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実は美と健康と仕事に直結している「食のマナー」

2016/10/7

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 食欲の秋です。行楽シーズンであり、年末に向かってイベントも増えてくるこれからの季節、つい食べ過ぎて体調を崩したり、体重増に悩むことが多くなりがちです。
食べることは健康や美容だけでなく、仕事へのやる気、人間関係などにまで大きな影響をもたらします。そして、「いかに食べるか」、食のマナーが実はとても重要なことなのです。マナーコンサルタントとして、人材育成もプロデュースする西出ひろ子さんが、仕事で成果を上げ、健康・美容にもつながる「食べ方のマナー」を明かします。

■「どのように食べるか」は体に大きな影響を及ぼす

 一般に食のマナーというと、食事の席で恥をかかないように、あるいは優雅にふるまいたいなどの目的から、お箸やカトラリーの使い方の型を身につけることを想像なさる方も多いでしょう。もちろん、そうした型の由来や意味、なぜそうするかの理由までも理解したうえで、型を身につけることは自分磨きにつながります。現に私も、そのようなマナーもお伝えしています。

 しかし今回は、いつでも、どこでも、どんなときにも、私たちのもっとも身近にあるものへのマナーという視点からお話ししたいと思います。

 人間は年齢とともに代謝が悪くなるといわれます。私はもともと、太りやすい体質で、生理痛もひどく、イライラすることもよくありました。45歳を過ぎたころからはかなりの体調不良に悩みました。それを改善するために、47歳の秋から食事改善と生活改善をスタートしたのです。その結果、3カ月で8kg、5カ月で10kg体重が減りました。長年悩んでいた体質が改善され、体調がすっきりし、思考力がさえ、仕事や人間関係までが以前と比べて良くなったのです。現在49歳9カ月ですが、仕事への意欲、モチベーションは以前よりさらに上がっているという自覚があります。

 この体験で学んだことは、「体にとって、『何を食べるか』だけではなく、『どのように食べるか』つまり“食べ方”も非常に重要である」ということです。

 私が実践した食事改善法の基本をお伝えしましょう。

1.冷たいものを一気に胃の中に入れない。
2.ゆっくりとかんだ後に、胃の中に入れる。

 この2点を意識して行うだけで、体調は良い方向に変化してきました。

 「え? こんなこと?」「当たり前じゃない?」「知っているわ」と思われた方もいらっしゃることでしょう。そうです。私もそう思いました。しかし、少し考えていただきたいのです。私たちは、良いことであるとわかっていながらも、実際に毎日これらを実践しているかどうか、ということを。

 私は企業や個人の方から、マナーを軸としたコンサルティングの依頼をうけます。よくよく話をうかがうと、「当たり前」と思われるような基本的なことを行っていないケースがかなりあります。また、皆さんに共通しているのは「業績をアップさせたい」「職場の雰囲気を良くしたい」「自分の目指す人生を歩みたい」「なりたい自分になりたい」「夢をかなえたい」など、さまざまな目標や願望をお持ちであること。それを現実にするためのノウハウを私はお伝えするわけですが、ノウハウ以前に大切なことがあります。それが「真心マナー」です。

 マナーという言葉を日本語にすると「礼儀」。礼儀の「礼」は思いやり。「儀」は型・形です。ノウハウは「儀」に相当します。型・形以前の思いやりの「心」を20年間、私のマナーでは一貫して伝え続けています。数値や見た目で結果を出すためには、「儀」である型や形以前に、思いやりのある心を養うことが大切であると考えています。

 真心マナーは、相手の立場に立ってみるという思いやりの心がベースとなります。「食」にフォーカスした場合、その「相手」は、「食材・食べ物」、そして「自分の体・内臓」となります。このように考えたとき、前述した2つの食事改善法の真の理由がおわかりになると思います。大切なことは「なぜそうするのか?」です。

■「自分の体」の視点に立って実践してみたら…

 「なぜ、冷たいものを一気に胃の中に入れてはいけないのか?」を、胃の立場に立って考えてみましょう。例えば、あなたが急に冷たい水をかけられたらどう感じますか? びっくりして、その後に「何これ?」と不快になるのではないでしょうか。これは、決してプラスの状態であるとはいえませんよね。びっくりしたとき、私たちは緊張状態になり、自律神経である交感神経が副交感神経よりも活発になります。これはストレスを受けた状態ということになります。

 ストレスは、できればかかえたくありません。そう考えれば、自分自身の内臓に対して、自分がストレスを与えていることに気づくことができると思います。これを日々繰り返していれば、体調がすっきりせず、やる気も起きなくなるのは当然のことといえるかもしれません。

 ゆっくりとかんで食べる、ということも同様です。よくかまずして大きなものが体内に入ってくると、内臓はそれを小さくしようと必要以上に働かなければならない状態になります。よくかまずに食べるということは、その労力、負担を自らが内臓にかけてしまっている、ということになります。例えば、同じ材料で作られたおにぎり。大きなおにぎりを手のひらに落としたときと、小さく砕かれたものを落としたとき、肌で感じる衝撃や負担は異なると思います。どちらが、衝撃や負担が少なく、より優しく受け止められるかということですね。

 年齢とともに、今までどおりの食事のしかたや生活スタイルでは体がついていかなくなることもあると思います。私は50代からの人生を考えたとき、良い仕事をおこなうためにも健康であることは不可欠だと思いました。それには、日々おこなう「食事」の際の真心マナーが大変重要であると感じます。

 またこのような食べ方のマナーを意識し、自身への思いやりをもって接しはじめたことで、自然と部下や周囲の人たちに対するコミュニケーションも円滑、良好に変化していると実感しています。

 最初は「無理」「できない」「面倒」と思うかもしれませんが、そう思っているだけでは何の変化も起きません。ご自身に対しても思いやりの真心マナーをもって、この秋は、自分自身を癒やし大切にする「食べ方のマナー」を少しでも意識してみてはいかがでしょうか。その結果、心身がすっきりして健康になり体重も減れば、一石三鳥ですね。

 来週は、健康と美しさにつながる食のマナーをさらにご紹介したいと思います。

西出ひろ子さんが実践している食べ方の基本マナー
1.冷たいものはとらない
 どうしてもとる場合は、一気に胃に入れないように、少し口の中で時間をおく。
2.最低30回はかむ
 西出さんは100回かむと良いと専門医から指導を受けたそうですが、さすがに毎回の食事で100回かむことは難しかったそうです。しかし、30回であれば、忙しい仕事の合間の食事でも可能とのこと。

西出ひろ子
 マナーコンサルタント・美道家。英国の民間企業WitH Ltd.ウイズ・リミテッド日本支社代表を務めたのち、ヒロコマナーグループの代表として、ウイズ株式会社、HIROKO ROSE株式会社、一般社団法人マナー教育推進協会を設立。企業や教育機関における研修、コンサルティングのほかTVドラマや映画のマナー指導などでも幅広く活躍中。28万部の『お仕事のマナーとコツ』(学研プラス)、『超一流のビジネスマンがやっているすごいマナー』(ぱる出版)など著書は国内外で70冊以上。

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