新「小ベンツ」、メルセデスCLAがデザインを改良
メルセデス・ベンツ日本はコンパクト4ドアクーペ「CLA」とコンパクトワゴン「CLA シューティングブレーク」を改良し、2016年8月24日に発売した。価格はCLAが379万~773万円。CLAシューティングブレークが395万~789万円となる。
CLAシリーズは「New Generation Compact Cars」と名付けられた新世代メルセデスのエントリーラインアップの一つで、このところのメルセデス・ベンツの好調を支えてきた。従来のものとは大きく異なるデザインが奏功し、既存のメルセデスユーザーではない新しい顧客の掘り起こしにも成功している。今回の改良では特に、デザインのブラッシュアップと機能面を強化した。
エクステリアは新しく、インテリアは機能がアップグレード
エクステリアは、スポーティーかつ特徴的なダイヤモンドラジエーターグリルとLEDハイパフォーマンスヘッドライトを全車に標準化。さらにリアスタイルは新たなデザインに変わった。
一方インテリアは基本的に従来型のものを受け継ぎつつ、センターディスプレイを8インチまで大型化し、メーターパネルを赤い指針を採用した新デザインに変更。「Apple CarPlay」と「Android Auto」に対応するなど、機能面をアップグレードしている。
パワートレインに変更はなく、1.6Lと2.0Lの直列4気筒ガソリンターボの2種類。最高出力、最大トルクは1.6Lタイプが122ps/200Nm、2.0Lタイプが218ps/350Nm、高性能バージョンのAMG2.0L直列4気筒直噴ターボエンジンタイプが381ps/475Nmとなっている。
"小ベンツ"需要がCLAに移行
2016年上半期、メルセデス・ベンツは輸入車メーカー中トップの販売台数を維持した。セダンやSUVなど上級モデルが好調なこともあるが、なんといっても次々と投入している「Aクラス」やCLAなどの小型モデルが、全体の底上げに貢献している。こうした小型のメルセデス・ベンツは国産高級車と変わらない価格レベルなので、もはや雲の上の存在ではなく、より広い層の選択肢に入ってきている。以前は"小ベンツ"とも呼ばれた「190E」やその後継である「Cクラス」が担ってきた"一般向けのメルセデス・ベンツ"が、クーペライクなセダンとスポーティーなワゴンをそろえるCLAに移行してきているのだ。
また、ユーザーにとってはメルセデス独自の安全装備が用意されていることも大きいようだ。もちろん上級モデルの方がこうした先進機能は充実しているのだが、CLAにも「レーダーセーフティパッケージ」を上級グレードには標準で、その他のグレードでもオプションで設定している。レーダーセンサーにより前走車を認識して、速度に応じて車間距離を適切にキープする「ディスタンスパイロット・ディストロニック」や走行車線からの逸脱を知らせる「レーンキーピングアシスト」などをこの価格帯のクルマで利用できるのは、ユーザーには魅力的だ。
なお、今回のマイナーチェンジで改良点をデザイン面の強化中心に絞ったのは、CLAシリーズがそのスタイリッシュさで人気を得たため。その魅力をより強化することと、最新のCI(コーポレート・アイデンティティ)との共通性を高めることが狙いだ。まだまだ伸びしろがある"小ベンツ"需要をさらに取り込み、2016年通年でトップの座を維持できるかにも注目したい。
(文・写真 大音安弘)
[日経トレンディネット 2016年9月8日付の記事を再構成]
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