山茂氏は「プロ意識の高い彼らが、過去にない斬新な映像を作ろうとこだわるため、設備への要求が厳しくなる」と説明する。

 ボート競技の会場に並走路や仮桟橋の設置が求められるのもそのためだ。組織委が制作側と交渉して設備を削減することは可能だが、各競技の国際団体(IF)も黙っていない。IOCに入る放映権料が、テレビ視聴者数などで決まる競技の評価ランクに応じて各IFに分配されるためだ。かくして開催経費は膨れあがっていく。

(編集委員 北川和徳)

[日本経済新聞2016年11月4日付朝刊]

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