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「ブラック・ジャック」中国で初の実写映画化へ

編集委員 小林明

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NIKKEI STYLE

無免許だが天才的な技術で難病の患者の命を救う青年外科医――。手塚治虫氏の代表作である「ブラック・ジャック」が来年末をメドに初めて中国で実写映画化される見通しになった。中国の映画・テレビ番組制作会社大手、北京光線伝媒(ベイジン・エンライト・メディア)が日本のベンチャー企業を通じて手塚プロダクション(東京・新宿)から原作を使用する権利を取得。中国人の監督、役者で実写映画を制作する計画だという。

無免許医師というアウトロー的な物語をなぜ中国で映画化することになったのか?

日本の漫画の原作は中国の視聴者にとってどんな魅力があるのか?

日本のコンテンツの"爆買い"に走る中国企業の実態を追いかけた。

手塚氏の起死回生の一発「ブラック・ジャック」、劇画ブームに押され虫プロ倒産

手塚治虫氏が「ブラック・ジャック」を発表したのは1973年。

梶原一騎氏の原作による「あしたのジョー」「巨人の星」「タイガーマスク」などの劇画ブームに押されて同年、虫プロダクションや虫プロ商事が倒産。不調のどん底にいた手塚氏が起死回生の一発として生み出したのが、無免許の天才外科医を主人公に社会や人間の闇の部分に光を当てる異色作「ブラック・ジャック」だった。

同作品はその後、日本でテレビアニメやアニメ映画になり、さらに実写映画(主役=宍戸錠氏・監督=大林宣彦氏で1977年公開)や実写ドラマ(主役=加山雄三氏で1981年テレビ放映、主役=隆大介氏で1996年ビデオリリース、主役=本木雅弘氏で2000年からテレビ放映)なども登場。

アニメ、実写映画・ドラマ、翻案マンガ……、息の長い版権ビジネス目指す

原作を題材に独自の解釈で描き直した翻案マンガである「ヤング ブラック・ジャック」(脚本=田畑由秋氏、作画=大熊ゆうご氏、2011年から掲載)や「ブラック・ジャック創作秘話」(原作=宮崎克氏、作画=吉本浩二氏、2009年から掲載)なども発表され、原作を生かした様々な作品が生まれてきた。「原作のリメークなどに柔軟に対応し、利益を生み出す息の長い版権ビジネスとして育成したい」(手塚プロ)という狙いからだ。

だが中国企業による実写映画化は今回が初めて。

契約内容によると、中国の制作会社が中国の監督や役者を使い、第1弾としてインターネット向けの映画(1時間作品×13本)を制作。早ければ来年末から放映を開始する予定。現在、シナリオの手直し作業を進めており、手塚プロは筋書きやキャラクターや状況設定などについてチェックする。「1本あたりの制作費は3千万~6千万円」(契約を仲介したアクセスブライト社)

その後、劇場向けの実写映画も制作する。「ネット向け映画は劇場向け映画のPR」という位置づけで、監督や役者も劇場向け映画では変わる可能性があるという。制作費は12億円程度を見込んでいる。

中国人監督・役者による実写映画、ネット向けに13本 その後劇場向け

なぜ北京光線伝媒は「ブラック・ジャック」に目を付けたのだろうか?

「経済発展に伴い、富裕層が拡大している中国では高度な医療技術を求めて法外な治療費を払うことはそれほど珍しいことではない。こうしたリアルな状況設定に加えて、社会や人間の影の部分をえぐる娯楽性も受けると考えたようだ」(手塚プロ)。中国の映画やドラマなどのエンタメ市場は急拡大しており、膨大な需要に応えるための原作が圧倒的に不足しているのが中国の実態。

多様な漫画原作を抱える日本は中国企業にとって"宝の山"に見えるらしい。

しかも中国には外国製映画の輸入に規制がある。だが、中国企業が中国の監督・役者を使って中国で制作すれば、その作品はたとえ原作が日本でもれっきとした中国製になるので規制の対象にはならない。

手塚プロは原作の手直しやリメークに特に柔軟に応じる戦略を打ち出しているため、コンテンツが欲しい中国企業側とコンテンツを有効活用したい手塚プロ側との思惑がうまく合致したというわけだ。

コンテンツ不足に悩む中国企業、版権を有効活用したい手塚プロ

「中国の市場規模は日本とは桁違いに大きいし、成長率もすさまじい。中国企業から『制作予算はいくらでもあるから、心配しなくてよい』と言われてビックリした。不動産市場の低迷や人件費高騰による製造業の伸び悩みなど中国経済の頭打ち傾向が叫ばれているが、エンタメ業界に関して言えば、中国企業の勢いには目を見張るばかり」と手塚プロの清水義裕・著作権事業局長は話す。

漫画原作の使用権を求める中国企業の来日が増えてきたのは数年前からだという。

手塚プロだけでも「昨年中に30人くらいの中国人のエンタメ関係者と商談した」(清水局長)。子供向け性教育を目的にした「ふしぎなメルモ」や同性愛、狂気殺人を題材にした「MU」などの手塚作品への引き合いもあるそうだ。このほか、多くの原作を抱える出版社などにも中国企業の訪問が相次いでいる。

日本の有力コンテンツを求めて中国企業による爆買いの波が押し寄せているのだ。

日本製アニメは"ガラパゴス化" 輸出しにくい成人向け深夜帯アニメ

日本のアニメ産業が海外に進出するには大きなジレンマがある。

グラフを見てほしい。日本のアニメ制作会社の売上合計は国内テレビ向けがここ数年600億円超で2008年のリーマン・ショックの低迷を脱した状況だが、海外向けの販売は200億円弱で低迷が続いている。

なぜだろうか?

実はこれには理由がある。国内テレビ向けの売り上げ拡大を支えているのが成人向けの深夜帯アニメだからだ。

海外ではアニメ作品は子供向けが基本。そのため、日本で伸びている成人向けアニメは海外では買い手が一部愛好者に限られてしまうので輸出につながりにくい。つまり、日本市場で得意とする製品が海外ではそのまま通用しないという"ガラパゴス現象"が起きているというわけ。

海外産アニメがやがて日本でヒットする日も……、原作づくりを猛勉強する中国

漫画原作の使用権を海外に売るという版権ビジネスは将来性のある有望市場に見える。

「たしかに当面はいいかもしれない。だが、海外で質の高いコンテンツを生み出す優秀なクリエーターが次々と増えてきたら怖い。日本の原作を参考に中国人もキャラクター設定やストーリー展開などを勉強しており、猛烈に追い上げている。コンテンツ不足の状態がいつまで続くかは不透明。100%中国製のエンタメコンテンツが日本でヒットする日が来るのもそれほど遠いことではないのではないか……」

マンガの版権ビジネスが未曽有の活況を呈しているなかで、清水局長は日本アニメ産業の将来に注意深い視線を向けている。

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