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アナログオーディオの奥深い世界 女優・奈津子が紹介 女優・奈津子の教えて家電ティーチャー

日経トレンディネット

2016/8/7

『アナログオーディオフェア』に行ってきます!

日経トレンディネット

 「ふぅ~、すっかり暑くなりましたね~」

 数多くの大学や専門学校が集まり、書店街や楽器街としても知られる東京・お茶の水にやってきた奈津子さん。

 「今回は『アナログオーディオフェア』をリポートしますよ!」

「では、行ってまいります!」

■アナログレコードの注目度がますますアップ

 家電ティーチャーの奈津子です! 今回は、東京・御茶の水駅から徒歩5分ほどの距離にある損保会館で開催された「アナログオーディオフェア2016」へ潜入してきました!

 これまで、数多くのオーディオ関係のイベントを取材しているので、“沼”と言われる深~いオーディオの世界も少しは理解しているつもりだったのですが……。

 今回のイベントの、あまりのディープさに初心に帰らせられる機会となりました(汗)!

 会場内は予想を遥かに上回るほどの大盛況っぷりで、2日間の開催で約3000人ほどの来場者があったそうです。

■アナログターンテーブルも“リケーブル”で音質強化

 初めに訪れたのが「Analog Relax(アナログリラックス)」のブース。レコードのほこりを除去する「除電ブラシ」が以前からマニアに熱烈な支持を受けています。

 今回、同社が販売する製品のなかで最も興味深かったのが「吟醸リード」です。

 ところで、「シェルリード」ってご存じですか? レコードの溝から音の信号を読み取る部分を「カートリッジ」と呼ぶのですが、カートリッジをターンテーブルのアーム(「トーンアーム」と呼ばれます)に取り付ける前段階として、「ヘッドシェル」と呼ばれるアダプターに装着する必要があるのだそうです。カートリッジとヘッドシェルをつなぐケーブルのことを「シェルリード」と呼ぶのだとか。吟醸リードとは、交換用のシェルリードのことだそうです。

「シェルリードというのは、『ヘッドシェル』(ヘッドの外殻の部分)と『カートリッジ』(レコード針が付いた先端部分)とをつなぐケーブル(リード線)のことだそうです」
アナログリラックスが販売する「吟醸リード」

 製品名の通り、「米」を磨き上げて至高の味を実現していく日本酒の“吟醸酒”をイメージしたとのこと。手持ちのシェルリードを、この「吟醸リード」に交換するだけで音が断然変わるというのです。ポータブルオーディオの世界でも、イヤホンやヘッドホンのケーブルを交換する「リケーブル」がとても人気になっています。安いものでも数千円、高いものでは数万円から数十万円のものまであるそうで、とんでもない世界ですよね……。吟醸リードもそんなお値段なんでしょうか……?

「今回はこれらの『吟醸リード』を試聴させてもらいますが、本当に音が変わるんでしょうか……!?」

■5000~1万5000円で音がガラリと変わる

 吟醸リードは、「ジャズモデル」、「ピアノトリオモデル」、「ボーカルモデル」、「ロックモデル」、「ポップスモデル」の5つのカテゴリーがあり、それぞれスタンダード型とアドバンス型を用意しているため計10種類のラインアップがあります。

「スタンダード型は付属リード線からのエントリーモデルで、『中音域』を重視して仕上げられているのだとか。アドバンス型は愛聴盤を徹底的に気持ち良く鳴らすハイエンドモデルで、全帯域に渡って音圧がアップし、解像度が向上するそうです」

 カートリッジの先端にギザギザ加工がされていない「リードペンチ」で優しく、やさし~くリード線を付け替えるのですが……。これがちょっぴり難しい。

「実際にシェルリードの付け替えにチャレンジさせてもらいました!」

 気づけば手には汗がびっしょり。間違っても断線させないよう細心の注意を払います!

 気になる音質については、なるほど……確かに、付属のリード線で聴いたものよりも、付け替えた後に試聴した方が解像度が格段に上がり、より“音の旨味”が引き出されている感じがします。

 特にジャズモデルを使用して聴くジャズの楽曲は、よりラウンジにいるような感じが増していて音の広がりがアップし、とても気持ちのイイ音に! ボーカルモデルも、女性モデルの声にツヤっぽさが足されて最高に気持ちよかったです。

「リード線の基になる針金にも触らせてもらいましたが、手触りの違いは音質の違いを感じることよりも難しかったかも……」

 吟醸リードの音の違いの秘密は、さまざまな技術を駆使してツルツルにされた線材の“磨き”の技術だそうです。手がけたのは、隣のブースに出展していた「シェルリード専門工房 KS-Remasta」代表の柄沢伸吾さん。その名の通り、シェルリードを専門に手がけているというのだから驚きです。

「シェルリード専門工房 KS-Remasta」代表の柄沢伸吾さん

 柄沢さんいわく、「スピーカーやアンプに予算をかけるよりも、気軽に、なおかつ大幅に音質を改良したいのならば、シェルリードこそ重要。どちらかというとお得に楽しめます」とのこと。

 ちなみにカートリッジで読み取ったレコードの音声信号というのは、CDのライン出力の1000分の1ほどしかないんだとか。それだけ微小な信号を送り出すとなると、ほんの少しでもノイズを減らせるだけで劇的な違いが生まれる可能性があるのかもしれません。

 確かに、限られた予算でどうしても音質を改善したいとき、「この手があったか……!」って感じです。ちなみに直販価格は「スタンダード」が5000円で、アドバンスは「ロック」と「ポップス」が1万円、それ以外は1万5000円だそうです。安くはないですが、リケーブル用ケーブルの数万円から数十万円といったものに比べると安心価格ですね。

■Zonotoneブースでも「シェルリード」発見!

 レコードの奥深さに想いを馳せていたところ、なんとお近くの「Zonotone(ゾノトーン)」ブースでも、こだわり抜いて作られたイチオシのシェルリードが展示されていました。

前園サウンドラボの「Zonotone(ゾノトーン)」ブースにやってきた奈津子さん

 最上位モデルの「8NLW-8000 Prestage」(希望小売価格7600円)は音の解像度が格段にアップするのが感じられました。カートリッジの音信号をダイレクトに受け継ぐものだからこそ、導体には8N銅線(純度99.999999%以上の銅線)を中心に高純度な4種の素材を組み合わせただけでなく、さらに2層重ねた構造になっているのだそうです。

 「Z・SHELL 10」(希望小売価格2万3000円)というヘッドシェルは中心部にチタンを圧入して振動を抑えることに成功したのだとか。私も試聴してみましたが、とてもクリアな音に感じられました。

「シルバーの部分がトーンアームで、『Zonotone』というロゴが書いてある部分がヘッドシェルの『Z・SHELL 10』、ヘッドシェルにねじ止めされているのが『カートリッジ』で、そこからカートリッジに向かって伸びているのが『シェルリード』です」
Zonotoneブースで試聴する奈津子さん

 さらにこちらのメーカーではリード線と同じく、こだわりの素材で作られたケーブルもウリなんだそうです。

 担当の方いわく、こだわりの素材が黄金比で調合されて作られた製品は「まるで調味料が絶妙に混ぜ合わされたスパイスのカレー。音作りも、お料理と通ずる所があるんです」とのこと。おぉぉ!これはなんとも分かりやすい例えです。

■アナログレコード界のベンツ現る……?

 さすがに目玉が飛び出しそうになったのは、ハマダ電気さんの約100万円のトーンアームです!!

希望小売価格100万円のトーンアーム「MH-124S」を前に驚きを隠せない奈津子さん。DLC(ダイアモンド・ライク・カーボン)という硬質カーボン被膜を施したブラックカラーのモデルと、窒化処理を施したブラウンカラーのモデルをラインアップしている
独トランスローターのターンテーブル「ZET3」も実勢価格70万円前後とかなりの高額だが、トーンアームはそれを超えるのだから驚きだ

 ひゃっ、ひゃっ、ひゃくまんえん…!!! トーンアームだけで100万円!!

 車に例えるならば、まさにレコード業界のメルセデス・ベンツといっても過言ではないほどの価格帯なんでしょうか。それともまだ上には上があるんでしょうか……?

 このプレミアム感なら、さぞや儲けていらっしゃるのかと思っていたのはココだけの話です、が……。

高級トーンアームは「部品や表面処理にお金がかかってしょうがない」と話すハマダ電気の濱田政孝社長

 濱田社長いわく「部品単価が高いため、全然儲かっていません。重量があるとしっかりと走りやすいというのは、車選びの考え方にも通じており、ある程度の重さを意識して作られています。音質があまりに良すぎるので、できればプレーヤーもアンプもそれなりのものを使用した方が、音のアラが目立たずにクリアな音を楽しめます」とのことでした。

 100万円のトーンアームなどというものがあるのはここで初めて知ったのですが、実際に聴いたところ音はかなりクリアで、確かに「一切の雑味なし」という感じでした。

100万円と聞いて、針を落とす手にも緊張感が走る奈津子さん

■針不要のターンテーブルなんていうのも、あるんです!

 前述した100万円のトーンアームと同じぐらい驚いたのが、“針不要”だというエルプの「レーザーターンテーブル LT-master」(メーカー希望小売価格150万円)です。

「レーザーターンテーブル LT-master」(希望小売価格150万円)を紹介するエルプの竹内孝幸さん

 どっしりとした存在感のある見た目ですが、こちらはなんと針を使わず、アナログレコードに刻まれた溝をレーザーで読み取って音にするのだそうです。

 レコード特有の針の置き位置にも左右されないので、まるでCDプレーヤーでCDの頭出しをするかのような感覚で簡単に操作できます。

「スキャンを開始すると、レコードに収録されている曲数や時間が表示され、頭出しが可能になるんです」

 反射光を電気信号に変える仕組みで、デジタル変換を一切していないため、レコード本来の音をまるでマスターテープを聴くかのように味わえるとのこと。

 カートリッジやトーンアーム、針などを一切準備する必要がないターンテーブルなんて……すごすぎる。

 しかもこのレーザーターンテーブル、実は最初に発売されたのは約26年前で、このモデルは第5世代というではありませんか。

「26年前に誕生といったら、私、ほぼ同い年です! そんなに前から存在していたんですね。なんだか愛着がわいてきました」

 たっぷりと試聴しましたが、音が確かにかなりリアルで、ノイズがほとんどなく、レコーディングされた時代の空気感までたっぷりと伝わってきました。

■“往年の大スター”、Technicsが復活!

 “再び、世界が回りだす”という印象的なコピーを掲げていたのはパナソニックの「Technics」ブランド。なんで“再び”なの?と思っていたら、40年以上前から愛されていた往年の銘機「SL-1200シリーズ」が久しぶりに復活したモデルだからなんですね。

「Technicsブランドの試聴コーナーにやってきました!」

 こんなにも長い間、ファンの皆さんから支持されているなんてすごい。

 ラインアップは「SL-1200G」と300台限定モデル「SL-1200GAE」の2機種。「SL-1200G」はまだ予約可能で、発売は2016年9月9日を予定。SL-1200GAEは、残念ながら予約開始から約30分で完売したんだとか。

奥が「SL-1200G」で、手前が300台限定モデルの「SL-1200GAE」

 2台ともに仕様も価格(希望小売価格33万円)もほぼ同じなものの、限定品にはシリアルナンバーが施されている点と、アーム部分がシャイニーシルバーに加工されている点、振動を抑える「インシュレーター」の部分に特殊なシリコンを使用しているという違いがあるそうです。

 SL-1200Gではクラシックをたっぷり試聴しましたが、中音域が鮮明で繊細な音がしました。

 現在26歳の私は、“音楽はCDで聴く”というのが当たり前のデジタルで育った世代。だからこそ繊細な気配りを必要としながらも温かみのある音色のアナログレコードを、これからも探究せずにはいられません!

(文/奈津子 写真/石井明和 構成/安蔵靖志)

奈津子(なつこ)
女優・タレント。家電製品総合アドバイザー ゴールドグレード(AV情報家電)。元SDN48。特技は茶道、日舞、家電。餃子部部長。

[日経トレンディネット 2016年7月13日付の記事を再構成]

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