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再び提言「やっぱりやめよう、保険での貯蓄」 正しい保険選びの考え方(6) 生活設計塾クルー 浅田里花

2016/11/2

 第1回で「保険料は助け合いへの参加料 貯蓄にあらず」と述べましたが、「貯蓄性のある保険」と捉えられている保険が存在するのも事実です。果たしてそれらは貯蓄として有効なのか、いま一度、保険と貯蓄の関係について整理しておきましょう。

■「保険」が貯蓄になると考えられてきた経緯

 ちょっとおさらいですが、保険の最大の役割は「保障」です。死亡、入院・手術、就業不能など、その保険商品が対象とする経済的リスクを被った場合に保険金・給付金が受け取れ、家計を守れるというのが期待される役割です。それら経済的リスクは、みんなに降りかかるものではありませんが、大勢の人数だと年齢・性別ごとに一定の発生確率が認められるもの。それが自分やわが家に当たるかもしれないので、事前に備えておこうと保険を利用するわけです。

 場合によっては、少ししか保険料を支払っていないにもかかわらず、大きな保険金を受け取ることになる可能性もあります。でも、それって「得」でしょうか? 保険金を受け取らずに過ごせるほうがずっと幸せですよね。だから、保険に加入して見返りを求めるのは、あまり正しい考え方とはいえないのです。保険料はあくまで「助け合いの参加料」として支払い、「掛け捨て」になってもやむなしと割り切るべきでしょう。

 けれども、「保障」や「サービス」のような形のないものにお金を払う感覚が育つ前だったせいか、日本で保険が普及していく過程では、「養老保険」のような満期保険金の受け取れる保険が主流になりました。月々保険料を支払い続け、将来の満期時には満期保険金が受け取れるとなると、銀行などの積立貯蓄をしているのと同じ感覚になります。事実、当時は支払った保険料総額よりも多い満期保険金が受け取れ、結果的に貯蓄になりました。いまの年金世代が現役だった頃、まだそういう名残がありましたから、「保険は貯蓄になる」と刷り込まれている人は少なくありません。

 しかし、養老保険も保険ですから、加入者が満期を迎えるまでに死亡した場合には、満期保険金と同額の死亡保険金が支払われます。それまでの積立金にプラスして保険金が支払われるよう、商品設計されているわけです。つまり加入者は、死亡保障のための掛け捨て保険料(運営経費に回る保険料を含む)と、将来の満期保険金準備のために積み立てられる保険料を合わせて払っているかたちになります。

 1993年ごろまでは、積立金に約束された運用利率(予定利率)が5%台と高かったため、運用収益が掛け捨て部分を補って余りあり、いかにも支払保険料の全額が貯蓄されているかのように見えました。しかし、その後相次いだ予定利率の引き下げで、積み立て部分の収益性は見る影もなくなっています。

■なぜ平気? 保険での「元本割れ」

 今でも養老保険を取り扱う保険会社はありますが、「死亡保障」が目的であれば、保険料が安い掛け捨て型の「定期保険」を利用したほうがずっと合理的。保障も欲しいけど貯蓄もしたいというのであれば、「貯蓄」の部分は保険とは切り離して預貯金や投信などの金融商品を利用すべきです。

 けれども、一度付いた「保険は貯蓄になる」というイメージには根強いものがあります。養老保険のバリエーションである「学資保険」人気が、その一例として挙げられるでしょう。赤ちゃんが生まれたら学資保険に入るのが半ば常識化していますが、皆さんはいくら払っていくら受け取れるのかよく確認しているでしょうか? 満期保険金や祝い金などの受取総額が支払保険料総額より少ないケースもあることに、気付かない人も大勢いるようです。

 支払った金額よりも受取額が少ないのであれば、すなわち「元本割れ」です。「投資信託など、元本割れするかもしれない金融商品は怖い」と考える人は多いのに、貯蓄のつもりで加入した保険での元本割れに無頓着なのは不思議。保険でも金融商品でも何でも、中身をよく確認してから利用する癖をつけておきたいものです。

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