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市民後見人、親身のケア 成年後見制度第三の担い手

育成・支援拡充の動き

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NIKKEI STYLE

認知症などで判断能力が低下した人の財産管理や、身の回りのケアをする成年後見制度の担い手を増やす取り組みが広がりつつある。これまで親族や弁護士など専門職が中心だったが、第三の担い手としての「市民後見人」を自治体が育成し始めている。実際にどのようなことをしているのか。活動の現場を通して成果や課題を探った。

「中村雀右衛門の襲名披露ですよ。芝雀から変わらはるんですって」。大阪市内の特別養護老人ホームで、端末の映像を見ながら年配の男性が入居中の高齢女性に大きな声でゆっくり話しかけた。女性はにこやかに「うん、うん」と歌舞伎役者を目で追っている。

早期退職が契機

親しげなやりとりは家族や親族のようだが実は他人同士。入居者のAさん(90)と市民後見人の薮内秀和さん(63)だ。Aさんは、8年前に認知症を患い要介護度は3。2013年に自宅アパートで転んでしまい車イス生活を余儀なくされた。夫と30年ほど前に死別し子どもはいない。

特養の入居手続きは、Aさんがきちんと暮らしていけるように、薮内さんが進めた。週に1回はAさんのもとを訪れ、顔色に問題はないか、急激に体重が増減していないかなどをチェック。現預金や資産をどう使うかも、本人に代わって考える。

薮内さんが務める市民後見人は、成年後見制度で定められている。同制度は判断能力が低下した高齢者らのため2000年に制定。家庭裁判所が選任する後見人は、判断能力が衰え単独では様々な手続きができない「被後見人」の身の回りを目配りし、財産管理も代行する。

これまで後見人は弁護士や司法書士など法律の専門家が選任されることが多かった。ただ、担い手不足も深刻化し、4月には成年後見制度の利用を促す法律が成立し、国や自治体に後見人の育成も求めている。

法制化に先立ち、大阪市は市民後見人の養成を進めてきた。現在、59人(16年6月14日時点)の市民後見人が活動している。薮内さんもその一人で、12年に市民後見人になった。きっかけは早期退職。ひとり身の母親のことを考え時間に自由のきく道を選んだが、社会貢献にも興味があった。

「後見人は財産の使い道を決めることもあるので責任重大。でも、役に立つことができれば」。薮内さんは「Aさんの車イスが体に合ってないようで、最近になって猫背が目立ってきた」と気をもむ。近く車イスを新調する予定だ。

市民後見人の最大の強みは、薮内さんのように時間をかけて、きめ細かな支援ができることにある。法律専門職などの後見人は多忙で、時間に余裕を持ちにくい面もある。家庭裁判所から選任された市民後見人に対し、大阪市は独自の取り組みとして、月に3回は被後見人に面会することを提案している。

成年後見制度に詳しい公益社団法人あい権利擁護支援ネットの池田惠利子さんは「被後見人は施設から不当な扱いを受けることもある。会いに行くのはとても大切」と、市民後見人に期待を寄せる。

全国で224人選任

ただ、市民後見人を増やすには課題も多い。大阪市成年後見支援センターの伊関玉恵所長は「市民後見人は専門知識に乏しく、不安に感じることも多い。その意味でもサポートは絶対不可欠」と話す。薮内さんも「相談ができるのはありがたい。悩みも市民後見人同士で共有でき、心強い」と、バックアップ体制の意義を強調する。

大阪市では、専門の相談員が日常的に市民後見人をサポートするほか、弁護士らの専門相談も週2日で用意。市民後見人同士の懇談会を定期的に開催し、情報共有の場も提供するなど、支援体制を整備している。

ただ、これまでは財政と人手に余裕がなく養成研修やバックアップ体制の整備に二の足を踏む自治体も少なくなかった。全国の市民後見人は、15年には1年間で224人が選任された。ここにきて、少しずつ養成の動きが広がっている。

横浜市は12年から養成事業をスタートさせ、現在(16年6月9日時点)14人の市民後見人が活動している。6日から3期目となる養成研修も始まった。

横浜市は、後見人を必要とする人に、もっと市民後見人の存在を知ってもらう取り組みも進める。身近な地域で福祉サービスを提供する市独自の施設「地域ケアプラザ」を窓口にして周知に努める。判断能力が不十分な高齢者を後見人へとつなげていく。

横浜生活あんしんセンターの若尾恵子事務長は、「身寄りの無い高齢者は多く、後見人の役割は大きい。今後、市民後見人が活躍していくためにも、地域のボランティアや町内会、自治会とも連携し、後見制度の周知を徹底していきたい」と話す。

認知症などで後見人を必要とする人は、まだまだいる。市民後見人が後見制度の担い手として欠かせない存在となるためには、育成・支援する体制の整備が急がれる。

 ◇   ◇

市民後見人になるには 半年かけて講習、報酬受け取りも

市民後見人は成年後見人のうち、親族や弁護士、司法書士などではなく、一般市民が務める後見人を指す。認知症や精神障害で判断能力が不十分な人の預金通帳や資産の管理などを代行する。自治体などが開く養成研修を受け、家庭裁判所の選任を受ければ市民後見人として活動ができる。

大阪市では、1日あたり8時間程度の講習(無料)を月2回、約半年かけて受ける。活動開始後は定期的に家裁へ収支状況を報告し、被後見人の様子を見守るなどの業務がある。

市民後見人の報酬は家裁へ申し立て審判を受ければ受け取ることもでき、相場は月1万~2万円程度。大阪市では無報酬としている。

(田村匠)

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