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乳酸キャベツでおなかすっきり 簡単に作れる発酵食

 
日経ヘルス

2016/7/19

左:基本の「緑のキャベツで作る乳酸キャベツ」、右:抗酸化成分が豊富な「紫の乳酸キャベツ」

日経ヘルス

 ザワークラウトや、シュークルートと呼ばれて欧州で愛されてきたキャベツの漬物。主な材料はキャベツと塩だけなのに、程よい酸味があるのは乳酸菌発酵による「乳酸」の風味が加わるから。この「乳酸キャベツ」が、胃や腸を整えたり、 美肌や免疫力アップに役立ったり、健康効果抜群。手軽に作れて、アレンジも自在です。

 「いろいろな発酵食品のなかでも、一番多く作って、肌や胃腸が喜ぶのを実感しているのが乳酸キャベツ」と話すのは、料理家の井澤由美子さん。

 その魅力は乳酸菌とキャベツの健康効果のダブルパワーにある。発酵過程で増える乳酸菌は、悪玉菌の増殖を抑えて腸内細菌のバランスを整える。免疫力を高める効果もある。前東京農業大学応用生物科学部教授で植物性乳酸菌に詳しい岡田早苗さんは、「乳酸キャベツには乳酸菌が億から十億の単位で生息していて、キムチの乳酸菌生菌数と同等と考えられる。植物由来の乳酸菌は動物由来のものに比べて強い酸性の下でも生きられ、胃酸や胆汁酸にさらされても生きて腸まで届きやすい」と話す。

 もちろん、キャベツそのものにも栄養がたっぷり。胃腸薬にも配合され、胃腸の粘膜の修復を促す成分のキャベジン(ビタミンU)のほか、腸の掃除役となる食物繊維、美肌にいいビタミンCも含まれる。

 日を追うごとに、酸味が出てうま味が深くなるのも魅力。「一緒に入れるスパイスには殺菌や防腐、消化促進などの効果があるので、唐辛子と粒コショウをベースに、好みのものを加えて」と井澤さんは薦める。

■保存袋で作るので簡単&清潔 乳酸キャベツの作り方

 発酵時にはほかの雑菌も増えやすいので、作るときには清潔な道具・環境で行うこと。春キャベツは1kgに満たない場合があるので、足して調節する。

1 キャベツを千切りにする
2 保存袋に入れて塩を振る
3 袋の上から両手でもむ

4 余分な空気を抜く
5 重しをする
6 冷蔵庫へ移す

[材料(作りやすい分量)]
キャベツ……1個(正味1kg) 塩……小さじ4弱(20g) きび砂糖……小さじ1/2 好みのスパイス……適量(唐辛子、粒コショウ、ショウガ、ローリエ、クローブ、キャラウェイなど)

1.キャベツを千切りにする
 キャベツを4等分に切って洗い、水気を切って千切りにする。細かく切るほど発酵しやすくなる。
2.保存袋に入れて塩を振る
 味を全体になじませるため、塩は2回に分けて入れる。まず半量のキャベツを保存袋に入れ、小さじ2の塩を混ぜる。
3.袋の上から両手でもむ
 残りのキャベツと塩、砂糖を加え、袋の上からなじませるようにもむ。密閉袋(大)1枚にキャベツ1個分が入る。
4.余分な空気を抜く
 好みのスパイスを加えたら、袋の上からぎゅっと押して、余分な空気を抜いてしっかりと口を閉じる。
5.重しをする
 1.5kg程度の重し(500mlのペットボトル3本など)をのせて、直射日光の当たらない常温の環境で1~5日置く。
6.冷蔵庫へ移す
 味見して酸味があり、泡が立っていたら発酵している証拠。清潔な瓶に移して冷蔵庫へ。冷蔵で約1カ月保存可能。

あえるだけ

【生で食べる最強の乳酸キャベツレシピ】

 副菜や箸休めとして、そのままでもおいしい乳酸キャベツ。アレンジすると魅力がアップ。

 まずは、加熱しないレシピから。すぐに作れて、お腹すっきり効果を最も引き出せる。キャベツは、緑と紫のどちらを使ってもいい。さらに効果を高めるコツは、チーズやヨーグルト、納豆などの発酵食品と組み合わせること。「発酵食品同士は、味の相性もいい」という井澤さんの一番のお薦めは、「乳酸キャベツの梅納豆あえ」だ。

 「納豆、梅、酢の組み合わせで免疫力アップに効果的。腹持ちもよく、朝食にも最適。ゴマ油を加えると、便通作用がさらに高まります」(井澤さん)

チーズと好相性! ワインのお供にも 富士山乳酸キャベツ

チーズも乳酸菌による発酵食品で、乳酸キャベツとの味の相性がいい。オリーブオイルで、肌を潤わせる効果を高める

1人分/●103kcal ●食物繊維1.8g ●塩分2.9g

[材料(2人分)]

乳酸キャベツ …… 200g ハードタイプのチーズ(ペコリーノまたは パルミジャーノなど) …… 適量 オリーブオイル …… 適量 粗挽きコショウ …… 適量

[作り方]

 皿に乳酸キャベツを盛る。その上にチーズを削りながらかけ、オリーブオイルを垂らし、コショウを振る。

食物繊維たっぷり、酢のパワーで疲れも取る ワカメと乳酸キャベツの酢の物

キャベツとワカメで食物繊維がたっぷり。酢には疲労回復効果のほか、内臓脂肪の蓄積を抑える効果もあり、ダイエットにもお薦め

1人分/●28kcal ●食物繊維2.3g ●塩分2.9g

[材料(2人分)]

乳酸キャベツ …… 100g 乾燥ワカメ …… 5g  甘酢(酢 …… 大さじ2、砂糖 …… 小さじ1、塩 …… 1~2つまみ) 針ショウガ …… 好みで適量

[作り方]

1.ワカメは水で戻して水気を絞る。

2.ボウルに甘酢の材料を入れて混ぜ、乳酸キャベツと食べやすく切った1を加えてあえる。器に盛り、針ショウガを上にのせる。

最強の発酵食品同士の組み合わせ 乳酸キャベツの梅納豆あえ

納豆に酢を加えてよく混ぜると白く泡立ち、粘りとにおいが抑えられて食べやすくなる。「寝る前に食べると翌日のお通じが違います」(井澤さん)

1人分/●70kcal ●食物繊維1.0g ●塩分2.0g

[材料(2人分)]

乳酸キャベツ …… 100g 納豆 …… 1パック(付属の辛子、たれも) 梅干し …… 大1個 酢 …… 小さじ2

[作り方]

1.梅干しは種を取り、梅肉を手でちぎる。

2.辛子以外の材料をすべて混ぜて器に盛り、辛子を上にのせる。

        

うまみを生かす

【メーンになる 加熱する乳酸キャベツレシピ】

 うま味と酸味がたっぷりの乳酸キャベツを活用すれば、メーン料理の味もしっかり決まる。「乳酸菌の働きでアミノ酸が増える乳酸キャベツは、うま味が生キャベツの6倍だったという測定結果がある。少量の塩で味が決まるため、減塩にも効果的。肉や魚を軟らかくする効果もあり、一緒に煮る、蒸す、漬け込むなどすると味が染みて、味に奥行きが出ます」と井澤さん。

 加熱すると胃腸を整える効果は弱くなると考えられるが、「腸をきれいにする食物繊維の働きは残る。また、乳酸菌は加熱で死菌になっても、その構造体(菌の形)に体の免疫を調整する作用がある」(岡田さん)。

乳酸キャベツと魚のうま味で満足 サーモンと乳酸キャベツのフライパン蒸し

抗酸化成分や良質な脂質を含むサケと乳酸キャベツは美肌にもいい組み合わせ。好みの魚でアレンジしてもいい

1人分/●239kcal ●食物繊維1.8g ●塩分3.5g

[材料(2人分)]

乳酸キャベツ …… 200g 生サケ(またはメカジキ) …… 2切れ 万能ネギ …… 2本 酒 …… 大さじ2 オリーブオイル …… 小さじ1 ゴマだれ:A(練りゴマ …… 大さじ1、醤油 …… 小さじ1/2~1、メープルシロップ …… 大さじ1)

[作り方]

1.サケの両面に塩少々(分量外)を振る。Aを混ぜておく。

2.フライパンに乳酸キャベツを敷き、その上にサケをのせ、酒、オリーブオイルを回しかける。蓋をして中弱火で7~10分ほど蒸す。

3.2を皿に盛りゴマだれをかけ、小口切りにした万能ネギを散らす。

鶏肉のコラーゲンで美肌効果 鶏と乳酸キャベツのトマト煮

乳酸キャベツは煮込み料理にも大活躍。「鶏肉のほか、豚肉やソーセージ、魚介類などと合わせてシンプルに煮るだけでもおいしい一品に」(井澤さん)

1人分/●480kcal ●食物繊維5.6g ●塩分3.9g

[材料(2人分)]

乳酸キャベツ …… 100g 乳酸キャベツに入れたローリエ …… 1枚 鶏もも肉 …… 250g タマネギ …… 1個 トマト(缶詰、カットタイプ) …… 400g オリーブ(グリーン、種抜き) …… 10個 オリーブの漬け汁 …… 大さじ1 オリーブオイル …… 大さじ1 ニンニク …… 1かけ 塩・コショウ …… 各少々

[作り方]

1.鶏肉は一口大に切り、塩適量(分量外)をもみ込んでおく。タマネギ、ニンニクは薄切りにする。

2.鍋を中火で熱してオリーブオイル、ニンニクを加え、香りが出たらタマネギを加えてしんなりするまで炒める。

3.鶏肉を加えてさらに炒め、肉の色が変わったらトマト、オリーブと漬け汁、乳酸キャベツ、ローリエを加え、蓋をして20~30分煮込む。塩・コショウで味を調える。

乳酸キャベツのなるほど!
 昔から体にいいとされ、世界各地で重宝されてきた発酵食「乳酸キャベツ」。その魅力をもっと知るためのトピックスをご紹介。
■国によって呼び方が違う
 ドイツで生まれたザワークラウトは、仏語ではシュークルート、オランダ語ではズールコールと呼ばれる。大航海時代、瓶詰めにして船に積まれ、ビタミンC不足の予防に役立った。ドイツ移民の多い米国やカナダでも食べられている。
■「乳酸白菜」なども作れる
 キャベツだけでなく、白菜や大根、キュウリ、小松菜などの野菜や果物でも、乳酸菌による発酵食品は作れる。市販の漬物で使われているような野菜なら原則OK。ただし、ゴボウなどあくの強い根菜は向かない。
■「漬け汁」だけが飲み物として売られている
 酵素や菌が生きている「リビングフード」として、発酵食の人気が高まる米国では、「ザワークラウトジュース」の名で、塩辛くて酸っぱい漬け汁だけが瓶に入って売られている。少量をグラスでぐいっと飲んで、腸内環境を整える。

教えてくれたのは

井澤由美子さん
 料理家。国際中医薬膳師。食材の効能と味が際立つ、手軽でキレイになれるレシピが評判。発酵食品にも詳しい。近著は『乳酸キャベツ健康レシピ』(マガジンハウス)。「キャベツの効果を引き出すために、新鮮なものを選んで作りましょう」

(写真 今清水隆宏、レシピ考案・料理 井澤由美子、スタイリング 宮澤由香、栄養計算 原山早織=食のスタジオ、構成 大屋奈緒子=編集部)

[日経ヘルス 2016年7月号の記事を再構成]

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