外貨投資

為替にチャレンジ

予定利率だけではない 外貨建て生命保険の長所 SMBC信託銀行 商品企画部 村田智之

2016/9/1

 今回は金融商品の中から外貨建て生命保険を取り上げ、運用に使うメリットを中心にお話しします。今まで、生命保険は保険会社の営業員を通じて直接加入するのが一般的でした。しかし現在では販売チャネルが多様化し、ネット通販や複数の保険商品を取り扱う乗り合い代理店、銀行の窓口でも取り扱いが行われています。特に近年、銀行窓口における保険販売は好調となっています。

 ところで、資産運用を検討する際には、まず商品選びではなく、自分の目的や運用期間に適した運用資産の配分(アセットアロケーション)を考えることが重要です。その上でそれにふさわしい商品を選択していき、選んだ商品の組み合わせを「ポートフォリオ」と呼びます。

 ポートフォリオを構成する資産としては投資信託や債券に限らず、長期の運用商品の一つとして生命保険もあります。もちろんどれにも円建てだけではなく外貨建ての商品があり、外貨建て投信や外債、外貨建て保険を組み入れることで資産全体のリスク分散ができるのは、これまでの記事で見てきた通りです。

■マイナス金利で予定利率が注目される

 さて、ここで現在の金融環境について考えてみましょう。マイナス金利政策の下では、円預金で運用しても資産はほとんど増えません。前述のように生命保険は長期の運用商品としては有効ですが、円建て生命保険の運用環境は厳しく、保険会社によっては保険料を引き上げたり、貯蓄性が高い一部の商品の販売停止を決定していたりもします。

 そこで、現状であれば生命保険の中でも外貨建て生命保険にメリットがあるといえます。外貨建て生命保険は円建てと比べると「予定利率(積立利率)」が高いため、生命保険から得られる収益や運用効果を期待することができるためです。

 「予定利率」とは生命保険の契約者に約束する運用利回りのことであり、その利率が高ければ高いほど、保険料は安くなり、保険金額や解約返戻率は高くなります。外貨建て生命保険をうまく使うことで、死亡保障を準備でき、長期の資産形成を効率的に行うこともできるわけです。

■資金の受取時に通貨や受け取り方を選べる

 また、生命保険は他の金融商品と異なり被保険者に万一のことがあった場合、保険金が支払われます。保険金がなければ、残された家族の状況によっては生活や相続税の支払いも難しくなるかもしれません。そういったリスクが事前に分かっているのであれば、生命保険に加入することで備えられます。

 一方、保険金の受け取り以外に、まとまった資金が必要なときに備えて生命保険の解約返戻金(キャッシュバリュー)で準備するという方法があります。外貨建て生命保険の場合は、解約返戻金を外貨のまま受け取れるのが大きな特徴です(日本円での受け取りも可能)。

 例えば子供が海外留学するといった際は、外貨建て生命保険の解約返戻金を一時金として受け取るだけでなく、留学の期間に合わせて年金形式で受け取り、留学にかかる費用に充てることもできます。解約返戻金を年金形式で受け取ることで、一時金に比べて受取総額は多くなる場合があります。このように外貨建て生命保険では資金を受け取る際に、受取人の経済環境や家族の状況に応じて通貨や受け取り方法を選べるのが強みです。

■外貨建て保険の2つのデメリット

 こうして見てくるとメリットばかりに思えますが、もちろんデメリットはあります。一番大きいのは「為替リスク」です。為替は毎日変動していますので、毎年支払う保険料や、受け取る解約返戻金、保険金は為替レートによって影響を受けます。したがって、解約返戻金や保険金の受取時が円高の場合は外貨のまま受け取り、円に換えずに外貨預金などでそのまま運用する、もしくは円安になったタイミングで円に換えるのがよいでしょう。

 もう1つのデメリットとして、外貨建て生命保険は早期解約には注意が必要です。早期に解約または減額(契約を生かしたまま保険金額を減らすこと)すると、解約控除(早期解約によるペナルティー)や市場価格調整(資産価値の変動)を受けて、それまでに支払った保険料よりも解約返戻金が少なくなる可能性があるのです。従って外貨建て生命保険はポートフォリオの中でも長期で保有すべき商品と位置づけ、急に資金が要るような場合でも他の手段で調達し、安易に早期解約しないことが重要です。

 次回は、マイナス金利政策で日本経済は今後どういう流れになるのか、その見通しについて解説していく予定です。

村田 智之(むらた・ともゆき) SMBC信託銀行 商品企画部。東京大学工学部卒業。外資系証券会社にて不動産の証券化業務に従事、その後保険会社にて生命保険の販売を経験。シティバンク銀行入行後は生命保険の商品企画、販売戦略に従事。現在はSMBC信託銀行のプロダクト部門における生命保険業務リーダー。

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