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秋元康が明かす 欅坂46と乃木坂46が向かう先

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NIKKEI STYLE

あきもと・やすし
 1958年5月2日生まれ。高校時代から放送作家として活動。1983年以降に作詞家として、美空ひばりの『川の流れのように』をはじめ、多数のヒット曲を生み出す。テレビ番組の企画構成、映画の企画・原作など多岐にわたり活躍。AKB48グループや坂道シリーズで総合プロデューサーを務める。

 乃木坂46に続く坂道シリーズ第2弾として誕生した欅坂(けやきざか)46。AKB48グループおよび坂道シリーズの総合プロデューサー秋元康氏は、AKB48を「勢い、パワフル、タフ」、乃木坂46を「リセエンヌ」(※)といったキーワードで差別化してきた。では2016年4月に『サイレントマジョリティー』でデビューし、女性アーティストのデビューシングル初週売り上げ記録を更新するロケットスタートを切った欅坂46については、どのようなビジョンを持ってプロデュースしているのだろうか。

僕が40数年こうした仕事をしてきたなかで、「こういうテーマでいこう」と最初から頭でっかちになると、うまくいったことがない。乃木坂46もいろいろと音楽を作っていくうちに、結果として「自分が描いていたのはリセエンヌだったんだ」と後から気づいた。欅坂46もオーディションに合格したメンバーと話したり、あるいは楽曲を選んだりしているうちに、なんとなく今の自分がやりたかったことはこういうことなのかなと気づいてきました。初めから『サイレントマジョリティー』での、笑顔がないアイドルを作ろうと思ったわけではないんです。

10代半ばの世代というのは、自分たちの価値観について迷うわけです。だから、欅坂46だけではなく、AKB48や乃木坂46のメンバーにもよく話すんですが、人生というのは1つの線でパッとデザインすることはできない。柔らかい鉛筆で何本も何本も輪郭を描いていくように、たくさんの間違った線が結果として輪郭になるんだと。この世代はその柔らかい鉛筆で何本も間違った線を描くからこそ、見えてくるものがあるんだと思うんですよね。

もしかしたらその世代の「迷いや戸惑い、思い込み」といったものが僕の頭の中にあって、それが詞として出てくるのかもしれないですね。大人からするとなんでもないことでも、感受性豊かな世代には「アスファルトの上で雨が口答えしてる」ように聞こえちゃうわけだから。そういう意味では、欅坂46では自問自答や、彼女たちの迷いそのものを描きたかったんだなと思います。

イメージは女子高の演劇部

 8月に出した2ndシングル『世界には愛しかない』はデビュー作を上回るヒットとなった。そのレコーディングには、秋元氏自らメンバーにディレクションをするために立ち会ってアドバイスをしたという。

ポエトリーリーディングから始まるということで、そのニュアンスを直接伝えたいと思いました。なぜこういうことをやるのか、どういう言い回しなのかということを理解してもらうために、その場でみんなにポエトリーリーディングを実演してもらった。この子の雰囲気はこのセリフに合うなというように、誰がどこを歌うのかを決めていきました。

僕の中では女子高の演劇部みたいなものがあったら面白いんじゃないかというイメージがあって。例えば「舞台に立ったときに平手(友梨奈)が走ってきて、このセリフをどういうふうに言う?」というように、セリフの言い回しや解釈について話し合いながらレコーディングを進めたんです。

彼女たちの成長速度はとてつもなく速くて、スポンジが水をどんどん吸収するような感じ。僕もプロデューサーとして、作詞家として、ここに刺激を与えたらどうなるんだろうとか試しながら接しています。振り付けのTAKAHIROさんにしても衣装担当にしても、いろんなアイデアを彼女たちがどう吸収するかを面白がっているんじゃないですかね。

パフォーマンスにしても、みんなの前で披露する機会を重ねるほど、どんどん表現力が上がっています。もしかしたら最初はセリフにしても歌詞にしても、与えられたものと、感情と声帯から発する言葉には差異があったのかもしれない。でもそれを何度も繰り返しているうちに、だんだん共鳴して、それがリアリティーを持つようになったと思うんです。

以前、高橋みなみ(元AKB48)が「私には近くにいい大人がいた」と、うれしい言葉を言ってくれたことがあって。人はみんな、そのときどういう環境で、どんな影響を受けて歩いていくかによって進む道が全然違うじゃないですか。だから欅坂46にいろんな環境を与えたときに、彼女たちがそれをどう受け止めて料理していくのか。その新しい環境を次々と与えるのが僕の役割だと思ってます。

いきなりドラマを演じさせて、しかも通常のドラマではなくて全員が主要な役柄になるように作ったのも同じですね。事前にワークショップもやって。「演技とは何か?」から始まったけど、クランクアップの頃には別人のように成長していた。最初は恥ずかしかったセリフも、途中で1人が恥ずかしさから脱却すると、周りもそれに続く。それがグループの利点ですけどね。

実際、セリフは普通の女子高生が言いそうなものが多い。ストーリーのためのセリフというよりも、ワイワイした無責任な感じをどれだけ見せられるかがテーマだった。だから「こんなことは実際に起きないけど、もしもそうなったら、これに近いことを言うと思うダイアローグ(会話)にしてほしい」と脚本家にお願いしていました。

欅坂46の強みは、受け手と送り手の両方の立場であるということなんです。普通の中高生として受け手でありながら、同時にメッセージを送る側でもあるということが、今は一番リアルなのかもしれません。

例えばAKB48は高校であれば芸能コースのように、芸能界の華やかなところにいる。一方で、乃木坂46はそれぞれファッションとか音楽とか、わりと専門学校的な感じがするんですね。目指すものや価値観がそれぞれにあって、自由に生きていると。ところが欅坂46の子たちは普通科なんですよ。「まさか、あの子が芸能界に行くとは思わなかった」というような普通の子。そういう意味では、一番等身大なのかな。

 欅坂46はAKB48や乃木坂46と比べてブレイクするのが早かったと言われる。しかし秋元氏は「それが僕の想像を超えるものだったかと問われると、正直まだ分からないです。結局人生はマラソンですから」と語る。

早かったように見えるのは、AKB48の礎のもとに乃木坂46が成立し、乃木坂46が切り開いた道を欅坂46が進んだから。環境が整っていたのも大きいし、運に恵まれたところもすごくあると思うんです。お姉さんたちが頑張ってきた分期待値が高かったと。例えば陸上部で活躍したお姉さんがいたら、その妹も足が速いんだろうなと、最初からチャンスをいっぱい与えられるのと一緒です。

平手は深読みされる存在

センターの平手が注目を集めていますが、確かに彼女はすごいと思います。この40数年間スターと呼ばれる人たちを見ていると、結局深読みされるのがスターなんですね。素顔の平手は普通の15歳かもしれないけれど、彼女の『サイレントマジョリティー』でのあの眼力とか、あるいは髪がバサッとかかったときに払わずにそのままカメラを見つめる感じとかが、オーディエンスの想像をかきたてる。つまり、すべてのエンタテインメントは受け手の想像で完成するんです。そしてクリエイターも平手という素材を使って、想像をさらに増幅させようとする。そういう魅力があるんだと思います。

もちろん他にも興味が湧くメンバーはたくさんいます。渡辺梨加はあれだけポンコツでも、何か憎めないものを持っているし、渡邉理佐のクールビューティーなところもいい。長濱ねるは不思議な魅力を持った子だと思います。

これは乃木坂46によく言うことなんですが、みんなバラバラでいいんだと。それぞれの色がパレットで混ざったときに、それが「乃木坂46らしさ」になるんだ。だから自分から合わせようとするなと。

ところが欅坂46にはこういうふうになりたいという、グループカラーがまだない。ビギナーというのもあって、それぞれがバラバラの方向を向いている。でもそれこそが歌で言うユニゾンの面白さなんですよ。ちょっとズレていたり、ちょっと音程が危なかったり、そういうものが混ざると不思議な魅力を放つ。プロとしてデビューしたというよりも、オーディション会場の子たちがそのままCDを出したり、ライブをやっているような感じで、それが伸び伸びしていていいなと思うんですよね。

AKB48には時々サプライズと称していろんな試練を用意しましたが、乃木坂46や欅坂46の場合は試練というよりも彼女たちが自分でやりたいと思う方向の中に未来があるんじゃないかと思うんです。だから坂道シリーズでは、AKB48グループのように姉妹グループをまたいだ選抜や兼任みたいなことをする気はないです。自由な校風というか、自分たちで校則を作って進んでいくのが、欅坂46らしさなのかもしれないですね。

※フランスの高校に相当する「リセ」に通う女生徒のこと。

(ライター 西廣智一)

[日経エンタテインメント! 2016年10月号の記事を再構成]

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