Boys Republic 日本に根づいて狙え"ポスト超新星"
K-POP新世代ファイル(2)
K‐POP市場を活気付ける新世代の人気者とその理由を追う連載。今回はユニバーサルJからデビューした男性5人組グループ「Boys Republic/少年共和国」の日本での戦略を分析する。
女性が求める少年像を形に
K‐POP歌手が他の洋楽のメジャーアーティストたちと大きく異なる点は、日本語をネイティブ並みに操り、日本のバラエティ番組などで活躍する「ローカライズ」の事例があることだ。
一方で、ここ数年は日韓関係が冷え込んだためテレビからK‐POP歌手の姿が消え、活動の場がライブ中心に変化。また、中国などアジアにK‐POP歌手の活動の場が広がっている。スケジュール管理に追われる韓国の事務所は長く時間がかかるオリジナルの日本語楽曲制作より、単発の来日イベントを優先せざるを得ない。こうした事情から、最近では中国語力をメキメキ向上させている歌手が多くなる一方で、日本オリジナル曲や、流暢な日本語でのトークはなかなか聞けなくなっている。
そんな傾向を打破すべく、日本語を猛勉強し、日本独自の楽曲で打って出ようとする5人組の男性グループが「Boys Republic/少年共和国」(以下、ボイリパ)。韓国デビューは13年で、20歳代半ばから後半のボーカル担当3人とラップ&ダンス担当2人で構成。ラップとダンスで見せる"悪童"の部分から、色白で美形を武器に甘く愛をささやく恋人風のバラードまで、女性が大人の男性に求める少年の部分を幅広く味わえることから、広い年齢層の女性ファンを獲得している。
ボイリパは5月に日本に本格上陸し、7月のツアー、9月のオリジナル日本語楽曲のリリースと、日本での活動を本格化させている。
彼らが所属するレーベルはユニバーサルJ。BIGBANGの日本メジャーデビュー初期や、超新星、CROSS GENEなどを担当し、K‐POPを洋楽的に売るだけでなく、ローカライズしてヒットさせる実績を持つ業界大手だ。特に超新星については当初、リーダーのユナクだけが完璧な日本語を操ることができたが、その後の猛勉強を経てメンバー全員が通訳不要に。「他がグローバル展開を目指す中で、日本でのローカライズは特に今の若いファンの目に新鮮に映るはず。K‐POPに限らず日本でボーイズグループのブームが起きており、一角入りを目指す」(ユニバーサルJの運営を統括する楮本昌裕氏)。
今後の計画は大きく分けて、以下の3つ。(1)日本語のオリジナル楽曲を制作、(2)語学を習得し、ファンクラブなどローカライズを徹底、(3)音楽以外の映像系イベントなどマルチエンタテインメント展開。「超新星ではライブを3D撮影した3D映画を全国23の映画館で上映して好評を得た。映像をからめた展開は人気の輪が広がりやすい。特に映画館で映画以外のコンテンツを上映するODSの市場は150億円といわれ、今後も拡大が見込まれる。ボイリパも彼らの成長ストーリーを映像化するなど、ここに進出したい」(楮本氏)。
一連のローカライズ戦略でユニバーサルJの強みとなるのは、5月で契約満了となった超新星の担当チームのノウハウをボイリパにスライドできる点だ。ファンクラブ、グッズ、イベント展開など音楽以外のローカライズも経験値が高い。さらには楮本氏が兼任して社長を務めるユニバーサルミュージック&EMIアーティスツでマネジメントも担当する。
現在、韓国で活動中のメンバーたちは音楽番組出演の合間に日本語教師を楽屋に招き、最低週3日のレッスン、日本のドラマなどでも語学を意欲的に学んでいるという。成果が活動にどう出るか、日本のファンも注目している。
13年の韓国デビュー以来、2015年までの代表作を網羅したベストアルバムを6月に発売。彼ら初となる日本語曲『Hello(Japanese Version)』も収録。日本デビューとなる1stシングル『Only Girl』を9月28日発売。
(日経エンタテインメント! 白倉資大)
[日経エンタテインメント! 2016年8月号の記事を再構成]
9月20日(火)テミン(SHINee)
9月21日(水)BIGBANG、WINNER、iKON
9月22日(木)Boys Republic/少年共和国
9月23日(金)Apink【研究編】
9月24日(土)Apink【インタビュー編】
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