検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

毛皮ブーム再来 環境改善うたうミンク飼育場のいま

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

毛皮ブームが再来している。ファッション界に毛皮への逆風が吹き荒れたのは過去の話だ。かつて「毛皮を着るくらいなら裸でいい」という反毛皮キャンペーンの広告を飾ったトップモデルたちも、今では毛皮のモデルを務めている。もはや「そのタブーを乗り越えた」と、カナダ、ノバスコシア州のミンク生産者ダン・マレンは言う。

ガス室に送られるミンク

毛皮生産のさかんなノバスコシア州にあるマレンのミンク飼育場を訪れた。彼のミンクがどう生き、どうやって死んでいくのかを見せてもらう約束だった。

マレンが育ったのは旧来のミンク飼育場だったが、彼自身がこの事業を始めたとき、現在のヨーロッパで義務づけられているような大きめのケージを導入した。作業員が1日に数回、科学的に調合された餌(見た目は生のハンバーグに似ている)を、コンピューターの計算に従って分配していく。ケージの下の溝にたまった糞や尿は自動的に清掃され、肥料にするか、バイオガス発電に利用される。

改善を進めたのは、主として動物愛護を訴える活動家からの圧力に応じるためだ。だが結果的に、こうした変化は毛皮生産者にも恩恵をもたらしている。ケージに施されたさまざまな改善が、動物のストレス軽減に役立ち、毛皮の質の向上につながるからだ。かくして毛皮業界では、かつての"敵"に押しつけられたはずの改善策を、今では自慢の種にしていたりもする。

もちろん飼育された動物たちはいずれ死ぬ運命にある。飼育場でミンクを殺す作業を見学した。作業員がケージを回り、1匹ずつしっぽの付け根をつかんで持ち上げる。大半はそうした扱いに慣れた様子で、たまに金切り声を上げるものもいるが、それも一酸化炭素のガス室に送り込まれるまでのこと。ミンクは1分以内に意識を失い、数分後には死んでいた。

「ほかの家畜が殺されるときは、たいてい何百キロも離れた食肉処理場までトラックで運ばれます。作業自体も血まみれのプロセスです」とマレンは言う。「うちの方法は、今ある家畜の殺し方としては、最も動物思いのやり方ですよ」。その翌日に見学した処理プラントでは、機械がミンクの死骸から皮を切り離し、ひとつながりにはぎ取っていた。

私たちはどう受け止める?

毛皮復活の流れをもたらした要因の一つは、毛皮業界が外部からの批判を受け入れ、飼育環境の改善などを進めてきたことだろう。中国、韓国、ロシアの新興富裕層による需要の増大も強力な追い風となった。

取引される毛皮の大半は、飼育されたミンクやキツネなどのものだ。その生産量は1990年代の2倍以上となり、2015年には約1億枚に達した。わな猟による野生のビーバー、コヨーテ、アライグマ、マスクラットなどが例年は数百万枚。このほか牛や羊、ウサギ、ダチョウ、ワニ類も食肉と皮革の供給源となっている。

毛皮人気の復活を、私たちはどう受け止めるべきなのだろう。動物の権利の擁護者たちが主張するように憤慨すべきなのか? 毛皮業界が進めてきた飼育環境の改善を、私たちは称賛するべきなのだろうか?

実際には、大半の人々は毛皮製品など買ったこともないし、おそらく今後も買うことはないだろう。その一方で、私たちのほとんどは肉を食べ、ミルクを飲み、革靴を履き、さまざまな形で動物からの搾取を続けている。人間が昔から行ってきたその営みの規模に比べれば、毛皮など取るに足らない存在だ。

毛皮産業に携わる人々は、好んでそうした暗黙の偽善を糾弾する。業界の人から話を聞いていると、ほぼ全員がどこかの時点でこう主張する。ほかの家畜の生産者たちは、自分たちがしてきたような組織的な改善など、ほとんど迫られてこなかったではないか、と。

(文=リチャード・コニフ、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2016年9月号の記事を再構成]

[参考] ナショナル ジオグラフィック9月号では特集「毛皮ブーム再来の陰で」のほか、人工網膜や遺伝子治療の最前線をレポートする「失明治療 見えてきた光」や、中米の強大な帝国の盛衰をたどる「マヤを支配した蛇の王国」、グランドキャニオン、太平洋の不吉な熱い波などを特集しています。

NATIONAL GEOGRAPHIC (ナショナル ジオグラフィック) 日本版 2016年 9月号 [雑誌]

編集:日経ナショナルジオグラフィック
出版:日経BPマーケティング
価格 : 1,010円 (税込み)

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_