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『聖の青春』 松山ケンイチさん&東出昌大さん対談

「全身全霊で」「気迫でのぞんだ」

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NIKKEI STYLE

将棋にすべてをささげ、病と闘いながら29年の人生を駆け抜けた伝説の棋士・村山聖を描いた映画「聖の青春」が11月19日から全国公開される。体形や風貌も大きく変えて"怪童"と呼ばれた村山聖役に挑んだ松山ケンイチ。村山のあこがれの対象で、最大のライバルだった羽生善治を演じた東出昌大。2人にこの映画にかける思いを聞いた。

――出演を決めた理由は何だったのでしょう。

松山ケンイチ もともと原作を読んでいて映画化の話を聞き、自分から手を挙げました。村山さんの生きざまに感動したんですね。彼の生き方を通して、生きるということを改めて考えさせられた。これはもう絶対に映像化したい、全身全霊で演じたいと。村山さんは僕とはかけ離れた存在だけど、どこまで自分は村山さんに近づけるのか、挑戦したいという気持ちもありました。

東出昌大 羽生さんを取り上げたテレビのドキュメンタリー番組を見て、羽生ファンになり、さらにプロ棋士ファンになったんです。今回の出演依頼をいただいた時に「あの羽生さんを演じることができる」と思い、うれしくて仕方なかった。原作を読んで大いに感動し、台本を読んですばらしいと感じました。

――外見はもちろん、将棋の駒を指す細やかな手の動きまで本人をほうふつさせ、対局シーンはまるで本物の2人がそこにいるようだ。実在の人物をどう作り上げたのですか。

松山 映像が残っているので駒の指し方もできるだけ近づけるようにしました。村山さんは体が大きい。自分も同じような体形になってみて、感じるものをそのまま出すようにした。歩くスピードやしゃべり方など、いろいろな発見がありました。

東出 僕も羽生さんの資料を読みあさり、手つきをまねたりしました。実は撮影を前に森義隆監督がキャストみんなに檄(げき)を飛ばしたんです。「人生を賭して将棋を指してきた人たちの指し手を再現します。汚い指し手にはカメラを向けません」と。それによってみんなが同じ方向を向いた撮影現場になったと思います。僕の撮影初日は街にたたずむシーンだったのですが、監督は「芝居をするな」と一言だけ言いに来た。純粋でドキュメンタリーのようなものを撮ると受けとめました。

――お互いの役作りをどう感じましたか。

松山 羽生さんは今も第一線で活躍されている方。演じるのはすごいプレッシャーなんじゃないかなと思った。東出くんはどういう風に演じるのかなと思っていたのですが、まさに羽生さんだった。対峙してみて、かつて村山さんが感じていたであろうオーラがあった。だからこそ(村山役として羽生役を見た時に)素直に尊敬できたし、憧れることができた。それって東出くんの将棋に対する愛情だとか、羽生さんに対する愛情でもあると思う。(自分が演じる際)そういうものに助けられた部分は確かにありました。

東出 松山さんがすごく体形を変えられたことは、事前に知らされていました。体を気遣うプロデューサーが忠告しても、松山さんは胃薬を飲みながらたくさんのスナック菓子や炭酸飲料を摂り、命を削って役に挑んでいると聞いていた。ただ僕は僕なりにやっていこうと思った。絶対に一歩も引かないという気持ちで。セリフにもある言葉で、ちょっと物騒な言い方ですが、真剣に戦うという意味で「あとはお互いに殺し合いに挑むだけだ」と本当にそう思って撮影にのぞみました。

松山 東出くんの話を聞いて思い出しました。ある取材で羽生さんとご一緒した時、同じようなことを言ってましたね。いざ対局になれば村山さんの体調問題は関係なく、真剣勝負だと。まさに殺し合いなんでしょうね。東出くんも同じような心境だったのかなと今、思いました。

東出 先ほど松山さんに「オーラがあった」とおっしゃっていただきましたが、僕ひとりで作り上げたのではなく、監督との話し合いの中で生まれたと思っています。撮影の時、監督は仏教の本を読んでいて、「俗世から切り離され、すべてをその道に注ぎ込む。それはいわば鬼だ。羽生役はそういう存在でなければならない。それを(役として)作ってこい」という監督の演出がありました。

――村山聖と羽生善治、2人の人物像をどう自分の中で解釈し演じましたか。

松山 一番悩んだのは病というものに対して、村山さん自身がどう向き合っていたのかを理解することだった。僕だったら病気のために節制したり、生き方を変えたりしそうだが、村山さんはそうじゃなかった。自分の人生を病に左右されない。病をネガティブにとらえるのではなく、共存するものと思っていたのかもしれない。負けん気が強い、負けず嫌いというのはよくわかった。村山さんは病院のベッドで将棋をし、漫画を読み、映画を見て音楽を聴いた。いろんな思いを持っていたと思う。すごくロマンチックなところもあり、村山さんなりの村山聖像というものがあって、それを村山さんが演じているようなところもあったのではないかとも感じましたね。村山さんはもうお亡くなりになっているので、脚色できる部分がある。多少はみ出してもいいかなと思いながら演じました。

東出 羽生さんは調べれば調べるほど全身全霊で勝負に賭けている人物だと実感しました。(そのことを第三者がうかがい知ることのできない)見えないベールもあると思うが、根底には負けず嫌いがある。病をおして対局する村山さんに、羽生さんは絶対手を抜こうとは考えない。だからこそこの2人でしか到達できない境地がある、と思いながら演じた。撮影の時は気迫で松山さんとの対局シーンにのぞみましたが、今、隣に松山さんがいると(演技ではないため)逆に緊張しています。

――負けることの悔しさが映像からも伝わる勝負の世界。ライバルひしめく中で生き抜かなければならない厳しさは俳優の仕事とも共通するのでしょうか。

松山 素晴らしい演技をする人をみると「なんで自分はできないのだろう」と常に思う。その人に対して「悔しい」という気持ちはなく、むしろ憧れの対象ですね。俳優の仕事に勝ち負けがあるとすれば、自分自身に対してでしょうね。今回も村山聖という役を演じることはひとつの挑戦だった。自分自身に勝たないと役というものがつかめないんです。負けると役をこっちに(自分自身の方へ)引き寄せて演じてしまう。もちろんそういう役も時にはあるのですが、今回はそうではなく、役にいかに近づけられるかが大事だった。だから自分に負けたくないと思ったんです。

東出 僕もまったく同感です。俳優の仕事で「悔しい」というのは自分自身に負けているということ。棋士の世界は将棋にすべてをかけ、「将棋なら誰にも負けない」という人たちが集まり、はっきりと白黒がつく。たとえ努力を重ねて自分自身に負けていなくても、どんなに自分に自信があっても、勝ち負けがつく。敗れたときの悔しさ、絶望感とはどのようなものなのだろうと考えました。

――印象に残ったシーンやセリフは何ですか。

松山 東出くんが言った絶望感という言葉で思い出しました。棋士の谷川浩司さんを演じた野間口徹さんが「負けました」というセリフを1シーンだけ演じて帰られたのですが、それがどんなに大変だったのかと。これまで積み重ねてきたものに対する決着の言葉、それをどう言うのか。僕も「負けました」というセリフがあったが、長回しで撮影している中だったので自然と出てきたが、それでもすごく難しかったですね。(頭の中で)作って口に出せるセリフではない。野間口さんの「負けました」というセリフは心に残っています。

東出 物語が進み、松山さん演じる村山さんが広島の浜辺をひとり歩くシーンがあるんです。生とは何か、人生とは何か、将棋とは。いろいろな思いを自分の中に詰め込んでひとりで歩いているあの瞬間、この映画の大事なシーンであり、僕にとって大好きな場面です。

(聞き手は文化部・関原のり子)

 「聖の青春」
 「東の羽生、西の村山」とうたわれながら29歳の若さで亡くなった棋士・村山聖(さとし)の生涯を描く。1969年に広島で生まれた村山(松山ケンイチ)は、幼少期よりネフローゼを患い、入退院を繰り返す中で将棋と出合う。森信雄(リリー・フランキー)に弟子入りし、病気を抱えながら名人位のタイトルを目指して同世代の天才棋士らと激闘を繰り広げ、ついに最大のライバル・羽生善治(東出昌大)との対局に挑む。将棋専門誌「将棋世界」の編集長時代に村山と交流した作家・大崎善生のデビュー作を映画化。森義隆監督。染谷将太、竹下景子ほか出演。

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