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アフリカの絶滅危惧オオカミ、ワクチンで救える

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ナショナルジオグラフィック日本版

博士号を目指して研究していた1991年、クラウディオ・シジェロ=スビリ氏は、エチオピアの険しいバレ山地を調査のために歩き回っていた。探していたのは、エチオピアオオカミ(学名Canis simensis)。アビシニアジャッカルとも呼ばれる、世界で最も希少なイヌ科動物だ。

当時、エチオピアオオカミの個体数は1000匹を割っており、保護活動が急務だった。しかし専門家のシジェロ=スビリ氏でも、生きた個体をなかなか見つけられない。それどころか、エチオピアオオカミの死骸が点在する荒涼とした風景が目の前に広がっていた。

死骸から血液を採取し、所属先の英オックスフォード大学で分析すると、「犯人」はすぐに判明した。狂犬病だった。

たびたび流行する狂犬病

現在、シジェロ=スビリ氏は同大学で教授を務める。「エチオピア・ウルフ・プロジェクト」を立ち上げた同氏らのチームは、バレ山脈のエチオピアオオカミの間で、狂犬病の大きな流行が1991年以降4回発生したことを把握している。1991年、2003年、2008年、2014年と流行が起こるたび、個体数は最大で75%も減少した。現在、生息地の減少と度重なる狂犬病流行により、野生のエチオピアオオカミは500匹ほどしか残っていない。

存続の危機に直面するエチオピアオオカミだが、シンプルな解決策で救える可能性が出てきた。ワクチン接種だ。北米とヨーロッパでは、野生と家畜動物の両方で、狂犬病の制御にワクチンが貢献してきた。シジェロ=スビリ氏らのチームはこのほど発表された新たな論文の中で、ワクチン接種で狂犬病に対する免疫を獲得することにより、エチオピアオオカミの保護に役立つ可能性を示している。

シジェロ=スビリ氏は、「狂犬病が大流行すれば破滅的な結果となりますが、このワクチンが有効な対策になるかもしれません」と話している。

さまざまなウイルスの中でも、狂犬病ウイルスは特殊だ。症状の恐ろしさはもちろん、幅広い哺乳類に感染する特性があり、その数は全部で190種に上る。

「狂犬病で何日も苦しんだ末の死は恐ろしく、残酷なものです」と話すのは、NPO「エコヘルス・アライアンス」の上席副代表で衛生・政策担当のウィリアム・カレシュ氏だ。同氏は今回の研究には関わっていない。

どうやってワクチンを接種するか

ウイルスが多種多様な種に感染しうるため、感染の制御に必要な戦略は地域によって異なる。米国では、飼いイヌへのワクチン接種が最も効果を上げたが、コウモリ、スカンク、アライグマ、キツネといった動物の間には、わずかながらまだウイルスが残っている。ヨーロッパの一部では、イヌにも野生動物にもワクチンを打つことで狂犬病ウイルスを根絶した。

バレ山脈では、飼いイヌとエチオピアオオカミの両方で広く狂犬病感染がみられる。一部地域のイヌにワクチン接種する試みもあったが、十分な数の野犬で接種を達成するのが難しく、効果は限定的だった。シジェロ=スビリ氏はエチオピアオオカミに対しワクチン注射を試みたことがある。だがオオカミを捕獲して注射するには時間も費用もかかり、動物へのストレスも大きかった。

そこで研究チームは、経口狂犬病ワクチンを取り入れた。これなら餌に似せて、エチオピアオオカミが見つけそうな場所に放置すればいい。しかし、これも完璧な解決策ではなかった。動物が飲み下せるよう、動物たちが好むレバー味の餌の中に1回分のワクチンを入れておいたが、エチオピアオオカミは飛びつかなかった。

エチオピアオオカミに経口ワクチンを食べさせるにはどうすればいいのか、チームは現地で実験を行った。オオカミの好物であるネズミの死骸に1回分のワクチンを入れると、少量だが食べさせることに成功。最終的にたどりついたのは、彼らが好んで食べたヤギの肉と腸だった。

21匹中、14匹が食べた

ワクチン投与後にエチオピアオオカミ21匹を捕獲すると、そのうち14匹がワクチンを食べたことが判明。そのうち86%が狂犬病に対する免疫を獲得しており、カレシュ氏は「種を守るには十分な効果」と評価する。

「個体群の半分に免疫をもたせるだけでも、保護の観点からは大きな効果があるはずです」とカレシュ氏は続ける。「この研究結果は大きな前進です。彼らは正確な仕事により、このアプローチがエチオピアオオカミの保護に有用だと証明しました」

試験投与は成功したが、シジェロ=スビリ氏らは今後、エチオピアオオカミへのワクチン接種事業を率先して行うようエチオピア政府を説得する必要がある。

「なかには、ワクチン接種をいったん始めたら永遠に続けなければならないと思い込んでいる人もいます」とシジェロ=スビリ氏。「そうではありません。着手できない理由はないのです」

(文 Carrie Arnold、訳 高野夏美、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2016年9月9日付]

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