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医療費不安は幽霊!? 医療保険は5000円で十分 正しい保険選びの考え方(4) 生活設計塾クルー 浅田里花

2016/10/5

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 保険に関し、近年最も関心が高まった分野は「医療保障」ではないでしょうか。保険会社各社が新商品を開発し、保険料を引き下げ、注力してきました。今回は医療費への不安の備え方について見ていきたいと思います。

■かなり充実「高額療養費制度」

 そもそも医療費への不安はどこからくるのでしょうか? 想像してみると、(1)重い病気で入院したら3割負担が高額になるかも (2)お金がないばかりに先進医療のような新しい治療を受けられないかも (3)急を要するのに差額ベッド料がかかる部屋しか空いてないかも――といった理由が挙げられそうです。しかし、これらの不安は「幽霊の正体見たり枯れ尾花」と言えなくもありません。

 まず(1)ですが、健康保険で受けられる医療の自己負担割合は3割なので、入院・手術などで医療費がかさむと3割負担でも重くなると考えられがちです。例えば100万円かかる医療を受けたとしたら、「30万円も家計にのしかかって大変!」という具合に。しかし、健康保険には1カ月(月初から月末)に支払う自己負担の上限額が、所得区分によって定められた「高額療養費制度」がセットされており、青天井に負担が増えることはありません。所得区分が標準報酬月額28万~50万円にあたる人の場合、100万円の医療を受けても実質自己負担額は8万7430円で済みます。もし、加入している健康保険組合に「付加給付」があれば、さらに自己負担額は下がるので、どのような制度になっているか要チェックです。

 保険加入を考える場合、「すでに備わっている公的保障を確認しよう」と第1回の「保険料は助け合いへの参加料 貯蓄にあらず」で述べましたが、医療保障においては健康保険など「公的医療保険」が保障のベースとなっています。「高額療養費制度」の内容をきちんと知っているのと知らないのでは、医療費への不安に大きな差が出るのはわかると思います。保険は経済的リスクをカバーするのに最適なツールではありますが、それほど大きくないリスクまで保険に頼ると、保険料支出ばかりがかさんで、本来家計に残るはずのお金まで持ち出しになってしまう恐れがあります。たいていの家庭が「予備資金」としての貯蓄を進めているはずですが、それも十分医療費への備えとなり得るものです。

■知っておきたい「先進医療」「差額ベッド代」の本当

 「そうは言っても、(2)の不安は高額療養費制度では解消しないのでは?」と思われるでしょう。ここに「先進医療」への誤解があります。「先進」と銘打っているだけに、最先端であり効果バツグンの治療と思ってしまいますが、実際は厚生労働省が認めた「評価療養」、つまり公的医療保険給付の対象とすべきかどうかを評価している段階の治療です。効果が確認されれば健康保険が適用される治療として多くの医療機関で受けられるようになり、そうでなければ先進医療から外されます。つまり健康保険で受けられる治療こそ、安全性・有効性が確認された効果的な治療といえますから、「昔からある古い治療で大したことない」というイメージを持たない方が賢明です。

 実際この4月から、先進医療の代名詞のようになっている重粒子線治療と陽子線治療の「一部」が、健康保険対象となりました。がんになったらこれらを受ければ完治するかのような情報が独り歩きしていますが、まだ全部のがんに効果が確認されたわけではないことがわかります。まずは主治医と相談し、治療方針に疑問があればセカンドオピニオンを受け、最終的に患者自身が受けたい治療を決断することになりますが、提示されるのは健康保険が使える標準治療になると思われます。いきなり先進医療を提示されることはありませんから、先進医療を受けるリスクをあまり大きく見なくても構わないでしょう。

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