K-POP新世代 2PM、6人の活動にひと区切り
K-POP新世代ファイル(6)
2008年に韓国で結成後、日本でK-POPブームが巻き起こった11年に日本デビューを果たした6人グループの2PM(トゥーピーエム)。
鍛え上げられた肉体が躍動する特徴的なダンスから「アジアNo.1野獣アイドル」と呼ばれる彼らは、10月26、27日に東京ドームで公演を実施、4月に発売した日本5枚目のアルバム『GALAXY OF 2PM』はセールス10万枚を突破した。
2PMがライブとCDの両方で好調なセールスを記録できている理由はなぜか。EPICレコードジャパン JYPオフィス制作課チーフの谷川明広氏は「他と差異化するためのバランスをうまく打ち出せていること」と見ている。そのバランスとは、主に(1)ビジュアルと(2)音楽性だ。
ビジュアルについては、K-POPブーム当時、2PMのブレイクを支えた女性ファンたちが最も期待したのは、やはり"野獣"をコンセプトとする彼らが見せる胸や二の腕の筋肉、激しいダンスだった。人気は一気に広がり、日本デビュー3年目で東京ドーム公演を実現。一方、その過程では、2PMの真骨頂である男らしさの表現にもこだわりつつ、日本の新譜では"野獣"以外のビジュアルのコンセプトも見せてきた。例えば、11年の日本デビューシングル『Take off』ではアニメタイアップ曲ということもあり、PVではメンバーは近未来の宇宙服を思わせる白い衣装を身に付け、宇宙船に乗り込んだ。一方、最新曲の『Promise(I'll be)』ではシックなスーツ姿で落ち着いた大人の男を演出している。「ファンの方々には賛否両論あるかと思いますが」(谷川氏、以下同)、このように幅広い"いい男像"に挑戦した結果、女性誌の表紙を数多く飾るファッションアイコンとなり、日本でビジュアルの新境地を開拓できたのは事実だろう。
他のK-POP歌手とかぶらない立ち位置
「日本の音楽市場には、セクシーで大人の"夜っぽい雰囲気"や、愛らしいアイドル性をビジュアルとして打ち出している人気者たちが多く存在します。こうした既存の歌手と差異化しないと生き残れないので、時には大人に、一方でキュートな側面も見せる。その両方を兼ね備えた絶妙な立ち位置に2PMは立たせたかった。結果、10代のファンも増えて、中心層は20代にどんどん若返っています」
(2)の音楽性についても、日韓の音楽的な長所をうまく取り入れ、バランスを取ってきた。"日本ならではの2PMを象徴する作品"として、メンバーも自負するのが、11年発売の2ndシングル『I'm your man』だ。
「韓国音楽は、洋楽の今の潮流から強い影響を受けているので、サビ感重視でない曲やヒップホップテイストの曲が多い。一方、日本市場を見据えたとき、韓国音楽に詳しくない人たちにも2PMを聴いてほしい。そこで、日本人の耳になじみやすいJ-POPの特徴、Aメロ、Bメロがあって、サビがある、という楽曲作りを心掛けました。そこに韓国発の2PMが持つハードさなど、"シズル感"も入れ込めたのがこの曲です」
今年、2PMは日本での6人そろっての活動に一区切りをつける。「東京ドーム公演以降は未定ですが、メンバーのソロ活動は続きます。また6人がそろう日を楽しみにしてください」。ファンの熱気はまだまだ続きそうだ。
写真は通常盤(税込1500円)/ソニー・ミュージック http://www.2pmjapan.com
(日経エンタテインメント! 白倉資大)
[日経エンタテインメント! 2016年11月号の記事を再構成]
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