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第6期 将棋リコー杯女流王座戦 五番勝負 26日開幕

2016/10/22

 加藤桃子女流王座(21)に里見香奈女流四冠(24)が挑戦する将棋の第6期リコー杯女流王座戦(特別協力・日本経済新聞社)五番勝負が26日開幕する。加藤女流王座は6期すべての五番勝負に登場。今期防衛すれば、通算5期で「クイーン王座」の称号も得る。挑戦者は史上初の女流六冠独占も視野に入れる。ともに女性初の「棋士」を目指して棋士養成機関「奨励会」に在籍。今シリーズは、まさに女流の頂上決戦だ。

 

■加藤桃子女流王座 迷い消え自分らしく

かとう・ももこ 1995年3月静岡県牧之原市出身。安恵照剛八段門下。2006年奨励会入会。11年、女流タイトル戦に初出場して初代女流王座に。14年奨励会初段。女流タイトル獲得は女流王座4期、女王3期。現在、女王との女流二冠。

 女流棋戦では結果が出ていますが、奨励会ではあまり勝てていません。読み落としや準備不足など負ける原因はさまざまですが、未熟さを痛感しています。私自身の大局観の確かさも揺らぎ、危機感を持ちました。

 そこで勉強法を変え、最近はコンピューターを活用しています。将棋ソフトで自分の対局を解析したところ、形勢判断などで先入観を覆されました。自分のなかにあった迷いも消えたようにも感じます。

 それとともに将棋の内容も改善しています。負けが込んでも、自分らしく指せているのは心が折れていない証拠。結果はそのうち付いてきます。

 一般棋戦で男性棋士と対局するなど経験も重ねていますが、経験でいうと里見さんはケタ違いに豊富。以前のピリピリした雰囲気もなくなり、笑顔が絶えず朗らか。充実されているのでしょう。

 3年前の女流王座戦では里見さんに負けました。翌年は休場されたので、直接タイトルを取り返したわけではありません。今回はきちんと取り戻すチャンスでもあります。(女流四冠の里見に)5つ目を渡せないという気持ちもあります。

 女流王座は初めて獲得したタイトルなので(今期防衛して通算5期で)クイーン王座になりたいですが、それにふさわしい実力をつけてから。番勝負は挑戦者の気持ちで全力で、自分らしく元気良く戦いたいです。

 

■里見香奈女流四冠 目の前の対局に集中

さとみ・かな 1992年3月島根県出雲市出身。森鶏二九段門下。2004年女流プロデビュー。11年奨励会1級、13年三段。14年体調不良で休場し、15年に復帰。女流タイトル通算23期。現在は女流名人、女流王位、女流王将、倉敷藤花。

 トーナメントは結果的に勝ち上がれましたが、2回戦の貞升女流初段戦など負けてもおかしくない将棋もありました。挑戦者決定戦はうまく指せましたが、対局によって内容の良しあしがあり、安定感は自分で課題と感じています。

 (半年間かけて戦う)奨励会三段リーグには2期参加しました。長丁場なので、気持ちと技術の両方をいい状態で維持する難しさを実感します。片方が悪くなったときに自分で修正できていません。簡単ではないですが、タイトル戦に向けてコンディションを整えていきたいです。

 加藤さんとは2回、タイトル戦をしましたが、居飛車党の正統派で、研究熱心という印象があります。私は振り飛車党なので、振り飛車対居飛車の対抗形になるのでしょう。加藤さんは形勢が悪くなっても諦めないタイプですが、私も粘り負けはしません。

 (女流王座を獲得すると六冠制覇も視野に入るが)今の自分の力ではけっこう難しいので、意識していません。目の前の対局に集中します。

 3年前に1度、女流王座になりましたが、防衛戦となる翌年の五番勝負に体調不良で出られませんでした。周りにご迷惑をかけましたが、当時の温かい対応に感謝しています。復帰後はリラックスして将棋が指せています。恩返しではないですが、とにかく一生懸命に指し、自分の力を出し切りたいです。

■展望を聞く 近藤六段「加藤は長期戦に勝機」、山崎八段「里見は力戦鍛え充実」

 五番勝負の展望を、両者が所属する東西の奨励会でそれぞれ幹事を務める近藤正和六段(45)と山崎隆之八段(35)に聞いた。=文中敬称略

 ――里見が挑戦者に名乗りを上げた。

近藤正和六段

 近藤 今期、女流棋戦では女流王位、女流王将の防衛戦を含め12戦全勝。女流の中ではずばぬけた存在で才能や努力がいよいよ開花してきたという印象だ。

 山崎 体調不良で1年近く、まともに将棋を指さなかったという話だが、昨年初めに女流棋戦に復帰してからは、それが疑わしく思えるほどの充実ぶりだ。前期の三段リーグで負け越したとはいえ、自信をつけてきたのも事実で、今後、四段(プロ)を目指す戦いでも、十分に期待できる。

 ――将棋の中身も変わってきている?

 山崎 振り飛車といっても以前はゴキゲン中飛車と三間飛車だけで、力強さにも欠けていた。しかし、女流棋士に勝ちまくっている最中にあえて得意形を捨て力戦主体に変えたのが良かった。少しの間、安定感を欠いたものの、半年前くらいから成果が出て、女流棋士との戦いでは序中盤こそいい勝負だが、その後は読みの力で少しずつ差を広げて、最後は完勝。ちょっと強すぎる感じすらある。

 ――一方の加藤の将棋のスタイルは?

 近藤 居飛車党で、腰の重い将棋という印象。玉をしっかり固め合って持久戦に持ち込み、厚みを築いて押さえ込むのが得意だ。女流のタイトル戦などで安定した成績を収めているのは、持ち時間が比較的長く、じっくりした戦いがしやすいから。時間の短い奨励会の方は、このところ苦戦が続いている。

 山崎 ベテランの先生に教わっているせいか、少し古い形の将棋がうまい。戦法の変化に敏感な奨励会員が相手だと得意な戦型にならないことが多いようだ。

山崎隆之八段

 ――どんな戦型が予想されるか。

 近藤 加藤の居飛車に対し里見の振り飛車という対抗形になることは間違いない。二人は3年前の女流王座戦(里見勝ち)、2年前のマイナビ女子オープン(加藤勝ち)で五番勝負を戦い、女流公式戦での対戦成績は加藤の4勝6敗。このうち里見が中飛車のときは加藤の1勝4敗だが、三間飛車だと加藤の2勝。この辺りを踏まえて里見がどんな戦型選択をするか、そして加藤がどんな対策を見せるかが見ものだ。

 山崎 里見は最近、居飛車も指しこなし、これが結構強いのだが、居飛車にするのは基本的に相手が振り飛車のとき。加藤は居飛車なので、対抗形になりそうだ。ただ、里見が振り飛車の戦術の幅を広げており、特に里見が先手のときは、加藤としては的が絞りにくいかもしれない。

五番勝負日程
(持ち時間各3時間、午前10時開始)
対局日対局場立会人

1
10月26日(水)シェラトン
グランドホテル
広島(広島市)
森信雄
七段

2
11月3日(木)芝苑(大阪市)淡路仁茂
九段

3
11月25日(金)浮月楼(静岡市)屋敷伸之
九段

4
12月5日(月)都市センターホテル
(東京都千代田区)
未定

5
12月20日(火)将棋会館
(東京都渋谷区)
未定

※「リコー杯女流王座戦中継サイト」(http://live.shogi.or.jp/joryu_ouza/)で対局の模様をライブ中継します。

 ――勝敗のポイントと予想を。

 近藤 里見は石田流三間飛車やゴキゲン中飛車といった攻める振り飛車が得意で序盤から積極的に動く。加藤は里見の速い動きを封じ、長期戦に持ち込みたい。玉を固め合い、粘って粘ってというような手数の長い将棋になれば加藤ペース。1、2局連取が理想だが、とにかくもつれる展開にしたい。女流王座戦という慣れた舞台で底力を発揮することを期待し、3勝2敗で加藤防衛と予想する。

 山崎 形の上では加藤が受けて立つ立場だが、里見の進化がめざましく、加藤にとっては厳しい戦いになると思う。もともと里見の安定した終盤力には定評があるが、中盤もうまくなり、隙がない。3連勝もしくは3勝1敗で里見のタイトル奪取とみる。

 

■奨励会組が熱戦

 今年も奨励会員や奨励会経験者を軸に、挑戦者争いが進んだ。

 一昨年秋に奨励会1級から女流に転進した伊藤女流二段は、連続挑戦を狙った。1回戦で里見女流四冠の妹で今年デビューした里見咲紀女流1級、2回戦で今やタイトル戦常連の室谷女流二段を下し順調に勝ち進んだ。だが、準決勝で西山奨励会三段に屈した。

 奨励会経験者の香川女流三段も準決勝で、現役奨励会三段の里見女流四冠に敗れ、挑戦者決定戦は本命視された二人の戦いに。決定戦の序盤、西山三段に誤算があったようで、里見女流四冠が最後までリードを保ち、危なげなく押し切った。

 

現地イベント情報
開始時刻入場料出演棋士(予定)

1
大盤解説会など
(映画「聖の青春」
公開記念)
午前10時半一般
1000円
井上慶太九段、澤田真吾六段、
室谷由紀女流二段、山口絵美菜女流1級

3
前夜祭
(11月24日)
午後6時半一般
7000円
両対局者、青野照市九段ほか
大盤解説会など午後1時半一般
1000円
屋敷伸之九段、中尾敏之五段、
藤田綾女流二段、飯野愛女流1級

・第1局の問い合わせは日本将棋連盟関西本部(電)06・6451・7272
・第3局の問い合わせは日本将棋連盟(電)03・3408・6161

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