首の痛み、受診の見極めは「しびれ」の有無
首の凝りや動きにくさに加え、「手指や腕にしびれがあったら、首を通る神経に影響が出ている証拠。早めに整形外科を受診してほしい」と、お茶の水整形外科機能リハビリテーションクリニックの銅冶英雄院長は話す。手指に力が入らず、字を書く、服のボタンをかけるなどの細かい動作がしにくくなるのも特徴的な自覚症状の一つだ。
代表的な疾患には頸椎(けいつい)の椎間板がとびだし神経を圧迫する「椎間板ヘルニア」と、骨の変形等で神経の通り道が広範囲に狭まる「頸部脊柱管狭窄症(けいぶせきちゅうかんきょうさくしょう)」がある。
治療は痛みの緩和が主目的で、薬の内服や注射、器具で温めたり牽引(けんいん)したりする方法などがある。「脊髄への圧迫がある場合や組織の変形が痛みの原因になっている場合は手術も検討されるが、肩こりのほとんどは日常生活の中での工夫、運動で改善可能」(東京医科大学整形外科の遠藤健司講師)
病院でも運動や生活上の工夫などが指導される。「頭痛やめまい、不眠など、首の慢性的な痛みから誘発される症状の治療も並行することが多い」(遠藤講師)
「手作り枕」で痛み改善
寝起きに首の痛みが増す人は、枕が合っていないのかもしれない。銅冶院長は自分に合った枕を作ることを勧めている。使うのはバスタオルと浴用タオル数枚。生地により枚数調整を。最後にバスタオルで全体をカバーすると安定する。
この人たちに聞きました
お茶の水整形外科機能リハビリテーションクリニック(東京都・千代田区)。日本整形外科学会専門医、認定脊椎脊髄病医。日本医科大学卒業後、千葉大学附属病院・国立がんセンター中央病院等での研修、米国留学等を経て2010年より現職。著書に『頸椎症を自分で治す!』(主婦の友社)
東京医科大学整形外科(東京都・新宿区)。日本脊椎脊髄病学会脊椎脊髄外科指導医、日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医。東京医科大学整形外科大学院修了後、米国留学、東京医科大学整形外科医局長等を経て2007年より現職。『本当は怖い肩こり』(祥伝社新書)などの著書、メディア出演多数
(ライター 渡邉真由美、構成:日経ヘルス 太田留奈)
[日経ヘルス2016年8月号の記事を再構成]
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