オフショルダーとエアリー素材、涼やかな夏スタイル
宮田理江のファッションラボ
夏が近づき、涼やかな装いが欲しい季節になってきました。風が吹き通るエアリーな服や、肩をのぞかせる「オフショルダー」は気持ちまで伸びやかにしてくれます。
薄手の生地をたっぷり使って仕立てたボトムスは自然に空気をはらんで、すがすがしい着映えに仕上がります。実際に風が脚を吹き抜けるので、快適に過ごせます。これだけボリューミーなボトムスには、両肩をさらしたオフショルダーのトップスがお似合い。素肌が見えていても、量感の豊かなボトムスが肩を目立たせません。編み地の模様がきれいなトップスと、透ける風合いがやさしげなボトムスの異素材感がドラマチックなコントラストを生んでいます。
さっぱりしがちな夏の装いは上下それぞれムードの違うもので合わせるのがコツです。裾のレースや両脇のラインなど、視線を引き込むディテールをあしらう目配りが欠かせません。鎖骨ゾーンがさわやかに露出したトップスは健康的なイメージを寄り添わせます。胸元にシャーリングを施して、表情を深くしました。あちこちから細いひもを垂らして、動きを添えています。白いストラップシューズが爪先にも目をひきつけて、スポーティーなパンツもしなやかに見えます。肌見せを伴う着こなしの場合は、このように視線を散らす工夫がポイントになってきます。
シフォンやジョーゼットなどの薄手の布をトップスに使うと、涼しげに見えるだけでなく、やわらかい雰囲気をまとえます。ドレープを寄せると、肌から程よく離れてくれて、風通しがいい上にボディーラインもすてきにカムフラージュ。ボトムスは切りっぱなしデニムのミニ丈で若々しさを加えました。ひもで絞る腰のドローストリングスがリラックスした気分を宿しています。縦に流れるマルチカラーの配色が利いているおかげで、デコルテ周りもすっきりとして見えます。チェーンバッグをわざと長く垂らして、ボディーから目をそらすのも上手な小技です。
一体型の「オールインワン」は優美なシルエットが際立つから、1枚で過ごしたい夏にうれしいウエアです。全体にペイズリー柄を静かな色味であしらって大人っぽく整えています。ウエスト部分に配したレースが表情を深くし、装いにメリハリを生んでいます。スーパーロングのネックレスを垂らしてさらに縦長イメージを強調しているのも、夏に使いこなしたいテクニックです。
好相性アイテムの組み合わせでまとめやすく
数あるパリコレクション参加ブランドの中でも、「クロエ」は今の女性から最も共感を得ているブランドのひとつ。背伸びをしないのに、ピースフルな気分や自然なリラクシングが感じられる装いが広く支持を集めています。2016年春夏シーズンは自由気ままでくつろいだ雰囲気の中にロマンチックなムードをミックスするスタイルを提案。服にとどまらず、バッグでも人気が高く、バッグコレクション「FAYE(フェイ)」や「DREW(ドリュー)」は日本でも愛用者を増やしています。
夏服は秋冬に比べて着るアイテム数が減るせいで、かえってバランスや雰囲気を整えるのに苦労しがち。風に揺れる薄手アイテムと、肩を出すウエアは互いの見え具合を補い合うから格好のチームメートになってくれます。コンパクトなトップスには量感のたっぷりしたボトムスが好相性。逆にボリュームあるトップスのときは、ボトムスをすっきり整えて。今回のクロエのルックのように、1カ所に視線を集中させない「分散型」のミックスコーディネートを意識すれば、節度を保った夏スタイルにまとめやすくなります。
画像協力
http://www.chloe.com/
ファッションジャーナリスト、ファッションディレクター。多彩なメディアでランウェイリポートやトレンド情報、リアルトレンドを落とし込んだ着こなし解説などを発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かした、「買う側・着る側の気持ち」に目配りした消費者目線での解説が好評。自らのTV通版ブランドもプロデュース。セミナーやイベント出演も多い。 著書に『おしゃれの近道』『もっとおしゃれの近道』(学研パブリッシング)がある。公式サイト:http://riemiyata.com/
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