Eテレ5分番組「0655」… アニメや歌日替わりで
「ピタゴラ」制作陣が活躍
かわいいアニメーションやシンプルでユーモアのある歌など、日替わりコンテンツが満載。『0655』と『2355』は、月曜から金曜の6時55分と23時55分から始まるEテレの5分のミニ番組だ。テレビ離れが進み、タイムシフト視聴が浸透するなか、本来のテレビの役割だった"時を刻む、時を共有する"ことを意識し、2010年春から放送を開始した。『0655』では社会へと向かう人を元気に送り出し、『2355』ではゆったりと"個人"に戻れるコンテンツを目指している。
制作を担当しているのは、子ども向けの知育番組『ピタゴラスイッチ』も手がけるユーフラテス。物語仕立ての「日めくりアニメ」や、オリジナルの「おはようソング」と「おやすみソング」、爆笑問題の田中裕二が出演する月曜朝の「たなくじ」など、複数のコーナーで構成される。新曲や新作も作られ、4月からは「おはようソング」に「さらばシリーズ」が、月曜夜に「一人ナイツ」が加わった。
「さらばシリーズ」は、失恋した男性が街を立ち去るときに、その土地の名前のルーツとなるものを改めて発見するという歌詞で、ロス・プリモスが歌っている。企画・作詞したアニメーターのうえ田みお氏は、「地名として定着しすぎて、意味を失っている場所があるということを示したくて、最初は映像で説明する企画で考えていました。でも、教育的すぎると思って寝かせていたんです」と語る。その後、別の新曲をロス・プリモスに依頼した縁があり、ムード歌謡風の歌にすることを思いついた。「毎日の放送で視聴者は同じフォーマットのものを何回も見ることになる。意図するところばかりが前面に出ていると飽きられてしまうので、3~4回見ても違う味わいが出る作りを目指しています」
「一人ナイツ」は、漫才を1人ずつ見せるもの。ナイツが別コーナーに出演したときに、「自分たちの漫才は溶けあったメロディーではなく、要素を分解できるテクノ」だと雑談で話していたことがヒントになった。担当プランナーの米本弘史氏は、「ユーフラテスがものを作るときの考え方のひとつに、"想像力を必要とする表現"というのがあるんです。見る人が頭の中で補うことでより面白くなるというような。塙さんのボケだけ、土屋さんのツッコミだけを見せることで、単純ではない楽しさが出ると思ったんです」。
小泉今日子や木村カエラらが歌に参加するなど、キャストの豪華さも目を引く。「企画の趣旨を説明すると、みなさんオファーを受けてくださいます」(うえ田氏)。5分の枠だからこそ、あらゆることに1秒単位でこだわっている。これからも、常に番組がそこにある安心感を意識して制作していくとのことだ。
(「日経エンタテインメント!」7月号の記事を再構成。敬称略、文・内藤悦子)
[日経MJ2016年7月22日付]
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