素材が違う かっこ良く使いやすい男のポーチ
ポーチ、セカンドバッグ、クラッチバッグ、呼び方は何でもいいが、財布やカード類、筆記具など日常で持ち歩くアイテムだけを手軽に収納できるケースや、カバンの中を整理するためのポーチは、カバンとは別に欲しいものだが、なかなかカッコいいものがない。"便利さ"だけにフォーカスすれば選択肢は広がるものの、だからといってビニール製のポーチを持つのも考えものだ。そこで、今回は持っていて便利、そしてカッコいいポーチを集めた。
一見紙袋だけど、味わい深いポーチ
和紙すきの製法で作られた紙、ナオロンを使ったさまざまなアイテムを製作しているブランド、SIWAのクラッチバッグは、ほとんど紙袋だ。水にぬれても破れないどころかぬれた状態で強度を増し、重いもの(約10kgまで)を入れても大丈夫という。とても軽く、そして気取らずに持ち歩ける。
上部にはスナップボタンが付いているので、くるっと折り返してスナップボタンで留めれば、取り落としても口が開くことはなく、中身が転がり出ることもない。単なる紙袋ではないのだ。なかでも、このWideサイズは幅が31.5cmあり、A4の雑誌が入る大きさ。マチ幅は7cmほどもあるため、コンパクトなカバンのように扱える。やや横長の形なので抱えて持つにも持ちやすい。
SIWAの製品は、使っていくうちに和紙のようなシワがつき、表面が柔らかくなって、風合いが増してくるのも特徴の一つ。普通の紙袋のようにボロボロにならず、味わいが出て長く使う楽しみもある。また、書類入れとしてカバンの中に入れても違和感がない。
サイズはWideの他に、縦長のMとLがあり、バッグインバッグや小分けポーチとして使うことも可能だ。色はブラウンとブラック。見た目は高級感のある紙袋なので、仕事中にかたわらに置いてもさまになる。価格も手頃なので、用途別に複数買ってもよさそうだ。
出し入れスムーズ、柔らかいレザーポーチ
トライオンの「GS215」は、B5サイズ対応、薄マチのレザーポーチ。やや正方形に近いB5サイズのファイルが入る大きさは、タブレット登場以降の定番サイズ。iPadなどを収納して、A4の書類は持ち歩かないという新しいスタイルに向けたポーチだ。
B5サイズは、ちょっと手にして出かける場合にピッタリの大きさ。ビジネスポーチとして、また、タブレット類を安全に収納するバッグインバッグとしても扱いやすい。A4ファイルの収納が必須という方はA4サイズ対応の「GS214」(1万6200円)という製品も用意されている。
このポーチの最大の特徴は、革がとても柔らかいこと。そのため、中を開きやすく、小物を適当に放り込んでおいてもさっと見つけて取り出すことができる。抱えて持ったときにもポーチが体に沿ってくれるので負担なく抱えられる。
前面にホック留めのオープンポケット、背面にファスナーポケットと、ポーチにしては珍しく外側に2つもポケットが用意されているのだが、ポケットの口がガバッと大きく開き、出し入れがものすごくスムーズなのだ。オーソドックスなデザインなのでオンとオフをこれ一つで対応可能。使用範囲がとても広い。
人とかぶらないコーヒー豆用麻袋のポーチ
コーヒー豆が出荷されるときに使われる麻袋をポーチに仕立てているので、表面の模様は同じものがほぼない、オリジナリティーあふれるクラッチバッグ。麻袋をPVCコーティングして、底部に革を用いている。革の色や麻袋の模様によって、男性風だったり女性向きだったりするので、実際に持ってみて似合うものを購入するといい。かなり軽量だけれど丈夫で、防水性も高いのでラフに使える。
何より、高さ22cm、幅34cmくらいの横長のサイズがとても扱いやすい。コンパクトに見えるが、幅があるので折り畳み傘も収納可能。マチは5cm程度だが、その分、形が崩れにくく、いろいろなものを放り込んでも中でゴチャゴチャしない。内装はオフホワイトの綿でできていて、仕切りのようにも使えるオープンポケットが一つ。
折り畳み傘、タブレット、名刺入れ、手帳、デジカメ、筆記具といった手回り品が、ちょうどいい感じで収まり、取り出しやすい。休日に映画などを見に行くとか、ちょっとお茶でも飲みつつ考えごとなどのときに、パッと手に取って出かけるのに、このデザインとサイズ感は最高。幅があるので、ビジネストートのバッグインバッグとして使ってみたら、便利だった。
セカンドバッグの現代版は薄マチ、横長サイズ
最小限の身の回りのものを入れて持ち歩く、かつて「セカンドバッグ」と呼ばれていたものの現代版が、この「GS203」。かつて流行したセカンドバッグのようにマチが大きめでゴロッとした形状のものや、A5サイズのカッチリしたものではなく、薄マチで横長になっている。中に入れるものの変化を物語っているようだ。
例えば、たばこにライター、大きな長財布、鍵の束、カメラ、レコーダーといったモノに替わり、スマートフォン、バッテリー、カードケースといった、あまりかさばらないものをスマートに収納する場合は薄マチ横長が合うのだ。また、このような横長のフォルムはスーツとの相性が良く、冠婚葬祭にも使えるなどTPOを選ばないのも魅力。
ファスナーがL字形に開くため、歩きながら中のモノを出し入れしやすく、そのファスナーの形状がアンシンメトリーの個性的なデザインを生んでいる。こういった抱えるタイプの革製クラッチバッグとしては、かなりソフトな革が使われているので、持ったときの感触や、抱えて歩くときなどとてもラクだ。それでいて、形崩れしにくく、カッチリとした印象を与えるように作られているのがうまい。
ファスナーには取っ手にもなるストラップが付いていて開閉がスムーズ。シボのある革でラフに使っても傷がつきにくい。内部はオープンポケットとファスナーポケットが1つずつのシンプルな構造と、本当に必要最小限のモノを持ち歩くときの「便利さ」だけをじっくりと考えて作られたポーチなのだ。
カメラバッグのメーカーが手がけた秀逸ポーチ
ウェストポーチにも、ショルダーバッグ風にも、手持ちポーチとしても使えるうえに、耐水加工まで施された万能型ポーチが、ピークデザインの「Field Pouch」。薄マチで、横長の布袋のような形状は、ベルトに付けても前に迫り出すことなく、ポケットが拡張した感じで使える。
耐久性が高く、ナイロンバッグの定番素材となっているコーデュラナイロンに、さらに耐水はっ水加工を施している。質感は布そのもの。服装を選ばず、ベルトに付けたり、持ち歩いたりできるスタイリッシュなポーチなのだ。小さくて身の回りのものがしっかり入って、カッコいい男性が使えるポーチは、本当に少ないから、この製品はかなり貴重だろう。価格もリーズナブル。色は、グレーとタンの2色が用意されている。
もともと、カメラバッグやカメラの周辺機器を得意とするメーカー、ピークデザインの製品だけあって、デジカメやデジタルグッズを安心して持ち運べるようになっているのもうれしい。
底面はPVCコーティングされた素材で、底部の強度を上げている。ポーチを手に持つときのグリップのような役目を果たしたり、内部の適度なクッション性とフェルト地がデジタル機器を擦れや衝撃から守ってくれたり、それでいて、緩衝撃剤が厚くてモコモコすることもない。ショルダーストラップを付けるのに金具ではなく独自のジョイントが使われていて別売の専用ストラップを簡単に着脱できるのも魅力だ。
巻いて使える高級馬革のポーチ
馬革はカバンにとても向いた素材だと思う。だけど、ボストンバッグなどの大きなカバンにはよく使われているものの、小さいカバンやポーチではあまり見かけなかった。デザインフィルの「馬革バッグ」シリーズは、扱いのある店舗が、湘南と銀座の「TOUCH & FLOW」2店舗のみの限定ながら、ショルダーバッグやトートバッグからジッパーポーチまで、身近に使えるラインアップで、馬革好きにはうれしいシリーズ。
中でも小型のショルダーバッグとジッパーポーチは、馬革の吸い付くような手触りと柔らかさ、軽さを手の中で楽しめるコンパクトな製品として気に入っている。今回取り上げるジッパーポーチも、革製とは思えない軽さと柔らかさ、そして馬革ならではのしなやかな感触を身近に楽しめる製品に仕上がっている。
iPad miniがピッタリ入る小ぶりのポーチは、ジッパーが付いているものの、まるで革の封筒のようだ。柔らかいけれど強い馬革製なので、くるくると丸めたり、少しかさばるモノを入れたり、旅行時の貴重品入れにしたり、バッテリーやケーブルをまとめて収納するのに使ったりと、カッコいい袋として自由に使える。小物をちょっと持ち歩きたいときにサッとまとめられるシンプルな袋はあると便利なのだが、ジップロックやビニールのポーチのようなものばかり。だから、このジッパーポーチは貴重なのかもしれない。
カバンがすっきり整頓される小分けポーチ
こちらは、最初に取り上げたブランド、SIWAのラウンドファスナー型小分けポーチ。カメラケースや化粧ポーチとして使える小物整理用のポーチだ。これを単体で持ち歩くにはやや容量が足りないが、カバンの中をスッキリさせるためのポーチと考えると、とても使い勝手が良いし、なにより紙の風合いが気持ちいいので、カバンにいくつ入っていても見た目がスッキリする。紙製で軽いので、旅行用の小分けポーチとしても活躍するのだ。バッテリーやケーブルを入れておいて、使う際にカバンから取り出して手元に置いてもカッコいいところが、他の小分けポーチとの大きな違いだろう。
ファスナーを開けると、内部はオープンポケットが一つ。内部にクッションが入っているのでコンパクトデジカメなどを入れるのにも向いている。口は大きく開くし素材がソフトなので、内容物の出し入れはスムーズ。角が丸いフォルムは女性的な印象だが、SIWA製品の場合、男性が持ってもまったく違和感がない。むしろ、角が丸くなっていることでカバンの中などに入れやすく、扱いやすい。机の上の小物をまとめて収納するツールボックスとしても使えるし、アメニティーグッズを入れるのにもちょうど良いサイズ。用途の幅がとても広いポーチなのだ。
使いやすさで二重丸 円筒状のポーチ
「MOCOPO L」は、上部が大きく開くので、机の上では小物入れとして使えるし、カバンの中に入れて持ち歩くときには円筒状になるので収納しやすい。この独特のデザインが特徴だ。小脇に抱えるポーチと、カバンの中の小物をまとめるポーチの中間のサイズにあたるが、このような扱いやすい大人のポーチはなかなかないのだ。
幅22×高さ10×マチ幅8cmのコロンとした形状と、端を折り込んでマグネットで留めることで上部全体が開く構造は、筆記具やケーブル類、各種道具類などの細長いアイテムを収納するのに向いている。今では旅の必需品になっている予備バッテリーや充電機器、ケーブルなどのアイテムをまとめて収納したときの収まりの良さと、中でのケーブル類の絡まりにくさは、この製品ならではの魅力だろう。
豚革を使い、鮮やかな色に染め上げた仕上がりは、大人の持ち物として申し分のない出来。口金やファスナーなどの金属部品が表に露出せず、コロンとした革のオブジェのようにも見えるデザインは、実用とファッションが見事に融合したものだ。今回取り上げたLサイズの他に、ペンケースにちょうどいいSサイズ、旅行時のケーブル入れやグルーミングキット入れに向いたMサイズもある。また、革の種類を変えたものなどバリエーションが豊富にそろっているので、用途や好みで選べるのも嬉しい。
(文・写真 納富廉邦)
[日経トレンディネット 2016年5月19日付の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。