品切れ続くソニープロジェクター 大ヒットの理由
メーカーのみならず、家電量販店までもが「こんなに売れるとは思っていなかった」と口をそろえる。デジタル家電の分野で、2016年上半期を代表するヒット商品が、ソニーの「LSPX-P1」(実勢価格9万9900円、税込み)だ。2016年2月の発売直後から注文が殺到。店頭では入荷待ちが続いており、およそ半年待ちのケースもある。
22~80型の大画面に投映でき、壁にぴったり寄せられる超短焦点プロジェクター技術を、幅約8cmの本体に詰め込んだ。スピーカーとバッテリーを内蔵しており、スマートフォン(スマホ)とペアリングすれば、無線で映像を送ることもできる。
だが、何より優れていたのは、その用途提案だ。天気に合わせた世界の映像や、窓を模した風景、シンプルな時計などを、簡単な操作で投映できる。本体は、リビングに置いたままでも違和感のないデザイン。ソニーは映像をインテリアにする道具として、この製品を訴求したのだ。
紙に絵画を投映して模写に使ったり、テーブルの上に画面を投映してゲームを楽しんだり。ユーザー自身が活発に用途を開拓しているのも、この製品の特徴だ。「高性能なプロジェクターに比べれば、明るさは不足気味で、不満点も多い」(家電量販店)。そんなハンディを割り切って、自由なスタイルを前面に出し、プロジェクターを持っていないユーザーを取り込んだことが、大成功につながった。
(日経トレンディ編集部)
[日経トレンディ2016年7月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。