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瀬戸内・KENPOKU… 現代アートが地方で熱気

日経BPヒット総合研究所 石井和也

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日経BPヒット総合研究所
エンターテインメント、トレンド、健康・美容、消費、女性と働き方をテーマに、ヒット案内人が世相を斬るコラム「ヒットのひみつ」。今回のテーマは、地域アート。日本の各地で現代アートの芸術祭が開催されている。今年の注目は、3年に1度の開催にあたる「瀬戸内国際芸術祭」と、東京から日帰りでも行ける「KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭」だ。

自治体が主催あるいはサポートする「地域アート」が活況を呈している。「瀬戸内国際芸術祭2016」は2016年3月20日~4月17日の春会期の後、7月18日から夏会期が始まる。その後も8月11日から「あいちトリエンナーレ2016」、9月17日から「KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭」、9月24日から「さいたまトリエンナーレ2016」、10月9日から「岡山芸術交流 Okayama Art Summit 2016」と、1年中日本のどこかで現代アートの祭典が見られるという状況になっている。

これは芸術と地域の相性の良さからだろう。政府が進め、地方が担う地方創生の施策のなかで、芸術祭のようなアートプロジェクトは、地域住民も参加して盛り上げ、地域外から人を呼び込み、地域を「芸術のまち」としてブランディングできることから、自治体も事業費や人材を供出しやすく、地域住民も受け入れやすい。

そのなかで成功モデルといわれるのが、新潟県十日町市・津南町の「越後妻有 大地の芸術祭」や香川県の「瀬戸内国際芸術祭」だ。

越後妻有、瀬戸内で始まった3年に1度の芸術祭

越後妻有(えちごつまり)は山里や田園などに、瀬戸内は浜辺や集落などに現代アートが置かれ、素朴な自然のなかに点在する作品を見て回る広域の芸術祭。地域や地域外の人たちがボランティアやサポーターとして、設置や案内を引き受ける。越後妻有は2000年から、瀬戸内は2010年から始まり、3年に1度のトリエンナーレ形式で開催され、まるで地域の夏祭りのような盛り上がりを見せる。

同じ地域アートと言っても、たくさんの現代アート作品を一度に鑑賞できる都市型の芸術祭と違い、越後妻有や瀬戸内のような野外を中心とした広域型の芸術祭は、旅の要素が強い。里山や島の自然も含めてアート作品となっており、そこを周遊する楽しみがある。越後妻有も瀬戸内も「アートを巡る旅」の聖地としてリピーターが多い。

両方の芸術祭の総合ディレクターであるアートディレクターの北川フラム氏は、「現代アートは、それまで都市のものと思われていたが、そうではなかった。越後妻有と瀬戸内では、それぞれの場所柄や資源、歴史を明らかにする仕掛けとして現代アートが展開された。それぞれの地域に現代美術家たちが出会って生まれる多様性が面白かった」と、人気の理由をこう説明する。

さらに「作品のクオリティーの高さが重要」と北川氏。確かに地域アートが語られるときに作品の質を問題視する批評家も多い。若手現代美術作家の発表の場となることもあって、比較的低予算で開催されるアートプロジェクトも少なくないからだ。

瀬戸内には、まず、福武財団が運営し、モネの大作を展示する地中美術館や、著名な現代アートを所蔵するベネッセハウスミュージアムなど、ベースとなる作品がある。さらに毎回、著名なアーティスト招請のために資金を投じている。「ほかの芸術祭は、国や自治体からの助成金などの予算内でやるところが多いが、越後妻有や瀬戸内では、入場料収入やさまざまなファンドを利用して、十分な予算規模を確保できているのが大きい」と北川氏は話す。瀬戸内国際芸術祭2016は、約230組のアーティストが参加。レアンドロ・エルリッヒや大岩オスカール、大巻伸嗣などの人気作家の作品が見られる。

今年の春会期は、1日あたりの入場者が前回に比べ約10%増とまずまずの滑り出しだった。特に、外国人比率が13%前後に急拡大。台湾、香港、中国、米国、英国、オーストラリアなどから観光やアート視察のために訪れている。地方創生だけでなく、インバウンド需要でもモデルケースとして注目されている。

また、「食こそすべての文化芸術のもとである」というコンセプトで、食に焦点を当てた作品づくりや郷土の食材を生かした食の提供などを行う「食プロジェクト」も立ち上げ、芸術祭に新たな魅力を吹き込んでいる。その担い手を育成するために、「瀬戸内『食』のフラム塾を2015年から開講。今回の芸術祭では、各所で塾生たちが考案した島の食が味わえるのも楽しみだ。

夏会期は7月18日から9月4日まで、秋会期は10月8日から11月6日まで。瀬戸内海の直島、小豆島など12の島と高松港、宇野港で開催する。

東京圏でも広域型の芸術祭が開催

瀬戸内同様のポテンシャルを秘めているのが、「KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭」だ。茨城県北地域の日立市、高萩市、北茨城市、常陸太田市、常陸大宮市、大子町の6市町を舞台にした広域の芸術祭で、国内外から約100作品が展示される。

芸術祭実行委員会会長は橋本昌茨城県知事。総合ディレクターには森美術館館長の南條史生氏を起用し、日比野克彦、妹島和世、落合陽一、木下真理子、イリヤ&エミリア・カバコフ、ハンス・ペーター・クーン、そしてチームラボなど、80組以上の有名アーティストをそろえた。

芸術祭のテーマは「海か、山か、芸術か?」。里山や海、気候や文化、食、産業など、県北の地域資源の魅力をアートの力で引き出し、新たな価値の発見や地域の活性化を図るのを目的に掲げている。県北の海や山の自然と対話する作品を展示。また科学技術を利用した先進的な作品をラインアップするほか、アーティストが県内の産業や大学とコラボして作り出す「アートハッカソン」も、芸術祭では初めて取り入れている。

「域外から人がたくさん来て、地域に活気が出るのはまず重要。しかし、ここに住んでいる人たちがクリエイティブになって産業や生活に生かせないと、本当の意味での地域の活性化にはならない。KENPOKUにはその力がある」と南條氏。会期内だけでなく、その後の芸術祭効果にも期待している。

はっきりしたコンセプトと質の高いアート作品を持ち、風光明媚な山間部や海浜部に作品が置かれ、瀬戸内同様、アートを巡る旅を楽しめる。芸術祭を一緒に作っていくサポーターや応援事業を募集。今回の結果次第となるが、定期開催も視野に入れている。

瀬戸内と大きく違うのは、東京圏にあるところ。東京から車で2時間半のドライブで行ける立地だ。ただ広域のため、巡り方が難しい。そのため、公式サイトでもさまざまな鑑賞モデルコースを紹介している。

「1日で海も山も両方は見られない。近隣の方には毎週、違うまちを見てほしい。遠方の方は、やはり1泊2日、できれば2泊3日で来てほしい。まだ発表していないが、日立の駅近くに100mを超える大型の作品ができる。まず日立でこの作品を見て、海側を見て1泊、翌日山側に入るのが私のお薦め」と南條氏。

「日本は欧米のビエンナーレなどの芸術祭と違って、現代アートを使った祭りに変化し、そこでみんなで楽しんでいる。日本型の新しい現代美術の楽しみ方が生まれつつある」と南條氏は見ている。

会期は2016年9月17日から11月20日まで。

石井和也(いしい・かずや)
日経BPヒット総合研究所 研究員。コンシューマー局プロデューサー。『日経トレンディ』『日経ゼロワン』『日経キッズプラス』の副編集長、『日経おとなのOFF』の編集委員などを経て現職。キッズからシニアまで各世代のライフスタイルをウオッチ。共著に『ものづくりの未来が見える 3Dプリンター完全マスター』(日経BP社)がある。
[参考] 日経BPヒット総合研究所(http://hitsouken.nikkeibp.co.jp)では、雑誌『日経トレンディ』『日経ウーマン』『日経ヘルス』、オンラインメディア『日経トレンディネット』『日経ウーマンオンライン』を持つ日経BP社が、生活情報関連分野の取材執筆活動から得た知見を基に、企業や自治体の事業活動をサポート。コンサルティングや受託調査、セミナーの開催、ウェブや紙媒体の発行などを手掛けている。

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