#萌え断、#モニグラ… 不思議ヒットはインスタ発
「萌え断」「モニグラ」「pucapuca」「チプカシ」……。いくつの言葉を知っているだろうか。実はすべて、インスタグラムでブームになっているもの。インスタグラム(Instagram)では日々、突発的に新たなヒットが生まれている。
「#写ルンです」、独特の風合いが"デジタル世代"にヒット
ロングセラー商品が突如、再浮上するケースも多い。例えば、若者の間で勢いが増しているのが、富士フイルムのレンズ付きフィルム「写ルンです」。インスタグラムには、同商品で撮って店頭などでデジタル化した写真があふれ、「#写ルンです」というハッシュタグ付きの投稿は5万件を超える。東京・原宿にある富士フイルムの直営写真店では、2015年夏に月20本以下だった写ルンですの販売が、同年12月以降は月100本以上に伸びた。
「撮り直せない緊張感」や「すぐ見られないドキドキ感」に加え、フィルム独特の風合いも若者を魅了するポイント。インスタグラムの場合、撮った写真をフィルターで加工するのが基本。そんななか、フィルムならではの粒状感や淡い色合いはフィルターではなかなか再現できず、華美な加工をするよりも目に付きやすい。人気を受け、富士フイルムはデジタル化サービスを積極的にアピールするなど、インスタグラム対応に力を入れ始めた。
「#歌舞伎フェイスパック」、スポーツ選手がブームの火付け役
"自撮り栄え"もインスタグラムでヒットを生むキーワードだ。2013年12月に発売された一心堂本舗の「歌舞伎フェイスパック」は、歌舞伎のくま取りをデザインした美容マスク。スポーツ選手や著名人が"変身"した姿をインスタグラムに投稿したのがきっかけで爆発的に広まり、シリーズ合計で270万個を販売する人気ぶりだ。顔が適度に隠せるため、「自撮りに抵抗がある人でも、気軽に楽しめるという声が多い」(一心堂本舗)。
「#らくやきマーカー」、オリジナル食器作りに女性が熱中
一方、作ったものを人に見せたくなるDIYグッズも、ヒットの鉄板。代表例が、エポックケミカルの食器用ペン「らくやきマーカー」だ。絵を描いた後にオーブンで焼くだけという手軽さが魅力。インスタグラムには、100円均一ショップの飾り気のない皿やコップが、カフェ風の食器に大変身する写真が多数投稿され、DIY好きの女性を中心に広がった。
「#チープカシオ」、シンプルさで女性を魅了
カシオ計算機のシンプルで安価な時計が、ファッションアイテムとして注目を集めている。「#チープカシオ」「#チプカシ」のタグが付いた投稿は、2万件近くにもなる。
「#pucapuca」、超巨大フロートに話題沸騰
インスタ栄えするグッズとして注目を集めているのが、貝殻形のフロート「pucapuca Sea Shell Float」(スマビ)。フロートでは世界初となるオーロラ生地を使い、大人2人が乗れる巨大サイズなのが特徴だ。水原希子や垣内彩未といった人気モデルがインスタグラムで紹介したのをきっかけに広まった。
新ブームはタグから生まれる
インスタグラムでは日々、新トレンドが生まれている。グルメ系で注目なのが、ハッシュタグ「#萌え断」。"萌える断面"の意味で、ボリュームのあるサンドイッチの断面などを投稿する。ホテルのレストランなどで、断面を重視したメニューを投入するところまで出てきた。ファッション系では、しまむらで買った"戦利品"を見せる「#しまパト」などが人気だ。
サンドイッチなどの断面を見せる際に付けるタグ。人気インスタグラマーが始めたところ、料理好きを中心に広がり、投稿数は8000件を上回る
#ダイソピルトン
女子高校生の間で人気なのが、「#ダイソピルトン」。ダイソーの小物入れをデコレーションし、筆箱にする。投稿数は1500件超
#モニグラ
高校生を中心に広がっているのが、朝にインスタグラムを更新する「#モニグラ」。主に受験生が勉強の様子を投稿。投稿数は2万件超
#日付シール
インスタグラマーの間で、手帳やノートに貼る日付を書いた自作のシールが注目を集めている。作品を配布するユーザーも
#しまパト
しまむらの着こなしは、「#しまパト」「#しまむらパトロール」が付く場合が多く、投稿数は合計14万件を超える
(日経トレンディ 勝俣哲生、森岡大地)
[日経トレンディ2016年9月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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