検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

1億7000万年前の「極上」魚竜化石を発掘

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

英国スコットランドのスカイ島で、50年前に見つかった化石の発掘作業が完了し、ネッシーも驚きの怪物の全貌が明らかになった。1億7000万年前の海に君臨していた、体長およそ4メートルの海生爬虫(はちゅう)類だ。

「ストア・ロックス・モンスター」と名づけられた化石は、ほぼ完全な骨格を保つ魚竜(イクチオサウルス)の仲間。魚竜は絶滅した海生爬虫類の1グループで、恐竜と同じ時代の海をイルカのような体で泳いでいた。イカや魚を食べるのに適した細長い吻(ふん)と円錐形の歯を持ち、泳ぎも速かったと考えられている。

アマチュアの化石収集家によって発見されたストア・ロックス・モンスターは、スコットランドで過去に発掘された海生爬虫類の中で最も完全に近い骨格を残している。しかし非常に硬い岩の中に埋没していたことから、発見から50年近く掘り出されることなく放置されていた。

今回、英エジンバラ大学とスコットランド国立博物館、英電力会社SSEの協力により、ようやく専門技術を用いての発掘作業が可能となった。そして2016年9月5日、掘り出されたばかりの化石は、めでたく公の場にデビューを果たした。(参考記事:「スコットランドの海岸に恐竜の足跡を大量発見」)

「魚竜が今もこのあたりの湖にすんでいると思っている人もいますが、実際にここに本物の魚竜がいたのは、1億年以上前のことです」。化石を分析した研究者のひとりである、エジンバラ大学のスティーブン・ブルサット氏はそう語る。

水力発電所長の眼力

ストア・ロックス・モンスターが発見されたのは、1966年の夏のこと。SSEのストア・ロックス水力発電所で長年所長を務めていたノリー・ギリース氏は、ある日曜の午後、発電所の北側に広がる風光明媚な湖岸に散策に出かけ、そこで岩から何か奇妙なものが突き出ているのに気づいた。チョコレート色の灰皿をいくつも重ねたような外観のそれは、魚竜の脊柱だった。

アマチュアの化石収集家であったギリース氏は、みずからが発見したものの重要性をすぐに理解した。大急ぎで王立スコットランド博物館に手紙を書くと、先方も大いに興味を示し、数週間後には化石発掘のためのチームが現地に派遣された(王立スコットランド博物館はその後、スコットランド国立博物館に合併されている)。

「父はいつも"自分の身の回り"にあるものに興味津々でした」。そう語るのは、ノリー・ギリース氏の息子で、電気技師としてSSEに勤めるアラン・ギリース氏だ。「化石を見つけたとき、父にはこれがきわめて重要なものであることがわかっていました。これは自宅の裏庭で簡単に見つかるようなものではありません」

ノリー・ギリース氏はその後数十年間にわたり、化石の件で博物館と連絡を取りつづけたが、化石は相変わらず岩に埋まったままだった。氏は自分が発見した化石の全体像を目にすることなく、2011年に93歳で他界した。

ストア・ロックス・モンスターを岩の中に放置した背景にはしかし、やむを得ない事情があった。化石を覆う堆積岩は、 6600万~5600万年前の暁新世に、溶岩流がスカイ島を焼き尽くしたせいで硬くなっていた。適切な道具や専門技術もなしにこれを掘り出そうとすれば、悲惨な結果になっていたかもしれない。

「ノリー・ギリース氏が博物館に連絡を取ったのは正しい行動でした。化石を数十年間、安全に放置しておいた博物館の行動も正しかったのです」とブルサット氏は言う。

物事が奇跡的に動き出したのは2015年初頭、ブルサット氏が同僚らと共にスコットランド国立博物館を訪れた際、偶然、くだんの化石を目にしたことだった。その数日後、ブルサット氏は思いがけない相手から連絡を受けた。アラン・ギリース氏とその姉妹たちが、ブルサット氏が手がけていた別の魚竜の研究についての報道を見てコンタクトを取ってきたのだ。

これをきっかけに、ギリース家の人々とブルサット氏の協力関係が始まり、氏は化石の展示に向けた準備のために、著名な化石保存の専門家であるナイジェル・ラーキン氏を仲間に引き入れた。

資金は不足していたが、アラン・ギリース氏が自分の職場であり、亡父も勤めていたSSEに協力を求めると、同社はすぐに研究の支援を約束してくれた。

「ストア・ロックス・モンスターを蘇らせる計画をお手伝いできることは、SSEにとって大きな喜びです」。同社社長のマーティン・ピブワース氏は声明の中でそう述べている。

大団円の物語

ようやく化石が完全に掘り出されたことで、古生物学者らは、この魚竜が既知の種に似ているのか、それともまだ知られていない種であるのかを見極めることができる。今回の発見はまた、化石記録に乏しいジュラ紀中期を研究する上で貴重なデータとなる。

「(ジュラ紀中期の)海では一見、小さく原始的な海生爬虫類から、より大きく発達したものへの大転換があったように見えます」とブルサット氏は言う。「しかしそう見えるのは、この時代の化石が、世界のどこでもあまり見つかっていないことが原因なのです。だからこそ、この化石は国際的に重要なものとなる可能性があります。これはそうした"暗黒時代"から残る、数少ない状態の良い魚竜の化石のひとつなのです」

父親が魚竜を発見した当時6歳だったアラン・ギリース氏にとって、この化石は科学的な重要性だけでなく、個人的にも大きな意味を持っている。

「父は自分の目でこれを見ることはかないませんでしたが、化石がついに展示されることを心から喜んだでしょう。しかもその実現に力を貸したのが、自分が勤めていた会社だと知れば、さらに大喜びしたに違いありません」と彼は言う。

「おかげでこの物語は、大団円を迎えることができました」

(文 Michael Greshko、訳 北村京子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2016年9月8日付]

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
画面例: 日経電子版 紙面ビューアのハイライト機能
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_