まだ標準の電卓アプリで消耗しているの?
戸田覚のデジモノ深掘りレポート
表計算ソフトは便利だけれど、ちょっとした計算には今でも電卓を使う人が多い。僕自身もそうだが、例えば飲み会などで割り勘にするときや、海外旅行でレートを算出する際などには電卓のほうが手っ取り早くていい。それも最近は専用の電卓ではなく、電卓アプリを使っている人が多いのではないだろうか。
iPhoneの場合、画面下から上にスワイプすると表示される「コントロールセンター」で簡単に電卓を呼び出せる。このアプリでは端末を横向きにすると関数電卓に変身するのだが、そもそも関数電卓を使いこなしている人がどれほどいるのか。それよりも、よく使う計算が便利になるほうがありがたい。そこで今回は、面白くて役立つiPhone用の電卓アプリをいくつか紹介していこう。
計算の過程が見えれば再計算は不要
僕が電卓アプリを選ぶ最低の条件は、計算の過程が見えることだ。例えば「123+456+789」という計算をしたら、数値と式を画面に残しておいてほしいのだ。
電卓専用機や多くの電卓アプリでは、入力した数値は次の数値の入力を始めると消えてしまう。しかし、それでは入力が正しかったか確かめるすべがないために、同じ計算をやり直して2回とも同じ結果になるか確認することになる。その点、計算の過程が見える電卓なら、検算する必要がなくなるのだ。
仕事で使うなら税込み・税抜きの計算が簡単にできたほうがいいだろう。その意味では「シンプルな電卓-広告がなく履歴や日本語表記に対応」がおすすめだ。
このアプリは消費税込みで計算する設定が用意されており、将来、税率が10%に変更された場合にも対応できる。無料ながら広告が表示されないのも、うれしいポイントだ。
計算の履歴を利用した集計ができる
「計算機+式が見える電卓」は、計算の履歴や計算の過程が表示される上に、計算した後からでも数値を修正できる電卓アプリ。これは、入力ミスを修正するだけでなく、数値を変えて同じ計算をやり直したいときにも重宝する。
修正は簡単で、変更したい数値をタップして色が青に変わったら、新しく数値を入力し直すだけ。「×」「÷」などの演算記号も変更できる。なお、「計算機+ 式が見える電卓 無料版」もあるが、こちらは広告が表示される。
もう一つ注目したいのが「メモれる電卓 FusionCalc2」だ。このアプリは集計作業に使ってこそ価値がある。とりあえず集計作業をして結果が出たら、その数値をドラッグして画面上部に置いておく。その作業を繰り返すと、画面の上にいくつもの小計が並ぶわけだが、最後にそれらを合算できるのだ。例えば、バーベキューやホームパーティーで各人が持ち寄った食材の小計を出し、最後の総合計にまとめて人数で割るようなときには重宝する。
ただし、このアプリは計算結果しか表示されないので、仕事に使うなら「計算機+ 式が見える電卓」のほうがおすすめだ。広告がうっとうしい場合には、「フュージョン計算機」という120円のアプリもある。
手書きの式を計算できる
知る人ぞ知る電卓アプリが「MyScript Calculator - 手書き電卓」だ。画面に「24×66」などと手書きしていくと計算をしてくれるのだが、その認識率が素晴らしい。さらに、「√」など通常の電卓アプリでは利用しづらい計算も、普通に書くだけで済むのはうれしい。スタイラスがあるとさらに便利だが、指でも十分に快適だ。
「MyScript Calculator」に感激していたら、最近さらにすごいアプリがお目見えした。「Photomath - カメラ計算機」は、紙に書かれた式をカメラで認識して自動で計算してくれるのだ。複雑な方程式でも正確に解いてくれるし、同時に解法までプロセスを追って表示してくれるのだから驚く。中高生のお子さんを持つ方は、このアプリさえあれば宿題の相談に乗ることができそうだ。もちろん、こっそり使わないとばれてしまうので気をつけてほしい。
驚異的なのは、手書きの数式も認識できることだ。活字の数式を認識するのと比べるとやや劣るのが残念だが、認識率はなかなかの精度。下手な参考書などよりもよっぽど役立つのでぜひ使ってみてほしい。
1963年生まれのビジネス書作家。著書は120冊以上に上る。パソコンなどのデジタル製品にも造詣が深く、多数の連載記事も持つ。ユーザー視点の辛口評価が好評。
[日経トレンディネット 2016年10月13日付の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。