狙い目ノートパソコン5機種 用途絞って10万円節約
パソコンを買って5~6年たち、そろそろ動作の遅さや画質などに不満を感じ始めた人もいるだろう。そんな人に向け、この夏のパソコンの買い方を3回にわたり解説する。第1回(「買い替えるなら今!失敗しないパソコン選び5つの鉄則」)では、Windows 10を長く使い続けられるパソコンの選び方を紹介した。第2回は、それを踏まえて、ノートパソコンのおすすめ機種を、用途別に紹介したい。ここで紹介しているのは、15型クラスの液晶ディスプレーを搭載して、家庭で据え置きで使うタイプのスタンダードなノートパソコンだ。
用途別に紹介しているのは予算を節約するためだ。パソコンは、ネットを利用するだけといった用途から、マイクロソフト(MS)オフィスを使う用途や、動画を編集したり最新のデジタル一眼レフで撮影した写真をレタッチするような用途まで、幅広く使える。ハイスペックな高級モデルを買えばほとんどの用途に快適に使えるが、パソコンの使い方が決まっているのなら、その用途を快適にこなすのに必要十分なスペックのパソコンを買えばよい。その方が予算は少なくて済む。用途によっては5万~10万円の節約も可能だ。
用途1 ネットとMSオフィスを中心に何でもできるパソコンが欲しい(15万円コース)
用途別に選ぶとはいっても、一番多く求められているのはインターネットやメールの利用、SNSの利用、マイクロソフトオフィスを使った仕事、写真の整理や簡単な加工など、一般的な用途に幅広く使えるつぶしの利くパソコンだろう。これをなるべく手ごろな価格で手に入れたい。
求めるスペックは、メモリーは4GB以上(できれば8GB)、CPUはCore i5以上、ディスプレーの解像度はフルHD(1920×1080ドット)以上が基準で、さらにマイクロソフトオフィスが付属することも必須だ。これぐらいのスペックなら、Windows 10でウェブブラウザーやマイクロソフトオフィスをスムーズに利用できる。長く愛用することもできるだろう。価格は15万円前後が目安で、10万円台前半で購入できれば買い得と言える。現在、高スペックのノートパソコンは20万円前後だが、これと比べると5万円程度安い。
スペックが高くて付属ソフトが豊富
富士通のスタンダードノート「FMV LIFEBOOK AH」シリーズの中堅モデル。8GBメモリー、フルHDディスプレー、Core i7を搭載し、マイクロソフトオフィスも付属する。春モデルが継続販売されているもので、もともと20万円以上の価格だったが値下がりが進み、国内メーカーのスタンダードノートパソコンの中では買い得になっている。スペックが高く、さらに写真や動画を整理編集するソフト、はがき作成ソフト、日本語入力ソフトATOKなど付属ソフトがそろっている。こうしたソフトを利用したい人に向いている。
富士通 FMV LIFEBOOK AH53/X 実売価格:15万円前後
メモリー:8GB、ディスプレー:15.6型(1920×1080ドット)、CPU:Core i7、ストレージ:1TBのHDD、光学ドライブ:ブルーレイディスクドライブ、マイクロソフトオフィス:Office Home & Business Premium
基本スペックが高くてコストパフォーマンス抜群
デルのスタンダードノート「Inspiron 15 5000」シリーズは、家電量販店のほか、直販サイトでスペックを選んで購入できるのが特徴だ。スペックと価格の幅は広いが、その中には8GBメモリー、フルHDディスプレー、マイクロソフトオフィス付属のモデルもある。これだけのスペックがそろって10万円台というコストパフォーマンスの高さが特徴だ。注意点は、付属のマイクロソフトオフィスがPersonalなのでパワーポイントが付属しないこと。また光学ドライブはDVDスーパーマルチドライブだ。「FMV LIFEBOOK AH53」のような付属ソフトもないが、逆にそうしたソフトが不要な人に向いているといえる。
デル Inspiron 15 5000シリーズ プレミアム・フルHD・Office付き 実売価格:10万4980円(直販価格)
メモリー:8GB、ディスプレー:15.6型(1920×1080ドット)、CPU:Core i5、ストレージ:1TBのHDD、光学ドライブ:DVDスーパーマルチドライブ、マイクロソフトオフィス:Office Personal Premium
用途2 動画編集やグラフィックス用途を快適にこなしたい(20万円コース)
動画編集、フォトレタッチなど処理の重い用途を快適にこなしたいのなら、ハイスペックなパソコンが必要だ。メモリーは8GB以上、ディスプレーの解像度はフルHD以上でなるべく画質のいいもの、CPUはCore i7クラスが欲しいところ。各メーカーのスタンダードノートの中でも、最上位モデルがこのクラスだ。予算20万円前後で、15万円前後ならかなり買い得だ。
ここでは2機種を選んだが、ポイントはストレージとディスプレーだ。ストレージは、HDDにNAND型フラッシュメモリーを搭載したハイブリッドドライブ(SSHD)を搭載している機種がおすすめ。HDDと同じ容量でSSD並みに高速なのが特徴で、HDD搭載機種より動作が機敏になる。ディスプレーは、4Kと呼ばれる3840×2160ドットの解像度を搭載した機種がある。フルHD(1920×1080ドット)の約4倍の情報量を表示でき、写真などをきめ細かく表示できる。
16GBメモリーとハイブリッドドライブでレスポンスがいい
東芝のスタンダードノート「dynabook T」シリーズの最上位モデル。発表されたばかりの夏モデルで、16GBのメモリーを搭載しているのが特徴だ。ストレージはハイブリッドドライブ(SSHD)で、一般のHDDよりもデータを読み書きするスピードが速い。動画編集など処理の重い作業でも操作に対するレスポンスも落ちにくい。また、Windows 10の生体認証機能であるWindows Helloに対応した指紋センサーを搭載し、セキュリティーを高めている。メーカー保証も2年間あり、いいものを長く使いたいという人にうってつけの一台だ。
東芝 dynabook T85/A 実売価格:22万円前後
メモリー:16GB、ディスプレー:15.6型(1920×1080ドット)、CPU:Core i7、ストレージ:1TBのハイブリッドドライブ、光学ドライブ:ブルーレイディスクドライブ、マイクロソフトオフィス:Office Home & Business Premium
4Kディスプレーで写真をきれいに表示できる
NECのスタンダードノート「LAVIE Note Standard」シリーズの最上位モデル。解像度が4KのIGZO液晶を搭載しているのが特徴で、タッチ操作にも対応している。カメラはWindows10の生体認証機能である「Windows Hello」の顔認証やジェスチャーでの操作に対応。ノートパソコン向けとしては最高速クラスのCPUを搭載し、ストレージにはハイブリッドドライブを採用するなど処理性能は高い。さらにスピーカーにウーファーを加えたヤマハサウンドシステムを搭載し、ノートパソコンながら迫力のある音響も楽しめる。画質と音質、両方が優れたノートが欲しい人におすすめだ。
NEC LAVIE Note Standard NS850/EAB 実売価格:23万円前後
メモリー:8GB、ディスプレー:15.6型(3840×2160ドット)、CPU:Core i7、ストレージ:1TBのハイブリッドドライブ、光学ドライブ:ブルーレイディスクドライブ、マイクロソフトオフィス:Office Home & Business Premium
用途3 スマホより大きな画面でインターネットを楽しみたい(10万円コース)
インターネットやフェイスブックなどを利用できれば十分なら、高い処理性能は不要だ。Windows 10をスムーズに動かすためにメモリーは4GB以上必要だが、ディスプレーの解像度はWXGA(1366×768ドット)、CPUはCeleronやPentiumでよい。Core i搭載パソコンに比べると動作はやや重くなるが、マイクロソフトオフィスも十分利用できる。10万円前後で購入可能な、スタンダードノートのエントリーモデルがおすすめだ。この場合なら、最も高いスペックのモデルを買う場合と比べて10万円程度節約になる。
ポイントはマイクロソフトオフィスが付属するかどうか。第1回で述べたように、マイクロソフトオフィスを別途購入すると高くつく。激安なパソコンには付属しないことが多いので注意したい。
マイクロソフトオフィス付属で10万円を切る
NECのスタンダードノート「LAVIE Note Standard」シリーズのエントリーモデル。低価格ながらメモリーを4GB搭載し、マイクロソフトオフィスやはがき作成ソフトが付属する。オフィスの種類がPersonal Premiumになり、さらに価格を下げたNS100/E1Wもあるので、パワーポイントが不要な場合はそちらも選択肢になる。
NEC LAVIE Note Standard NS100/E2W 実売価格:9万5000円前後
メモリー:4GB、ディスプレー:15.6型(1366×768ドット)、CPU:Celeron、ストレージ:500GBのHDD、光学ドライブ:DVDスーパーマルチドライブ、マイクロソフトオフィス:Office Home & Business Premium
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以上、用途別にお薦めのノートパソコン5機種を紹介した。次回はデスクトップパソコンのお薦めモデルを紹介する。
(IT・家電ジャーナリスト 湯浅英夫)
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