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小室淑恵 「残業して成長したい」若手社員の諭し方

パシフィックコンサルタンツ(下)発注側の意識も変える

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NIKKEI STYLE

日経DUAL

先日、ワーク・ライフバランス主催で経営者限定の長時間労働削減についての勉強会が行われました。ゲストスピーカーは総合建設コンサルタントのパシフィックコンサルタンツ株式会社の長谷川伸一会長とワークライフバランス推進担当の広報室の油谷百百子さん。残業を5%削減し、利益を2~3倍に増やしている同社の事例について、ワーク・ライフバランスの小室淑恵社長と語り合います。

金曜の夕方5時以降は打ち合わせ禁止

【セミナーに参加した経営者から寄せられた質問】

(Q)管理職向けの長時間労働削減の講習会を行った際に、顧問弁護士の方に登場してもらったのはなぜでしょうか?

油谷さん(以下、油谷) 講習会の少し前に、あるトラック運転手が連続で超過勤務を行った後に交通事故を起こし、その結果、運転手の上司である営業所長が労働基準法違反で逮捕されるニュースがありました。当社でも、繁忙期には残業が続いたり、徹夜明けで自動車を運転してお客様のところに行くこともあります。そういう時は運転させないのはもちろんですが、上司として部下の労働時間を管理し、長時間労働の削減に取り組まなければ自分が逮捕されることもあるということを、弁護士さんからきちんと説明してもらったほうがいいのでは……ということになりました。

ただ、最初から弁護士さんの講義にしてしまうと、"自分ごと"として受け取れない可能性もあります。そのため、まずはワークショップで長時間労働の原因や解決策を発表してもらい、その後に弁護士さんにご登場いただく流れにしました。

長谷川会長(以下、長谷川) 技術力で勝負している業界なので、時間さえあれば仕事をしてしまう。仕事に手をかけるほどいい成果につながっていくこともあり、コストパフォーマンスの意識が低かった。また、「自分が残業をしないと仕事の進行が遅れる」「会社に長時間いることで安心感がある」という雰囲気もありました。

以前は、お客様から金曜日の夕方5時ごろに電話がきて「これを月曜日に持ってきてほしい」というご依頼を受けることも正直ありました。そうしたら土日に徹夜でやらないと間に合いません。でも、こういったリクエストにお応えしていては、労働環境を改善することはできないという話をしたところ、お客様側から「金曜の夕方5時以降は打ち合わせをしない」「月曜までの成果を求めない」などとご提案いただいたのです。このように業界全体が少しずつ変わってきました。

削減したのは、ムダに資料を作り込む時間

(Q)残業時間が減ったとのことですが、仕事のどの部分を減らしたのでしょうか?

油谷 主に資料作成の時間です。コンサルタント業務は、考えたアウトプットを資料として作るのですが、よりよい成果物を作ろうと必要以上に力を注いでしまうケースが多々ありました。

長谷川 顧客からプレゼン資料を頼まれると、「A4サイズ1枚でください」と言われても、A3で情報満載に作り込み、それをA4に縮小して渡してしまうのです。そうではなくA4の範囲内で作ることが大切だと社員に浸透させました。

小室さん(以下、小室) 残業が減ってくると「残業をしたい」という声は必ず上がってきます。その心は「残業をしたい」ではなく「(仕事を通して)成長したい」というものです。若手が先輩達の成長実話を聞くと、「若いころ3日間徹夜した」なんていう話が出てくるので、「長時間働けば成長するのでは?」と勘違いしてしまうのです。

この問題を解決するには、上司が部下の成長に対して敏感になり、伝えてあげることが必要です。若手でAレベル、Bレベルの人がいたら、それぞれが成長しても、Bレベルの人がAレベルの人を上回るのはなかなか難しい。そこで、Bレベルの人については、以前に比べて伸びたかどうかを基準に、褒めることを奨励すればいいのです。さらに「あなたには5年後、10年後、こういうことを期待しています。どういうことをやっていくか、目標を聞かせてほしい」という話し合いが必要です。

かつてであれば「社内のプロジェクトをあと3つ回せば身に付く」という技術も多かったのですが、最近は仕事内容の変化が激しいので、来年にはその仕事自体が無くなるかもしれません。

上司と部下の丁寧なコミュニケーションを増やしながら、空き時間をうまく使った勉強を奨励し、以前の自分より成長しているという実感を後押しすることが大切です。

残業削減に取り組むチームは「やる気の有無」で選ぶ

(Q)最初に社内で残業削減に取り組む数チームを決める際、どのような基準でチームを選びましたか?

油谷 「自分達のグループに課題意識があり、働き方について見直したいというところは手を挙げてください」と募集しました。事務局から指名するよりも、自主的に取り組んでもらったほうがいいと思ったからです。取り組んだチームが行った報告会に参加してくれた人には、「来年はぜひ取り組みへの参加をお願いします」と声を掛けました。

小室 講演会を行った後、「うちのチーム、ぜひやりましょうよ」と上司を説得しているチームがあり、そういうところは適任だと思います。講演会でアンケートに記入してもらうのですが、「今日のようなリスク管理についてどう思いますか?」「もしその問題を解決する際に、講師の会社からコンサルタントが来るとしたら、部署で参加したいですか?」という項目を入れておくと、「コンサルが来るんだったら、うちのチームに予算をつけてもらって、せっかくだから取り組みたい」と思ってチェックするチームが出てきます。その中から、バランスを考えて選んでいくといいと思います。

もともと残業が非常に多いチーム2つ、リーダーが前向きなチーム2つを入れるといいでしょう。残業が多く、長時間労働の削減をする気もないというチームばかりだと、傷のなめ合いでうまく進まなくなるからです。さらに社内で大きな割合を占める社員と近い内容の仕事をしているチームを1つ入れるのがおすすめです。そこで出た成果を横展開しやすいからです。

(Q)今後、さらにどのように活動を広めていきたいと思われていますか?

長谷川 若い優秀な人材が集まってこない業界に、将来はないと感じています。特に女性は働き方に対して、企業がどのような取り組みをしているかなどについて非常に敏感で、よく調べて就職活動をしています。

わが社の社員は約1500人ですが、毎年50人強を採用しており、2013年はそのうち4割近くが女性でした。現在、当社社員の平均年齢は43歳。10年前は35歳くらいでしたので、このままいくと10年後には平均年齢が53歳ほどになってしまう計算です。

今後、若い優秀な方々に入ってもらうには、会社全体の長時間労働の問題を見直す必要があると改めて感じています。企業力を高めて、社会に貢献して、技術を将来に継承していくことが大切です。

公共事業のうち、トンネルや港湾などの技術は、日本は世界でトップレベルなのですが、若い人が入ってこないと技術がどんどん後退していってしまいます。

東日本大震災で、宅地造成の技術者が多く必要でしたが、人材の確保に難航しました。若く優秀な技術者を集め、育成することを含めて、業界全体を強くしていく必要があると感じています。

会社の存続と業界全体の繁栄、そして社員にいい環境を整えて、コストパフォーマンスを上げていくこと。今後はその3点に注力していきたいです。

小室淑恵
 ワーク・ライフバランス代表取締役社長。2006年ワーク・ライフバランスを設立。 「ワーク・ライフバランス組織診断」や「育児休業者職場復帰支援プログラムarmo(アルモ)」「介護と仕事の両立ナビ」「朝メール.com」などを開発。また携帯電話用サイト「小室淑恵のWLB塾」をリリース。09年よりワーク・ライフバランスコンサルタント養成講座などを主催、多種多様な価値観が受け入れられる社会を目指して邁進中。2児の母の顔を持つ。消費増税集中点検会合など複数の委員会・公務を兼任。著書多数。最新刊は『労働時間革命 残業削減で業績向上! その仕組みが分かる』。

(ライター 西山美紀)

[日経DUAL 2016年6月2日付記事を再構成]

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