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エジプトの猫ミイラ、新X線技術で撮影に成功

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NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

近い将来、古代エジプトの謎の解明が大きく進むかもしれない。新しいCTスキャンの画像技術を使えば、巻かれた布を外さなくても、ミイラの内部を詳しく観察できるようになるためだ。

南オーストラリア博物館に所蔵されているネコのミイラを使った新しいCTスキャンのテストが成功した。ミイラの正確な年代は不明だが、エジプトでは紀元前600年から西暦250年頃まで、ネコのミイラがよくつくられていた。

従来のCTスキャンは検査対象にさまざまな角度から1種類のX線を照射し、撮影した画像を合成することで、内部のデジタル画像を得る。筋肉と骨は、密度の違いによって区別する。しかしミイラの場合、時間とともに皮膚と筋肉は乾燥して密度が高くなる半面、骨は髄を失って密度が低くなるため、精度を上げるのが難しい。

新しいX線イメージング法は、この問題を解決する。2種類のX線を照射して、物質の原子番号を割り出し、検査対象の組成を明らかにする。カルシウムや炭素といった元素はそれぞれ固有の原子番号をもつため、内部に含まれる物質の原子番号がわかれば、組成を判断できる。例えば、骨にはカルシウムとリンが詰まっているのに対し、筋肉は大部分が炭素でできているため、両者を区別できるというわけだ。

オーストラリア、ロイヤル・アデレード病院 放射線科の研修医で、今回の研究を率いたジェームズ・ビューズ氏は「この技術はあらゆるCTスキャナーで用いることができます」と説明する。研究結果をまとめた論文は「Journal of Archaeological Science」の2016年8月号に掲載される。

「検査対象の中身を、これまでよりも少し詳しく知ることができます」とビューズ氏は話す。「骨や筋肉を調べることで、検査対象がどのように生き、どのように命を終えたかを解明したいと考えています」

聖書の証拠集めがミイラの収集に

南オーストラリア博物館は、今回の研究に使ったネコのミイラの正確な出所を把握していない。ただし、外国の民族学を専門とする上級学芸員で、研究にも参加したバリー・クレイグ氏は、19世紀後半~20世紀前半に博物館が入手した可能性があると説明する。この頃、ロビー・フレッチャー牧師が旧約聖書の証拠を集めるため外国に派遣されている。

「彼は最終的に、エジプトから大量の遺物を集めてきました」とクレイグ氏は話す。南オーストラリア博物館が所蔵するネコのミイラの1つは、フレッチャーが1890年頃にスペオス・アルテミドスで手に入れたものにちがいないという。スペオス・アルテミドスはエジプトのナイル川沿いにある神殿の遺跡で、古代につくられたネコのミイラがいくつも発掘されている。

ネコはたいてい放し飼いのような状態で暮らしていたが、古代エジプトでは、ネコの女神バステトの怒りを鎮めるため、しばしばネコがささげものにされた。エジプト学の専門家として名高いカイロ・アメリカン大学の教授サリマ・イクラム氏によれば、ささげもののネコは飼育業者から入手し、同時に装飾用の布を選び、祈りの言葉を与えるのが一般的だったという。

この商売はとてももうかっていた。ネコのミイラのはずが、古代の石を詰めた袋だったという詐欺も横行していた。ビューズ氏は研究対象とした2つのミイラについて、「ネコのミイラの中身が本当にネコかどうか、古代エジプトの偽物をつかまされていないかどうかを確かめたいと思いました」と説明する。

新しいX線イメージング法が明らかにしたのはそれだけではない。これまでの技術では、すでに死んでいるネコがミイラにされたのか、首を折られるなどして命を奪われた上でミイラにされたのかがはっきりしないことがある。

スキャンした結果、今回の2匹はともに首を骨折していることがわかった。ただし、周りの乾燥した組織にも亀裂がみつかった。つまり、ミイラ化した後に骨折した可能性が高いことがわかり、少なくとも1つの死因が排除された。

「多くのミイラは博物館という安住の地にたどり着くまでに、数百年の紆余(うよ)曲折を経験しています」とビューズ氏は述べ、今回調べた2つのミイラも各地に運ばれる間、いろいろな場所にぶつけられたのではないかという見解を示した。

歴史をひも解く

この新しい画像技術を活用すれば、ミイラの死因が暴力か、病気か、もっとわかりにくい死因かを判別しやすくなるはずだ。イクラム氏によれば、毒物学の研究も進歩しているため、組織の組成を調べれば、毒殺されたかどうかもわかる可能性があるという。

さらに、組織と防腐剤、魔よけや宝飾品の区別も容易になるはずと、ビューズ氏は話す。もしそうなれば、社会的な地位や商業活動への関与など、多くの個人情報が明らかになるかもしれないと、イクラム氏は期待する。

ビューズ氏にとって、ネコのミイラは始まりにすぎない。南オーストラリア博物館は、人間のミイラも2体所蔵している。少なくとも1体は紀元前300年頃にミイラ化したヌビア人の男性で、第一次世界大戦後、1人の軍医によって持ち込まれたものだ。部隊のマスコットのような存在だったが、ある夜、テントで寝ていた兵士が人影におびえ、銃剣で刺してしまったと伝えられている。

確かに、このミイラには銃剣で刺されたような穴が開いている。新しい画像技術を使えば、どの程度の傷を負ったかを確認できるかもしれない。

「新しいX線イメージング法には明白な利点があると、私たちは考えています。この技術が標準になることを願っています」とビューズ氏は話す。

イクラム氏も思いは同じだ。従来のCTスキャンでもかなりの精度で筋肉と骨を区別できるようになってはいるが、今回の研究ではさらに一歩前進したと確信している。「技術が進歩すれば、ミイラの布を外して傷つける必要はなくなっていくでしょう」

(文 Joshua Rapp Learn、訳 米井香織、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2016年6月27日付]

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