進化する傘、扇風機や香り付き 高級ビニール傘も
今年もまた傘が手放せないシーズンになった。売り場へ足を向けてみると、扇風機付きや火山灰よけも目指した傘など、風変わりな傘が目立つ。8000円以上するビニール傘も登場し、これまでのイメージとはかけ離れた個性的な顔ぶれが店頭で並ぶ。
この時期は雨が降っているのに蒸し暑い。大手洋傘メーカーのシューズセレクション(東京・目黒)が販売する扇風機付きの傘は内部に樹脂製のプロペラが設置されており、持ち手のボタンを押すと回転する優れもの。
熱中症予防に有効
晴雨兼用で、雨の日だけでなく、蒸し暑い日にも使える。熱中症対策に有効だという。同社は「テーマパークの待ち時間やゴルフのラウンド中など、暑さ対策のために買っていく人も多い」と説明する。価格は8100円。
同社はご当地傘も生産している。鹿児島県のご当地傘として売るのは「桜島ファイヤー」。桜島の降灰対策のために作られたという。肩から上をすっぽりと覆うような形状で、火山灰から身を守る。もちろん雨傘としても使える。「頑丈な作りなので、強風から身を守るために買っていく人もいるようだ」(同)と話す。価格は2160円。
500円ほどで手軽に入手できるイメージが定着しているビニール傘も変化を遂げている。
8000円以上のビニール傘
江戸時代から続く傘問屋、ホワイトローズ(東京・台東)が販売するビニール傘「縁結(えんゆう)」は8000円以上もする。もともとは皇后美智子さまのために作られた傘といい、強度を高めながら雨でも前を見通しやすい仕様にした。
同社の須藤宰代表は「高級なビニール傘が売れるのか心配だったが、予想以上の反響に驚いた」と話す。
傘の進化はまだまだやまない。夜道で使うときのために持ち手に発光ダイオード(LED)を内蔵させたり、ワンタッチボタンで閉じたりできるものもある。
自分好みに生地を着せ替え
機能だけでなく、楽しみも加わる。雨にぬれると動物の柄が浮かび上がったり、広げるとバラの香りがしたりする傘など。持ち主が自分好みに生地を着せ替えられる傘も人気を集めている。雨が降っていても気分は晴れそうだ。
日本文化に触れたい外国人観光客からは、伝統の和傘やかぶり傘が人気を博している。浮世絵柄の折り畳み傘をお土産として買っていく人も多い。
ぬれた折り畳み傘の水分を吸収するケースも
傘に合わせて、傘を取り巻くグッズも進化している。ぬれた折り畳み傘は外出先で、困る。そのままかばんに押し込むわけにもいかない。そんな悩みを解消したのが環境用品メーカー、山崎産業(大阪市)の「SUSU(すうすう)傘ケース」。ぬれたままの折り畳み傘を入れても、水が染み出さない。ふわふわとしたマイクロファイバー(超極細繊維)が内側に貼り付けられており、水分を瞬時に吸収する。購入者からは「安心してカバンにしまえる」という声も。
5日に関東甲信地方が梅雨入りし、全国的に雨の日が増えている。ただ、実は傘がよく売れるのは晴れの日だという。梅雨の晴れ間にちょっと変わった傘を買い、雨の日を楽しみにしてみてはどうだろう。
(商品部 金尾久志)
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