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ビデオカメラ、4Kで復権

静止画も望遠動画も美しく

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NIKKEI STYLE

スマートフォン(スマホ)やデジタルカメラに押されがちだった家庭用ビデオカメラが、フルハイビジョンの4倍の解像度を持つ4K技術によって、撮影機器としての実力を高めている。運動会であれば、子供が50メートル離れたグラウンドにいても軽く望遠でとらえ、高精細の映像で記録する。撮影した映像から切り出した静止画は、本格的なデジカメと比べても遜色なくアルバムに残せる美しさ。この秋、運動会や学芸会などの行事で広く活躍しそうだ。

運動会でも手ぶれ少なく

スマホで写真や動画を撮れるようになって世の中の撮影スタイルは大きく変わった。特に4Kの撮影ができるスマホが登場してから、もうデジカメやビデオカメラはいらないという人もいる。子供の成長を記録するために買ったビデオカメラを、子供が大きくなるにつれて眠らせている家庭も少なくない。

だが4K技術を採り入れたビデオカメラの実力は、従来機種と全く異なる。使い方によっては、最強かつ最も操作の簡単な撮影機器に変身したのだ。

ビデオカメラ、スマホ、一眼デジカメは、映像撮影の考え方や方法が全く違う。それを一番表しているのは、構え方。スマホは片手持ち、デジカメは底面に手のひらを当てるかたち。それに対してビデオカメラはわしづかみで撮る。

10メートル先の子供を写すとする。よくあるパターンで、子どもが走り出し、転んだとしよう。この動きに最もよくついていけるのは、ビデオカメラだ。デジカメは子供が上下に動くと撮りづらい。スマホは片手なのでブレが激しい。これに対して、どんなときでも、動く被写体を確実にとらえる。そう進化してきたのが、ビデオカメラだ。

運動会などで、激しく動く被写体をアップにして追尾するときでも、動画で進化したビデオカメラは焦点、露出などの光学的な操作を自動で合わせ込む。

デジカメも焦点などの自動操作モードを持つが、どちらかというと被写体の追従よりも、背景を強くぼかすなど自分の好きな作品に仕上げることを優先している。創作の一眼デジカメ、実用のビデオカメラの違いがある。

では、ビデオカメラで撮影した動画や静止画が一眼デジカメに劣るかというと、そうではない。なぜならビデオカメラのとらえる世界が肉眼に極めて近いからだ。例えば、夜、人間の目は慣れさえすればかなり暗くても大丈夫。また逆光で目が一瞬くらむようなときでも、きれいに撮れる。ピンぼけもない。ビデオカメラは、このような特長を持つ。

自分の意図する静止画などを狙うなら一眼デジカメ。シャッターチャンスを逃さず、いいスナップ写真や動画が欲しければビデオカメラというすみ分けとなる。スマホは簡便だがレンズが小さいなどの制約があり、撮影専用に作られた一眼デジカメやビデオカメラに比べて限界がある。スマホはとりあえずの動画を担当するという切り分けになるだろう。

ビデオカメラは望遠と音も優れている。望遠用レンズを用意しなくても、はるか遠くの人物などをとらえることができる。そして音。5つのスピーカーと1つの低音用スピーカーからなる「5.1チャンネルスピーカーシステム」に対応している。これらはデジカメと大きく違うところだ。

データ量4倍、後加工もOK

今回の4K化でビデオカメラは2つのことを手に入れた。1つは高画質の静止画を作れるようになったこと。撮影した映像から、実質約800万画素で静止画を切り出すことができる。一般的なプリントサイズの「L版」でもきれいだ。さらにハイビジョンの4倍ものデータ量を持つ4Kでは、動画の後加工が可能になった。撮影後に、手ブレを修整したり、被写体を画面中央に入れたりできる。これが2つ目だ。ただし修整した映像は4Kでなくハイビジョンとなる。

現在、4Kビデオカメラはソニーパナソニックから販売されている。ソニーは「空間光学手ブレ補正」と呼ぶ独自の手ブレ補正機構を搭載するなど、高画質に強くこだわる。パナソニックはサブカメラを搭載し、運動会で全体の映像と子供だけの映像の両方を撮ることができる「ワイプ撮り」を採用。高画質とともに遊び心が光っている。

(生活家電.com主宰 多賀一晃)

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