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ビジネス街の書店をめぐりながらその時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回訪れたのは定点観測しているリブロ汐留シオサイト店だ。8月は動きが鈍かったビジネス書も9月に入って動きを取り戻してきた。中でも汐留の店らしい売れ行きを見せているのは、トップコピーライターが「伝える」ということの本質を伝授しようと著した1冊の本だ。

「世界は誰かの仕事でできている。」のコピーライターが著者

その本は梅田悟司『「言葉にできる」は武器になる。』(日本経済新聞出版社)だ。梅田氏は電通のトップコピーライターの1人。作品としては、缶コーヒー「ジョージア」のCMでおなじみの「世界は誰かの仕事でできている。」などが名高い。

「どうやって伝わる言葉を生み出しているのですか」。そう聞かれることが最近多くなったと冒頭に書く。メールでも会話でも 交流サイト(SNS)への投稿でも伝えたくて伝わらない、伝わる表現ができないという悩みを相談される。そんなとき梅田氏はこんな質問を返す。「言葉をコミュニケーションの道具としてしか、考えていないのではないですか」。「伝わる言葉」を生み出すためには、自分の意見を育てるプロセスこそ重要と梅田氏は考える。コミュニケーションツール、スキルとしての言葉ではなく、その背後に奥行きをつくる思考を深めるにはどうすればよいか。そのプロセスを自らの実践に即してつづったのが本書だ。

シンプルに仕事術を説くビジネス書ではなく考えさせる中身が、企画やアイデア、ビジネスモデルなどを日々考えるビジネスパーソンに買われているようだ。汐留らしい売れ筋といえる。電通本社のお膝元というのも影響しているようだ。

旬の売れ筋テーマはIoTとフィンテック

最近はIoT、フィンテック関連の新刊が売れる

最近はIoT、フィンテック関連の新刊が売れる

この本のように企画や思考力強化の本が同書店では定番の売れ筋だが、「最近はあらゆるモノがインターネットにつながるIoTや、金融とIT(情報技術)を融合したフィンテックの本が出ると大ヒットというほどではないが、必ず動きがあるようになった」と店長の大城優樹さんは話す。7月刊行の井上智洋『人工知能と経済の未来』(文春新書)、8月初めに出た柏木亮二『フィンテック』(日経文庫)などがそうで、今もベストテン圏前後の売れ行きだという。

それでは先週のベスト5を見ていこう。

(1)捨てられる銀行橋本卓典著(講談社現代新書)
(2)会社四季報業界地図〈2017年版〉東洋経済新報社編(東洋経済新報社)
(3)「言葉にできる」は武器になる。梅田悟司著(日本経済新聞出版社)
(4)ザ・会社改造三枝匡著(日本経済新聞出版社)
(5)最強の働き方ムーギー・キム著(東洋経済新報社)

(リブロ汐留シオサイト店、2016年9月5日~9月11日)

『捨てられる銀行』は大手町や八重洲では5月の発売直後からベストセラーを快走しているが、汐留でのトップは初めて。周辺企業の顧客からまとめ買いの注文が入って躍り出た。8月下旬に出た2017年版の業界地図が2位だ。冒頭の本は3位。4位は『V字回復の経営』がベストセラーになった三枝氏の最新刊。自ら経営参画した会社の12年間という長期にわたった会社改造の軌跡を三人称スタイルで描いている。5位は8月に訪れたときに大城さんが注目していた1冊。そのときはまだ動きはなかったが、店長の読み通り順調に毎週ベストテン内に入り、ロングセラーになりそうな動きになってきた。

(水柿武志)

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