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広瀬アリス 主演映画2作に舞台 女優として飛躍へ

日経エンタテインメント!

2016/11/3

1994年12月11日生まれ。静岡県出身。08年、映画『死にぞこないの青』で女優デビュー。10年に昼ドラ『明日の光をつかめ』に主演した。17年1月には、ヒロインの小林みち子役を務める『釣りバカ日誌 SP』(テレ東系)が放送される(写真:佐賀章広)

 小学校6年生のときに地元・静岡でスカウトされ、08年にデビューした広瀬アリス。映画『銀の匙 Silver Spoon』(14年)やドラマ『釣りバカ日誌~新入社員 浜崎伝助~』(15年)でヒロイン役を務めるなど、着実に女優としてのキャリアを積んできた彼女が、さらなる飛躍を遂げようとしている。この秋以降、『L-エル-』(11月25日公開)と『巫女っちゃけん。』(17年公開)の2作の映画で主演を務めるのだ。

 『L-エル-』はロックアーティスト「Acid Black Cherry」が2015年2月に発表した同名コンセプトアルバムを映画化した作品。広瀬は、愛を求めて懸命に生きる主人公・エルの生涯を、特殊メイクも用いて10代から老女まで演じる。

 実年齢より2~3歳上の役は演じたことがありますが、一気に老女まで(笑)。ドアを握るときに少し手が震えたり、歩き方がゆっくりだったり、研究して演じたので、貴重な経験になりました。

 おばあさんの特殊メイクは、完成まで2時間くらいかかりました。特殊メイクは何がつらいって、皮膚呼吸ができないんですよ。だから本来は長くて10時間が限界だそうですが、私は18時間その状態で撮影しました(笑)。

 エルは、「どうしてこういう男の人にはまってしまうのかな」と思ってしまうような恋愛ばかり(笑)。波乱万丈で、感情の起伏も激しいんです。いろんな感情が渦巻いているなかで出てきた表情や芝居が多々あるので、もう一度同じ演技をやってと言われてもできないかもしれません。ジェットコースターに乗ってるような物語だなって、完成した映画を見ながら思いました。

 物語は、架空の国が舞台。無国籍な街並みや世界観をCGで表現するため、360度グリーンバックのセットで撮影するシーンも多かった。

『L‐エル‐』売り上げ20万枚のAcid Black Cherryのコンセプトアルバムを映画化。VFXを多用し、美しい世界観を作り上げる。(11月25日公開/東宝映像事業部配給)(C)2016映画「L-エル-」製作委員会

 「このあたりに何々がCGで合成される」という印を見ながらの演技。CMではグリーンバックでの撮影もよくありますが、映画でここまで多いのは初めてです。アルバム『L-エル-』を書籍化した小説を読み、撮影本番ぎりぎりまでシーンに合った曲を聴いて、自分のイメージのもとにしました。エルの感情やまわりの景色、ほかの人たちの気持ちが全部、歌のなかに入っていたので、お芝居しやすかったです。演じている最中に、曲が頭の中に流れてくるときもありました。

 一方の『巫女っちゃけん。』はがらりと変わって、コメディ作品。「言動のすべてがだらしない」、型破りな巫女・しわすを演じる。

 エルとはまったく違う面白い女の子で、かなりパンチが効いてます。いままで演じたなかで一番口が悪い子かな(笑)。父親が宮司でアルバイトで巫女をしているけど、本当は巫女になりたくない子なんです。巫女さんの世界について、クランクイン前にいろいろ教えていただきましたが、本番は教えてもらったことをすべてぶち壊し、なにひとつやらない(笑)。巫女なのに足を広げて座り、足袋を脱ぎ捨てて。かなり自由に演じさせてもらいました。

■見えてきた“自分の演技”

 女優デビューして約8年。演じる役柄の幅も広がってきた。演技に対する思いや演じ方は、大きく変化してきたという。

 10代の頃は、ほかにやりたいことがあるかもしれないとも考えていて、演技の仕事にすべてを懸けていなかった気がします。でも、12月には22歳になり、私にはこれしかない。

 やっと、演技への取り組み方が見えた気がします。それは力を抜くこと。ある俳優さんが「テストは100%でやって、本番は80%で演じる」と言っているのを聞いて、私も試してみたらすごく気持ちよくできて。基礎はしっかりとしたうえで、あえて力を抜く。また、ワンテンポ、ツーテンポ遅らせて話すことで独特の間を生んだりという演技も、最近すごく楽しいなと思っています。

『巫女っちゃけん。』ひょんなことから少年の面倒を見ることになった巫女のしわす(広瀬)が、誘拐容疑をかけられながら奮闘するコメディ作品。リリー・フランキーらが共演。(17年公開)

 台本の読み方も変わりました。昔は台本を読み込めばOKと思っていたところがあったかもしれないですが、今は逆に完璧には覚えていかないようにしています。臨機応変にできるように。どれだけ力を抜けるかというのが、今の自分のテーマになっています。

 ドラマ『釣りバカ日誌』で、濱田岳さんや西田敏行さんなどと共演させていただいたんですが、感化されてるのかも(笑)。西田さんは段取り、テスト、本番とやっていくときに、毎回言うことが違っていて。ただ、どんなに本来のセリフから離れても、最終的にはちゃんと次に私が言うセリフに向けての着地点に戻ってくるんです。

 主演やヒロイン役をやらせていただける機会が増えていることは、ありがたいと思うのと同時にプレッシャーももちろんあります。やはり、その子中心に話が進んでいるので、ふとしたときに大丈夫だろうかと不安になることもあります。ただ、なるべく考えないようにしています、プレッシャーに弱いので(笑)。

 最近では、『ハートネットTV 2016パラリンピック』(NHK Eテレ)でMCに初挑戦。さらには、学生時代にバスケットボール部に所属していたこともあり、日本初の男子プロバスケットボールリーグ「Bリーグ」の開幕戦中継スペシャルブースターを妹の広瀬すずと務めるなど、活躍の場が広がっている。

 お芝居以外の仕事ができるというのは新鮮です。今までは取材していただく側でしたが、MCは自分から話を振っていかないといけないので、お芝居とは別の神経を使います。初めは「私にはMCは無理だー」と思ってましたが、だんだん慣れてきて、取材する選手ともコミュニケーションが取れるようになりました。スポーツのお仕事は、自分がやっていたからやりやすい部分もあったり、より深く知ることができる楽しみがあります。

 広瀬アリスは、挑戦の手をゆるめない。17年1月11日からBunkamuraシアターコクーンで上演される『世界』で、初めて舞台に出演する。風間杜夫、大倉孝二、早乙女太一、鈴木砂羽らベテラン揃いのキャストの中で、どんな存在感を見せるのか。

 舞台を見るのは好きで、「いつかは自分もやりたいな」と思っていましたが不安もあります。人前で演技をするより、グリーンバックの方がやりやすいです(笑)。でも、大先輩のなかに舞台経験のない新人の自分が入っていくので、今回は盗める部分しかない、自分がまた大きくなれるんじゃないかなと、楽しみです。風間杜夫さんや鈴木砂羽さんがアドリブを振ってくるんじゃないかなと怖いんですよ(笑)。『釣りバカ~』で鍛えたアドリブ力で臨みたいです(笑)。

(ライター 高倉文紀)

[日経エンタテインメント!女優Special2017の記事を再構成]

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今週は新世代女優特集。3日連続で次代を担う若手女優を紹介します。
11月2日(水)杉咲花
11月3日(木)広瀬アリス
11月4日(金) 知英

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