家計

人生を変えるマネーハック

結婚後もダブルインカムを続けよう 結婚をマネーハック(3)

2016/6/20

 今月のマネーハック、テーマは「結婚」です。今回は結婚後の夫婦それぞれの働き方を考えてみます。

 結婚とお金の問題をより具体的なものとするキーワードのひとつが「夫婦の働き方」かもしれません。

■働く女性は結婚を機に専業主婦になる人もいるが……

 現在、男女ともに就業率は高まっており、結婚時点でどちらも仕事をしている可能性がほとんどです。内閣府の「男女共同参画白書」の2014年版によると、20歳代後半の就業率は男性が94%、女性が86%となっています。

 かつては働きたくても働けない女性が多かったものの、今では働きたい女性の多くが仕事に就ける時代になりました。しかし、仕事の大変さを痛感し、結婚を機に専業主婦になる願望が強くなっているといわれます。少し古いデータですが2010年に通信教育のユーキャンが行った調査では、結婚後働き続けたい(46%)と専業主婦になりたい(54%)が拮抗しています。

 しかし、夫としての優しさや愛情、度量を示すつもりで「結婚したら仕事は辞めていいよ」というのはマネーハック的にはうまくない決断です。

■結婚退職は夫婦どちらにとっても経済的に不利

 結婚退職をすれば、女性は楽になるか、というと経済的にはあまり楽にはなりません。夫ひとりの収入でふたりの生活をやりくりするわけですから自由にできる予算は半減しますし、夫のおこづかいも削らざるをえないでしょう。

 自由時間は増え、仕事のストレスからは解放されてみたものの、自由に使うお金があまりないということになるわけです。

 さらに、結婚退職が招くもうひとつのリスクとして貯蓄余力が下がることも見逃せません。結婚後の数十年は目の前の家計と将来への貯蓄を同時並行でやりくりしていくことの連続です。専業主婦になってしまうと貯蓄の余裕がなくなってしまい、将来のマネープランも不安定になってしまいます。

 それよりは共働きを続け、ダブルインカムの体制を維持していくほうが、合計所得も高まり、食事や旅行などの余暇に使える余裕も増えます。男性目線でいえば「2人で仕事を続けて、2倍いろんなことを楽しもうよ」と提案するのがマネーハック的な甲斐性といえるでしょう。

■子育て期間中は合計所得が下がることに注意

 しかし、共働きにも難しい局面が訪れます。出産前後の期間と子育て期間中です。

 産休・育休の期間は所得が大きく下がります。それでも休む前の給与の3分の2相当の額が産休時には健康保険から出産手当金、育休中には雇用保険から育児休業給付金として支払われますが、やはりフルタイムで働いていた時期より下がってしまいます(育休を開始して半年後はさらに休む前の2分の1に下がる)。

 また、復職後まもなく、フルタイムで働いていなかった頃に2人目の子どもが生まれれば、休み前の月収が低かった分、2回目の産休・育休の給付水準も下がってしまいます。

 子育てをすることは2人だけの生活より費用がかかることになるので、出費は増えるが収入はダウンすることになり、なかなか大変です。

 この期間に対処するには、まだ子どもがない新婚期間にしっかり貯蓄を増やしておくことに尽きます。共働き・ダブルインカムのメリットを生かしてふたりきりの楽しい時間を資産形成の時間にもしておくことが大切です。

■ダブルインカムはダブル退職金でもある

 ところで、共働き・ダブルインカムの体制を続けていくことは、遠い将来の経済的メリットとして反映されます。夫婦ともに正社員なら厚生年金に加入しており、将来年金をもらえます(派遣社員でも社会保険を適用されている場合は厚生年金に加入しており、将来もらえる)。つまり夫婦それぞれがもらえる「ダブル厚生年金」になるのです。

 今までの標準的モデルは「会社員の夫と専業主婦の妻」ですが、この場合、妻の年金は国民年金だけです。これがダブル厚生年金(支給額には国民年金も含まれる)となることで、老後の定期収入は大幅に増加します。

 また、正社員であった場合、退職金や企業年金をもらえる可能性が高いのですが、これも夫婦それぞれもらえることになります。「ダブル退職金」です。もし1000万~1500万円水準の退職金をダブルでもらえれば、これも老後の財産が大きく増えることになります。

 子育てもしながら、夫婦がともに働くことには苦労も伴います(わが家も小さい子どもが2人いて妻が復職したばかりで毎日大変です)。

 しかしマネーハック的観点から考えれば、共働きをすることのメリットが相当大きいことを考えてほしいと思います。

マネーハックとは ハックは「術」の意味で、「マネー」と「ライフハック」を合わせた造語。ライフハックはITスキルを使って仕事を効率よくこなすちょっとしたコツを指し、2004年に米国のテクニカルライターが考案した言葉とされる。マネーハックはライフハックの手法を、マネーの世界に応用して人生を豊かにしようというノウハウや知恵のこと。
山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ) 1972年生まれ。中央大学法学部法律学科卒。AFP、消費生活アドバイザー。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。所属は日本年金学会、東京スリバチ学会。近著に『お金が「貯まる人」と「なくなる人」の習慣』(明日香出版社)『誰でもできる 確定拠出年金投資術』(ポプラ新書)などがある。趣味はマンガ読みとまちあるき(看板建築マニアでもある)。Twitterアカウントは@yam_syun。ホームページはhttp://financialwisdom.jp

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