高速渋滞ピーク13・14日、「山の日」で分散効果も
編集委員 小林明
明日からいよいよ高速道路などでの移動が集中するお盆期間(8月6日~16日)に突入する。なんといっても、今年のトピックスは新たな祝日「山の日」(8月11日)が導入されること。木曜日にあたる8月11日から週末にかけて渋滞のピークが分散すると見られ、帰省客や行楽客にとっては比較的移動しやすい日並びとなった。原油安などの影響もあり、自動車で高速道路を移動する利用者はさらに増えそうだ。
高速道路各社が発表した渋滞予測の詳細とともに、今年の高速道路利用の「傾向と対策」を探ってみた。
■「山の日」が新設されるワケ、6連休や11連休も可能に
なぜ「山の日」が8月に新設されることになったのか?
「海の日(7月第3月曜日)があるのだから、山の日があってもいいのではないか」という意見が強まったことに加えて、行楽シーズンの8月にこれまで祝日がなかったことが主な理由。
当初は「連休に直接つなげやすい」として8月12日を祝日「山の日」にする案が検討されていたが、「日航ジャンボ機墜落事故(1985年8月12日)が起きた日を祝うのは好ましくない」との反対論が噴出したため、最終的に1日前倒しして8月11日にすることに決まった(祝日や大型連休の基礎知識については2015年10月2日掲載の当コラムを参照)。
お盆は迎え盆(盆入り)の8月13日から送り盆(盆明け)の16日までの4日間を休みにする人が多い。今年はこの4日間が週末に重なってしまう不利な日並びになったが、「山の日」が新設されたため、翌日の12日を休めば11~16日の「6連休」を取ることも可能。なかには8、9、10、12日の平日を一気に休んで6~16日の「11連休」にしてしまう人もいるようだ。
「山の日」が新設されることで「より長い休みが取りやすくなり、移動する日取りや時間帯の選択肢が増えるので下り線・上り線の渋滞は分散する」(東日本高速道路)と見ている。
ピークは下り13日・上り14日、移動日が増えて渋滞分散
高速道路各社(東日本、中日本、西日本、本州四国連絡高速道路など)の渋滞予測をグラフ化すると全体の動向がつかみやすい。10キロ以上の全国の高速道路の渋滞回数のピークは下り線が8月13日で35回、上り線が14日で47回。どちらも昨年予測の下り線のピークの37回(13日)、上り線のピークの49回(15日)よりも低く予想している。「山の日」効果で渋滞のピークが分散するためだ。
下り線の渋滞は11日の「山の日」から一気に増え始めるが、ピーク日の13日のほか、12日や14日など前後にも渋滞が分散する見通し。上り線もピーク日の14日のほか、15日や16日にも渋滞が分散すると予想され、渋滞のピークを少しでも避ける工夫をすれば時間の節約効果は大きいと見られる。
ただ「様々な形の休みが取りやすいので近場の旅行などもしやすくなり、渋滞のピークは拡散するが、渋滞の回数そのものは増える」(中日本高速道路)と見ており、10キロ以上の渋滞回数は下り線全体で178回、上り線全体で268回と昨年のそれぞれの予測(下り線全体164回、上り線全体255回)を上回ると予想している。
近場への旅行でも、移動の日取りや時間帯をずらすなど渋滞に巻き込まれるリスクをできるだけ軽減する工夫をした方がいいだろう。
下り線は「相模湖IC」「花園IC」で最長45キロ渋滞
主な高速渋滞の一覧表を見ると、ピーク時30キロ以上の渋滞は下り線で12カ所、上り線で15カ所。下り線では中央自動車道の「相模湖IC」(6、11、12、13、14日)が5回で最も多く、東名高速の「伊勢原BS」(11、13日)が2回、あとは関越自動車道の「東松山IC」(11日)、「高坂SA」(12日)、「花園IC」(13日)、東北自動車道の「羽生PA」(13日)、中国自動車道(名神高速)の「宝塚東TN」(13日)がそれぞれ1回ずつを予想している。
ピーク日となる13日には5カ所の渋滞が集中しており、同日は「花園IC」と「相模湖IC」で下り線で最長の45キロの渋滞が発生する見通し。渋滞のピーク時刻は「花園IC」が午前8時、「相模湖IC」が午前6時なので、特にこれらの時間帯の移動は避けた方が賢明だろう。
上り線は14日「高坂SA」「大和TN」「上河内SA」で最長45キロ渋滞
一方、上り線では中央自動車道の「小仏TN」(7、14、15、16日)と東名高速の「大和TN」(7、13、14、15日)がそれぞれ4回ずつで最も多く、関越自動車道の「高坂SA」(7、14日)と東北自動車道の「上河内SA」(14、15日)が2回ずつ、あとは東北自動車道の「加須IC」(14日)、常磐自動車道の「柏IC」(14日)、「日立中央IC」(15日)がそれぞれ1回ずつを予想している。
ピーク日となる14日に6カ所の渋滞が集中しており、同日は「上河内SA」と「高坂SA」と「大和TN」で上り線最長の45キロの渋滞が発生すると予測。渋滞のピーク時刻は「上河内SA」が17時、「高坂SA」と「大和TN」が18時なので、特にこれらの時間帯の移動も避けた方がよさそうだ。
首都圏の出入り口に要注意、圏央道開通で都心の渋滞は緩和
下り線も上り線も、総じて東日本の方が西日本よりも高速渋滞は圧倒的に多い傾向がある。「特に巨大な人口を抱える首都圏への出入り口に発生する渋滞には注意が必要だ」(東日本高速道路)という。
一方、西日本では13日に下り線で中国自動車道(名神高速)の「宝塚東TN」で30キロの渋滞が発生すると予測。西日本でお盆期間に30キロ以上の渋滞が予想されるのは唯一これだけだ。
首都圏では昨年10月31日に首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の埼玉県内の区間が全線開通した。東名高速と中央自動車道、関越自動車道、東北自動車道が圏央道を通じて初めてつながったことで「都心の渋滞は一段と緩和されつつある」(東日本高速道路)と見ている。
「ながら運転」は絶対禁止、「ポケモンGO」ブームで注意喚起
最後になったが、絶対にしてはいけないのがスマートフォンを使いながらの運転。
渋滞に巻き込まれ、時間をもてあましたドライバーがもし運転中に「ポケモンGO」(Pokemon GO)などに興じてしまうようなことが起きたら、取り返しのつかない深刻な事故を招くことになる。楽しい夏休みを台無しにしないように高速道路各社や警察は安全運転の徹底を利用者に呼び掛けている。
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