年休取得率目標70% 休み方、日本流であっていい
男女 ギャップを斬る(池田心豪)
今年の10月1日は残念なことに土曜日だ。今日は都民の日。平日ならわが子の小学校は休みになるため、昨年まで休暇を取って遊びに行っていた。週末でも休日に変わりはないのだが、休みを1日損した気持ちになる。最近は平日のテーマパークや水族館で子どもを連れた男性の姿をよく目にする。筆者のように休暇を取って来ているのかもしれない。
日本の年休取得率は50%をやや下回る水準で毎年推移している。政府はこれを70%以上にすることを目標に掲げている。理想は完全消化だろう。
だが、病気や急な用事のために年休を残しておく人がいることを踏まえると、3割は残しておいて7割を計画的に消化するという考え方は理にかなっている。平均付与日数は18日程度であるから13日以上取得すると70%を超える計算になる。労働日を13日連続で休むと休日を合わせて2週間以上仕事を休むことになる。18日なら3週間だ。
そういえば今年7月、イギリスの友人から頼まれていた原稿を締め切りどおり月末にメールで送ったら7月下旬から8月中旬まで休暇を取っているという自動応答メッセージが返ってきた。思わず脱力したが、夏の長期休暇が一般的なヨーロッパではよくあることである。
日本でも休暇取得日数を増やしていけば、いずれそのようになるのだろうか。
筆者が勤務する労働政策研究・研修機構の「年次有給休暇に関する調査」(2010年)の正社員調査によれば、仮に年間3週間の休暇を取ることができるとしても「連続3週間」や「2週間を1回」という長期休暇を希望する人の割合は1割以下と低く、「1週間を2回」や「3~4日程度を数回」取得して残りはその都度決定したい人がいずれも3割弱と高い割合を示している。
夏休みと年末年始に数日から1週間程度、残りは家族や自分の都合で1日ずつ消化といったところだろうか。春や秋の行楽シーズンに休暇を取る人もいるだろう。半日単位や時間単位で年休を使いたいというニーズもある。そう考えると仮に休暇取得日数が増えても取り方は現在とあまり変わらないようだ。
ヨーロッパと同じでなくてもよい。休暇を取りたいときに取得できることが大事である。
〔日本経済新聞朝刊2016年10月1日付〕
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