24時間テレビ司会に抜擢 NEWS、個の力で再ブレイク
解散の声まで出ていた"不遇のジャニーズ"が返り咲きつつある。そんなグループ「NEWS」はなぜ復活できたのか。本人たちは今、どういう心境なのか。
開店休業期に培った個々のキャラ力で再ブレイクへ
2016年春の改編でMC番組が3本スタート。ジャニーズタレントでは初となる映像作品への原作提供など、この1年、NEWSのニュースが増えている。8月27～28日放送の『24時間テレビ39・愛は地球を救う』（日テレ系）のメインパーソナリティーに選ばれたことから、さらに拍車がかかった。
04年にメジャーデビューした彼らは、ジャニーズ事務所のグループとしては真ん中くらいの年次にあたる。嵐は2代上の先輩で、すぐ下の後輩は関ジャニ∞だ。
もともと9人いたメンバーが次々脱退し、4人になったのは有名な話。よりによって前列のメンバーが抜けていったため、グループ活動が開店休業状態だった時期もある。12年『チャンカパーナ』をリリースし、現行メンバーで再始動。それが昨年あたりから勢いを見せ始めた。彼らの後にデビューした後輩は8組。ジャニーズだけ見ても大変な混戦模様なのだが、再ブレイクの波に乗れたのにはそれなりのワケがある。
キャラクターと歌を武器に
NEWSには2つの大きな武器がある。ひとつは個々のキャラが世間に浸透していること。もうひとつは歌で勝負できることだ。
グループには報道キャスターの小山慶一郎をはじめ、バラエティーで大活躍の手越祐也がいる。小説家として存在感が高まっているのは加藤シゲアキ。増田貴久は、ファン以外にはなじみが薄いかもしれないが、コンサートリーダーとしてグループの核となる活動を支えている。推したところでうまくキャラが認知されるか分からないご時世で、この認知の差は大きい。
「歌」はダンスより上達が難しいといわれるジャンル。手越と増田によるボーカルユニットを内包するNEWSは、もともと歌のポテンシャルが高い。それはダンスに重きを置く、多くのボーイズグループに対してアドバンテージを持っていることを意味する。実際、音楽番組で彼らを見て歌唱力に驚く人は少なくない。最近は難易度の高い曲も見られ、『四銃士』（15年11月）の原曲は、クラシック音楽だった。オーケストラの指揮として参加した西本智実は「歌い出しはクラシック作曲用語で"ドッペルドミナント"と言い、始まりとしては特別な和音コード。いきなり転調させている」と自身のブログでコメント。これをこなせる彼らの楽曲表現は今後どんどん豊かになっていくに違いない。
一時は解散の道しかないと言われていた彼ら。4人で真のブレイクスルーを見せるのはこれからだ。
【この1年の4つのポイント】
（1）最大の武器は"個"、ジャケでも強調
13年と14年はいずれも1枚しかなかったCDリリースが昨年は一気に4枚に（内1枚はDVDシングル）。これは最多だった08年と同じ枚数で、今年もすでに3枚をリリース、ペースを確実に取り戻している。そして昨年11月の『四銃士』以降は、ジャケットに共通点も。4分割された"個"を強調したデザインは、NEWSの特徴を改めてアピールした表現に見える。
（2）グループのバラドルぶりが開花
今年の春は『変ラボ』（日テレ）、『NEWSな2人』（TBS系）、『少年倶楽部プレミアム』（NHK BSプレミアム）とメインやMCの番組が3本スタート。なかでも科学実験をテーマにした『変ラボ』は、4人のバラエティータレントとしての能力が分かる番組だ。手越を除けば一見おとなしそうな彼らだが、捨て身な体当たりとリアクションがとにかく笑える。番組としても成長することを期待したい。
（3）悲願のドームツアーはもう間近？
4人体制でのアルバムツアーは今年で3回目。会場は各地のアリーナが中心だが、去年今年と最終公演は東京ドームだった。ジャニーズといえばドームは当たり前のように思えるが、4人にとっては夢の会場。そこを2年連続で満席にできたことは今後のライブに向けて大きな弾みになるだろう。『24時間テレビ』で彼らに関心を持つ人が増えれば、ドームツアーも夢ではなさそうだ。
（4）『24時間テレビ』からまさかの依頼
『24時間テレビ』のメインパーソナリティーは7年ぶり2度目。ただ前回のメンバーは6人。会見の席で加藤は「きっともうないだろうと思ってた」と明かした。不遇を経験した彼らは今、仕事が楽しくてしょうがない。「できることが少しずつ増えてきて、これまでで今が一番期待してもらっている時だと思う」と増田。例年以上に関係者のエールが強いことも付け加えておきたい。（8月27～28日/日テレ系）
【メンバ－紹介】
手越祐也（28） チャラさも愛嬌！？ 天性の愛され強心臓
自称"地球で3本の指に入るほどポジティブ人間"。何に対しても自由奔放なジャニーズNo.1のチャラ男だが、底抜けの明るさで高い"愛され力"を誇る。20年以上に及ぶサッカー歴が実り、12年からは日テレ系『FIFAクラブワールドカップジャパン』のメインキャスターに。ビジネス書や経済本にもよく目を通し、本誌もチェック対象誌のひとつ。個人のキャラが浸透した今、次なる野望はNEWSをNo.1グループにすること。「今年はグループの貯金をたくさんします」ともくろむ。
増田貴久（30） プロアイドル兼、緻密な職人クリエイター
ペットのようなかわいらしさからか、昔から年上女性人気が高く、バラエティー番組で行ったNEWSのイメージ調査では、"おしゃれ"というキーワードでファン以外にも存在が知られ始めていることが判明。ファンに夢を見せる立場であることを大切に、日常でもそれを徹底している。キャラのなさをネタにすることも多いが、グループがまとう白いイメージは彼の担う部分が大きい。ソロ曲ではEDMに多彩な声色や高い歌唱技法を重ねた隙のない世界観を作り上げ、オスの一面をのぞかせる。
小山慶一郎（32） 野菜の実勢価格を知る生活密着型リーダー
Jr.時代からトークや司会が得意で、ジャニー喜多川社長に「ユーはテレ朝に入社してアナウンサーとアイドルを兼業しなさい」と妙案（？）を出されたこともあるという、グループきってのMC担当。月～木でニュースキャスターを務めるようになってからは"野菜の値段やサラリーマンの曜日感覚を知っている稀有なアイドル"を自負する。ドラマ出演はご無沙汰だが、「僕自身は、その気になればやれる気でいます。ファンの皆さんが諦めないでいてくれるなら！」とのこと。
加藤シゲアキ（29） ゲテモノ食い作家としてアングラ感が加速
12年『ピンクとグレー』で小説家デビュー以来、年1ペースで新作を発表。討論好きで、トークテーマを選ばないことから"ジャニーズの文化人"としての顔を確立しつつある。真面目な性分がそうさせるのか、メンバーがふざけていても簡単には乗っからないが、スイッチが入ると自虐ネタを連発するなどメンバーもひるむ"進撃のシゲ"に豹変。最近は、カラス、クリオネ、オオグソクムシなど、何でも食べる"ゲテモノ食いキャラ"が開花。アングラ感を加速させている。
（ライター 木村尚恵、上甲薫、関亜沙美、田原知瑛、江藤清香）
［日経エンタテインメント！ 2016年9月号の記事を再構成］
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