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残念なイケメン、真田幸村! 堤ワールド全開の時代劇

働く女性のシネマ羅針盤 [真田十勇士]

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NIKKEI STYLE

江戸時代初期に活躍した戦国武将・真田幸村(本名・真田源次郎信繁)。放送中のNHK大河ドラマ「真田丸」の主人公として知られています。その真田幸村が、もしも気が弱く決断力に欠けるダメ男だったら?

そんな面白い発想で描かれる、マキノノゾミさん脚本による「真田十勇士」。堤幸彦監督が映画と舞台の両方を演出し、その2つが同時期に公開・上演されるという画期的な試みが始動しました。映画の公開を前に堤監督にインタビューし、独特の"堤ワールド"についてお話を伺ってきました。

堤幸彦(監督)
 1955年11月3日生まれ、愛知県出身。映画・TVドラマ・舞台・音楽ビデオ・ドキュメンタリーなど多岐にわたって手掛ける。近年の主な作品に映画「20世紀少年」三部作、「BECK」「MY HOUSE」「くちづけ」「悼む人」「イニシエーション・ラブ」「天空の蜂」、TVドラマ「トリック」シリーズ、「SPEC」シリーズ、「ヤメゴク~ヤクザやめて頂きます~」「神の舌を持つ男」、舞台「テンペスト」「真田十勇士」「スタンド・バイ・ユー~家庭内再婚~」、ドキュメンタリー「Kesennuma,Voices. 東日本大震災復興特別企画~堤幸彦の記録~」など。

――映画「真田十勇士」、とても面白かったです。ビッグスケールの映画を作り上げた今、どのようなお気持ちでしょうか?

「大合戦ものなんて、これまでの私の作風からは全く遠いところにあるタイプの作品だったので、ギリギリの綱渡りではありましたが、作ることができて本当にホッとした気分です。とても優秀なチームに恵まれていたおかげですね。盆暮れ正月がいっぺんに来たような感じです」

――本作では、十勇士はもちろん、キャストのみなさんが輝いていました。キャストを輝かせる、監督ならではの演出方法とは?

「俳優の顔をジーッと見ていると思いつくことがあって、それをすぐに試してみるんです。私はあまりまっとうなことは思いつかなくて、いかがわしいことを思いついちゃうんですけどね(笑)。怪しげなことをやってみるというのが、私なりの演出方法ですね」

――霧隠才蔵役の松坂桃李さんは人気のイケメン俳優ですが、彼にはどのような演出を?

「桃李君には『ばかばかしいほどカッコ良くいてね』と。映像には映っていないんですけど、『馬より速く走れ』なんて指示も出しました(笑)」

――大規模なセットの準備や、合戦シーンの撮影やCGの作業まで、何から何まで本当に大変だったと思うのですが、監督は仕事において大変な状況をクリアする上で、特に大事なことは何だと思いますか?

「楽観的でいることですね。思った通りにいかないことは多々ありますが、『大丈夫、大丈夫』だと笑って前に進むこと。楽観的な気持ちで問題に対峙すれば、必ず突破口は見つかると思います」

――今回の現場には、特に大勢のキャストやスタッフが参加したと思いますが、大勢をまとめて皆を動かすとき、何か工夫していることはありますか?

「唯我独尊にならず、各パートで自由に盛り上がって全力で取り組んでもらえるよう環境を整えるようにしています。それぞれに切磋琢磨(せっさたくま)させる。そういうと上から目線のように聞こえるかもしれないけれど、それぞれのパートがいろいろなアイデアを出せるような環境をつくるようにしていますね」

――ありがとうございます。では最後に、読者に向けて本作のお薦めコメントをお願いします。

「時代劇が好きな人も、そうじゃない人も楽しめる作品です。見てのお楽しみですが、アニメーションで始まって、ユーミンで終わるという(笑)。ポップカルチャー的なところもありますし、ワクワク感を味わっていただけると思うので、ぜひ映画館に足をお運びいただきたいです」

「真田十勇士」
9月22日(木・祝)全国拡大ロードショー
(C)『真田十勇士』製作委員会 配給:松竹・日活
公式サイト:http://sanada10braves.jp/

天下統一を目前にした徳川家康(松平健)と、復権を狙う豊臣家の対立が深まる中、豊臣家の家臣・真田幸村(加藤雅也)は己の実像と虚像のギャップに悩んでいました。実は幸村は、男前な容貌と、奇跡的に起こる幸運の連続によって、天下の名将に祭り上げられていただけで、本当はただの腰抜け男だったのです。

そんな中、生まれ育った忍者の里から抜け出して、大きなことを成し遂げたいという野心を抱く猿飛佐助(中村勘九郎)は、幸村を本物の"天下一の英雄"に仕立て上げることを思いつきます。佐助は、同じ"抜け忍"の霧隠才蔵(松坂桃李)を筆頭に、一癖も二癖もある十人の男たちを集め、「真田十勇士」を結成。

幸村は佐助が考えた作戦通りに動き、戦国最後にして最大の戦い、徳川対豊臣の「大坂の陣」がついに幕を開けるのですが……。

堤監督ならではのユーモアに満ちた描写や、驚くべきストーリー展開など見どころが満載。魅力的なキャストの体を張った熱演と、最新技術を駆使した映像で、最初から最後まで全く飽きることなく楽しめます。

(ライター 清水久美子)

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