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非常時の調理、ポリ袋で簡単においしく 防災アドバイザー 岡部梨恵子さん

2016/8/31

非常時にポリ袋を使った調理法を提案する岡部さん(千葉県浦安市) 
 地震や洪水などの天災に見舞われたとき、水道やガスが止まると、自宅での調理は困難になる。だが、身近にあるポリ袋を使えば非常時を乗り切れる。冷蔵庫にある食品をポリ袋に入れ、取り置きの水を使って食事を作る手法を、防災アドバイザーの岡部梨恵子さんに聞いた。

 ――被災時に食事を作る上で大変なことは。

 おかべ・りえこ 山梨県出身、52歳。銀行勤務などを経てファイナンシャルプランナーの資格を取る。東日本大震災で防災備蓄に興味を持ち、簡単にできる備蓄法や災害食のレシピを考案、セミナーやコンサルティングで指南する。

 「上下水道が使えないことが大きいです。電気やガスが復旧しても、水道が止まると洗い物もできません。排水が制限されてしまうので、インスタントラーメンを食べてもスープが捨てられないので飲み干すことになる。高血圧の人は持病が悪化してしまいます」

 ――防災用の食事セットもありますが、簡単に料理できる方法はありませんか。

 「ポリ袋を使って、温かい食事を作る方法があります。スーパーなどの店頭で生鮮品を入れる際に使われる袋です。卓上ガスコンロに、家族4人なら直径30センチほどの鍋に水を6分目くらいにはります。水道が使えない場合、買い置きのミネラルウオーターを使わなくても、お風呂の水や川の水でも大丈夫です」

 「まずはお米を炊く方法から。60グラムのお米に1.5倍の分量の水、90ミリリットルの水をポリ袋に入れます。お米をとぐ必要はありません。袋の空気をさっと抜いて、袋の一番上をしっかり結びます。鍋の水が沸騰したら、袋を中にいれて弱火で30分。軟らかめ、硬めなど好みがあれば時々お湯から袋を引き上げて触ってみて時間を調節して下さい。水の分量を変えればおかゆにもできるので子どもやお年寄りの食事も作れます」

 ――袋はスーパーで見かけるタイプでよいのですか。

 「スーパーのポリ袋は高密度で、高熱に強いので調理に向きます。市販のジッパー付き保存袋は低密度なので使えません。ポリ袋は100枚以上入ったものが100円ショップに売っています。厚さが0.01ミリのものを選びましょう」

 「調理前に、必ず袋に空気を吹き込んで穴がないかどうか確認して下さい。調理する時はとにかく上部をしっかり結ぶことがポイントです。ゆるいと鍋の水が入ってきてしまいますから」

 ――自宅にある食材で手軽に食事を作る方法はありますか。

 「インスタントの袋麺を4分の1に割ってからポリ袋に入れます。そこに飲み干せるだけの量の水を入れて5分ほど置き、タマネギやシメジ、キャベツ、ベーコンなど冷蔵庫に常備しているような食材を入れます。付属のスープは3分の1くらい入れます。結んで鍋につけて、5分間煮込んだらできあがり。野菜の優しいうまみが出ておいしく食べられます。4月の熊本地震の被災者の方たちからは『食べ飽きない』と好評でした。非常時には濃い味を受け付けられないことが多いです。味付けは薄めが良いと思います」

 「被災時にはパンが非常食として届くことがあります。あんぱんをちぎってポリ袋に入れて、牛乳または水を足して調理すれば温かいお汁粉のような一品になります。この『あんぱんがゆ』は大学生の長女の好物です」

 ――非常時の調理法を編み出したきっかけは。

 「2011年の東日本大震災です。私が住む千葉県浦安市では液状化の被害がひどく、ライフラインが止まりました。特に上下水道が使えない生活はつらかったです。調理も洗い物もできず、トイレも流せない。何も備えていなかったので、本当に困りました。防災備蓄がいかに大切か、身をもって痛感したのです」

 「家族を守るために防災対策の勉強をするうちに、ポリ袋調理法というのがあると知りました。色々なやり方がありますが、主婦の目線から、もっと楽にできないか、もっと野菜を取れないかと自分なりに工夫するようになりました」

 「今は全国各地の防災セミナーでこの調理法を教えています。乳幼児を抱えたお母さんは避難所に行きにくい。『子どもが騒いだらどうしよう』と考えて、ストレスになってしまいます。要介護のお年寄りも避難所で暮らすのは大変でしょう。自宅が無事なら避難所に行かなくても、我が家で簡単に食事を作れるのだ、と発信したいのです」

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