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ソニー「α6300」に待ったをかけた想定外のアイツ

落合憲弘の「へそ曲がりデジカメ生活」

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NIKKEI STYLE

日経トレンディネット
今回のお題は、ソニーのAPS-Cミラーレス一眼「α6300」だ。ファストハイブリッドAFのデキで写真ファンをアッといわせた「α6000」の後継モデルで、AF測距点の増加など基本性能に磨きをかけてリニューアルした。α6000を高く評価して衝動買いした落合カメラマンは、見事にスペックアップを果たしたα6300の仕上がりに興味津々だったものの、意外にも引っかかる部分を感じて衝動買いを見送ったという。

高速性能に優れたAPS-Cミラーレス機の先達「α6000」をこの連載で扱ってから早1年半。最近は時間がたつのが早くて、ホントにイヤんなっちゃう。たった3日後の遠足が死ぬほど待ち遠しかった小学生時代の「時の歩みのノロさ」は、アレはアレで苦痛に満ちた時間だったりしたのだけど、早すぎるってのも正直ビミョーですわな。新製品をいち早く予約、その発売が待ち遠しくて日々、身悶えることになり仕事も手につかない……なんていうツラさとほぼ縁が切れている現状は、ある意味シアワセであるようにも思えますが(そこかよ)。

α6000に対しては、ミラーレス機として飛び抜けている動体捕捉能力(とりわけAFの対応力)に目が点になると同時に口角が女優の黒木 華レベルで上がってしまうほどにニヤリだった。条件によっては、一眼レフに比肩する使い心地と仕上がりが得られたからだ。そして私は、同記事の最後の方でこんなことをいっていた。

「細かな不満点はいくつかあるけれど、本当に心配なのはそう遠くない将来に新型の登場があるのではないかとの疑い(恐れ)が捨てきれないところかな。だってぇ~、新型のAFは相当よくなってそうじゃーん」

α6000を自分で手に入れかなり気に入っていたオッサンの心の叫びである。将来"新型"が登場するという流れは、それがオワコンでない限り避けることのできない宿命であり、ありがたい進化だ。でも、所有する機材が陳腐化するのを目の当たりにして100%の笑顔を維持し続けるのは難しい。とかナンとかいいながら、"新型"にはけっこう期待していたりもするわけで……。むかし松田聖子が歌っていた「あなたなんて嫌いだけど大好きなの。嘘よ、本気よ」にも似た人情の機微は、こんなオッサンにも備わっているってぇことだ。

質感は大幅に向上、待望の電子水準器も搭載

「α6300」を初めて手にしたとき、思いのほかズングリムックリであることにちょっとだけビックリした。と同時に、精悍さ&高級感がグンと増している。これは、金属素材の採用と艶消しになった塗装の効果かもしれない。

α6000が華奢なインテリ事務職ふうであるとするならば、α6300は日サロ通いを日課とするマッチョ系ホストって感じで、つまりお二人の見た目と手にした感じには似て非なるものがある。でも、両者を比較しても「α6300が重くて大きくてイヤ!」ということにはならず、どちらかといえばα6000のスリムさと軽さがより際立つようになったとの印象が強い。α6300だってAPS-Cセンサー搭載のレンズ交換式デジカメとしては十分に小さく軽量なのだ。

α6000とα6300を並べ比較撮影をしていたとき、α6000のファインダーをのぞきながらDISPボタンを繰り返し押すという行動を知らぬ間にしていることがあった。「あれ? おかしいなぁ」なんていう独り言を口にしながらファインダー内に水準器表示を出そうとしていたのである。しかしそれは、実を結ばぬムダな努力だ。なぜなら、α6000には水準器表示はないからである(α6300にはちゃんと装備された)。

個人的に感じているα6000最大の「物足りないポイント」が水準器未装備であるところなのに、無意識の行動で水準器表示を求めてしまうとは……。α6000だけではなくα7s、RX100、RX100M3、RX10、RX10M2、RX10M3を所有する私にとって、DISPボタンの連続押下で水準器表示を引っ張りだしてくる行動はごく自然な所作。とはいえ、お恥ずかしい限りの無防備な行動ではあった。

α6300とα6000の実際の使い比べでは、背面モニターの見え具合やシャッターを切った感触にはさほどの違いは感じない一方、EVFの見えはα6300の方がよりクリアになっているように思える。このあたりについては、総ドット数の差(α6000が144万ドット、α6300が235万9296ドット)がそのまま見た目の印象につながっているようだ。

さらに、連写に関しては連写速度Hi(約8コマ/秒)時に「連写中のファインダー像が、若干の瞬きを伴いつつ、あたかも動画撮影をしているときのように見え続ける」という、光学ファインダーにさらに一歩近づいたともいえる新たな撮影感触に新しさが明確だ。このあたりの"デジカメの進化"に関し、ソニーはホントに強いね。RXシリーズに搭載の積層型センサーによるアンチディストーションシャッターもそうなのだけど、ミラーレス機やコンデジの弱点を次々に潰してくるさまは、お見事というほかはない。

AFは測距点こそ増えたが、ピントの追従性は大幅な進化なし?

ちなみに、連写モードの表記とコマ速は両者、以下のようになっている。

α6000


Hi : 最高約11コマ/秒
Mid : 最高約6コマ/秒
Lo : 最高約2.5コマ/秒

α6300


Hi+ : 最高約11コマ/秒
Hi : 最高約8コマ/秒
Mid : 最高約6コマ/秒
Lo : 最高約3コマ/秒

「Hi+」というポジションの新設定には苦労が忍ばれるけれど、両機ともAF追従は最高速の11コマ/秒までOK。いやぁ、たいしたものであります。

ただねぇ、α6300のAFがα6000との比較で大幅に良くなっているのかどうかについては、ズバリ言い切ることはできないってのが正直なところかなぁ。「世界最速0.05秒のファストハイブリッドAF」(α6000は0.06秒)「世界最多の425点像面位相差AFセンサー」(α6000は179点)「コントラストAFの測距点は169点」(α6000は25点)と数字の上ではビックリの進化を果たしているα6300AF関連スペックなのだけど、実際に動体をAF-Cで捉えているときにバチピン(バッチリピントが合っていること)までピントを追い込む能力は、ぶっちゃけα6000とさほど変わっていない印象なのだ。

たとえば、27インチぐらいのモニターを用いて画角全体が見渡せる状態(全画面表示)で動体を捉えている仕上がりを鑑賞しているとしよう。そのときには、ピントには問題がないように見える。でも、等倍でチェックすると、実は微妙にピントを外していることが少なくない。かと思えば、連写した一連のカットのうち6割程度がバチピンで撮れていることも……。そのあたりの「仕上がりに見られるピント精度(等倍でピントチェックした場合のヒット率)」のブレ幅が大きいのである。

等倍で画像をチェックすることの意味や善悪については、いろいろな意見があろうことかと思う。でも、一眼レフではバチピンが得られる(得られて当然の)条件下における動体撮影で「ほんのちょっぴりだけピントを外している仕上がりを量産することが多い」のがα6000でありα6300なのだ。いや、ひょっとしたら、α6000の方がカメラに対し前後方向に移動している被写体に対するピントのヒット率は高かったかも?

仕様表の表記によれば、α6000、α6300ともにAFは動体予測をしているようである。でも、微妙にピントを外している仕上がりのテイストは、動体予測がうまい具合にヒットしていないときの写りを彷彿とさせるもの。動体に対し、AF-Sでその都度ピント合わせをしながら間髪を入れずにシャッターを切って撮ったときに似ていると思わされることもある。うーん、これはいったいどういうわけなのだろう?

要するに、だ。撮るべき対象の存在を見極め、その動きに「測距点を追従させる」能力に長けているのは確かである一方、AF-C時の「ピントそのものの追従性」には依然ツメの甘さが残るとの印象を拭い去ることができなかったというワケである。所有するα6000との比較で、α6300にはAF関連の大きな進化があるのではないかと恐れつつも期待していた私は正直、肩すかしを食ったように感じてしまった。

近い将来「等倍検証の結果は現実社会ではさほどの意味を持たない」とか「画像の仕上がり判定は50%表示でするのが適正」などの認識が広く行き渡るのではないかと私は思っているのだけど、となると、α6300はそれを先取りした"割り切った仕様"でカタチ作られているんじゃないかというチョ~穿った見方も可能になってくるワケでして……。デジカメ界で最近、常に1歩先を行っているソニーなら、やりかねないと思うんだけどなー(笑)。

RX10M3の存在が悩ましい

で、けっきょく私はα6300の購入を見送ることにしている。RX10M3の方が「できること」は圧倒的に多いと判断、そちらの入手を優先したからだ。世間一般では比較対象にはふさわしくないとされそうな両者ではあるのだが、例えば真っ直ぐこちらに向かって走ってくるクルマを撮影している時のガリピン率が、意外なことに、少なくとも私の使い方ではRX10M3の方が高かったのも、そうするに至った理由のひとつではある。センサーサイズ(被写界深度の差)に助けられての結果であろうことには容易に想像が及び、またランダムに動く被写体を「失敗なく追い続ける能力」に関しては、いうまでもなくα6300の圧勝なのだが……。

それともうひとつ、今回α6300で「シャッターチャンスをこまめに拾いながら1回3~4コマの連写を任意の間隔を開けながらリズミカルに続ける」という撮り方をしていたとき、温度警告が出て撮影休止に追い込まれたことも記しておきたいと思う(気温摂氏30度に近い快晴の下、AF-C+ワイド+連写Hiで撮影していたときに発生)。動画撮影ではなく静止画撮影時に温度警告にお目にかかったのは初めての経験だ。上記のセッティングは、α6300にとっては動画を撮っているのと何ら変わらない負荷を与えられるものだったことが今となっては想像できるのだけど、私が現場で撮っていたのは写真。いやー、けっこうビビリましたぜ。

そんなこんなを含め、α6300はいろんな意味で少々ナーバスなカメラになってしまったと本能的に感じたんだと思う。購買意欲が急速に萎えてしまったのは、きっとそのためだ。α6300がミラーレス機の新たな時代の幕開けを予感させるモデルであるのは確かなのだけど、RX10M3を手にした私は、ミラーレスを飛び越えコンデジの世界に今まで以上にどっぷり浸かってしまいそうな気が……。銀塩時代から憧れていた「コンデジで仕事ができる世の中」が、いよいよ目の前に迫っているのかもぉ~!?

落合憲弘(おちあい・のりひろ)
プロカメラマン。街中スナップ大好きのしがない写真撮り&物書き。生まれながらの天の邪鬼。もともと機材関係には興味がなく、そもそもカメラにもこだわりはなかったハズなのだが、デジカメ時代に突入してからは「より自分にピッタリの一台を追い求める」という都合の良いイイワケのもと、年間5~10台のデジカメを購入するハメに陥りつつ、青息吐息で現在に至る。だが、カメラ好きではなく写真好きを自認。加えて、クルマにもチトうるさいと自分では思っている。カメラグランプリ2016選考委員。

[日経トレンディネット 2016年7月4日付の記事を再構成]

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