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文明の利器や! 膝を打った愛用バッグ(森見登美彦)

毎日持ち歩いているフェリージのショルダーバッグ

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NIKKEI STYLE

「モノを買うのが苦手」「モノを買って気に入った経験があまりにも少ない」「どうせ僕なんかにいい買い物ができるわけない」と嘆くのは『夜は短し歩けよ乙女』『四畳半神話大系』などで知られる作家の森見登美彦さん。結果的にモノをあまり買わなくなったという森見さんですが、彼が取材旅行から日々の外出まで常に持ち歩いているかばんがあります。「金額を聞いたときは戸惑ったけれど、引くに引けず(笑)」購入した、そのかばんの魅力とは?

京都大学大学院在学中に書いた、『太陽の塔』で2003年に小説家デビュー。以来、たぬきとてんぐと人間が織りなす喜劇『有頂天家族』、バラ色のキャンパスライフを夢想する男子大学生を描いた『四畳半神話大系』など、数々のベストセラーを生んできた森見登美彦さん。ファンタジーと現実が交錯するその世界観や、ユーモアたっぷりの文体にファンも多く、"モリミー"の愛称で親しまれています。そんな奇想天外な作品で魅了する作家自身は、日常生活でどのようにモノを選び、購入しているのでしょうか。

「僕なんかにいい買い物ができるわけがない」。そう常々思っている

モノを買うのが苦手です。

買い物好きな人っているじゃないですか。用途や値段を調べて、比較検討して納得して買う、っていう。僕はその、モノを選ぶエネルギーが限りなく小さいんです。本であれば、これが読みたい、これを買おうって意識せずに力を注げるし、素直に買えるんですが、モノや洋服はどうにもダメ。買い物行為を楽しめる人を尊敬します。

僕だって、いいモノが買えたらうれしいんですよ。ただ、モノを買って気に入った経験があまりにも少ないので、その失敗実績の数々から「どうせ僕なんかにいい買い物ができるわけない」との絶望感が根本にあったりもします(笑)。だから、あまりモノを買わないです。

こだわりは強いんですよ。気に入らないモノの中では暮らせません。部屋は片づいているほうだと思いますし、自分の好きなモノだけが周囲にあってほしい。

衝動的に買ったものの、しばらくしてから「違う」と納得できなくなることもあります。気に入らないモノがあると、気が散るし腹が立ってきます。そうなると、我慢はしません。処分します。

最近だと、数年ガマンしていた1人用のソファを処分しました。捨てるのはもったいないから、欲しいという友人にあげました。

気に入るモノだけで満たしたい、というのは、僕の小説の作り方と、通じるところはあるのかもしれません。小説で大切にしているのは、物語の世界をいかに立体的に構築できるか。その世界を構成するのは、僕があれこれと勝手気ままに想像して頭に浮かんだ妄想の数々なんですが、この妄想の断片をつなぎ合わせて、お話自体も、好きなものでいっぱいにしたい。

とはいえ、ストーリーの都合やつじつま合わせなどで、どうしても"純度"の低い要素を入れないといけない。手打ちそばでいう"つなぎ"ですね。その加減が難しくて、書き上げた作品であっても、僕の妄想の密度が低いと嫌気がさして、なかなか完成に至らないんです。

かばんといえば、ハンドバッグかリュックサックの2択しかなかった

そんな僕が、とても気に入って使っているのがこのかばんです。4年前に買って以来、日常でも旅行をするときも、コイツを連れて動き回っています。

 森見さんが愛用しているのは、イタリアのバッグ・革小物ブランド「フェリージ」のショルダーバッグ。ナイロンとレザーの組み合わせのカジュアルながら落ち着いたデザイン。マチの広さ、フロント立体のファスナーポケットなど収納力も高い。内側には小ポケットが2つ付いており、森見さんはここに財布とメモ帳を縦にきっちり収納。肩掛けしたまま「出し入れもしやすくとても使いやすい」とか。5万6160円 (税込み/フェリージ公式HPより)

このかばんを買うまで、僕はショルダーバッグという代物を使ったことがありませんでした。かばんといえば、手に持って片方の肩にかけるタイプか、背負うリュックサックの2択しか認識していなくて。僕は、いつもリュックを背負っていました。

リュックを使っていたのは、単に大学時代の名残です。学生のときは自転車に乗っていたから、両手を自由にしたい。必然的にリュックでした。学生を終えて自転車の制約はなくなったわけですが、かばんの認識は更新されないままでした。

ところがあるときから、リュックの特性を煩わしく思い始めました。モノを出し入れするのに、その都度背中からかばんを下ろさないといけない。もっとこう、動きに無駄が生じないかばんってないものなのかなあと。

街ゆく人をなんとなく眺めていたら、斜めにかばんをかけている人がいると知り、便利に違いないと気がつきました。ものすごく遠まわしな発見なんですけど(笑)。

そんなタイミングのときに、イメージ通りの形状のかばんを見つけたんです。僕は京都にある仕事場まで電車で通っているのですが、かばん屋さんは、四条烏丸の交差点の北西にあるビルの1階にあって、地下鉄烏丸駅から仕事場への順路に位置していました。いかにもおしゃれで高級そうな光を放っているその店に、このかばんが並んでいたんですよね。

僕のかばんの常識を超えた値段だったけど勢いで購入

そして、何かむしゃくしゃしていたある日、いつも目に入っていたおしゃれなかばんを買ってみたくなったんです。お店にフラッと入り、入るやいなや「これください!」とお願いしました。

どういうブランドかも知らないし、値段すら見ていなかったので、金額を聞いたときは戸惑いました。5万~6万円したと思います。僕にとってのかばんの値段の常識って1万円前後。それをはるかに超えていましたからね。普段持ち歩いているモノの中で、一番高いんじゃないですかね。

使ってみたら、「文明の利器や!」と膝を打つほどでした。

サイズも、中の構造も素晴らしいんです。ファスナーを開けたときに、財布と手帳が縦にぴったり並べて収納できます。斜めにかけて、さて中身を取り出そうと体の正面にかばんを移動して開くと、お財布と手帳が僕の体のほうにぴょこっと倒れて、取り出しやすくなります。完璧なデザインです。

はずみで手に入れた高級品でしたが、いい買い物ができたと満足しています。定期的に布でふいたり、防水スプレーをかけたりと、僕なりに手入れもしています。

かばんの中に入れているのは、財布、スケジュール帳、メモ帳、文庫本、エコバッグ、音楽プレーヤー。そして、晴れでも雨でも(出し入れが面倒だから)折り畳み傘。仕事の日も、そうじゃない日も、常に肩からぶら下げています。

◇  ◇  ◇

最新作『夜行』(小学館)では、執筆のための取材旅行で、日本国内のあちこちを回ったそう。そのときも、このショルダーバッグは欠かせなかったといいます。後編では、このバッグの中にいつも入れている執筆のためのメモ帳について語っていただきます。話はメモ帳の使い方から始まり、森見さんの小説の作り方にまで広がっていきました。

森見登美彦(もりみ・とみひこ)
1979年、奈良県生まれ。京都大学農学部大学院修士課程修了。2003年に、妄想過多な男子大学生がクリスマスで盛り上がる京都の街を疾走する『太陽の塔』で、日本ファンタジーノベル大賞を受賞して作家デビュー。07年に『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞、10年『ペンギン・ハイウェイ』で日本SF大賞を受賞する。『四畳半神話大系』『有頂天家族』はアニメ化された。キテレツな青春ファンタジーの書き手として存在感を放っている。
私のモノ語り/森見登美彦
 前編 文明の利器や! 膝を打った愛用バッグ
 後編 小説家がiPhoneでメモだと夢がない

(ライター 平山ゆりの/写真 鈴木芳果)

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