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女性活躍推進のえるぼし認定 売り上げや採用活動に効果

日経BPヒット総研所長 麓幸子

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NIKKEI STYLE

日経BPヒット総合研究所
エンターテインメント、トレンド、健康・美容、消費、女性と働き方をテーマに、ヒット案内人が世相を斬るコラム「ヒットのひみつ」。今回のテーマは、「えるぼし」認定企業。女性活躍推進法に基づく企業の認定にはどのような効果があるだろうか。

2016年5月13日、厚生労働省は「えるぼし」企業46社を認定したと発表した。今回は、えるぼし認定がどのような効果を生んでいるかをお伝えしたい。

えるぼし認定企業46社を発表。最高位の三つ星は38社

えるぼしとは、16年4月1日に施行した女性活躍推進法に基づく認定制度で、行動計画を策定し届け出をした企業のうち、女性活躍推進が優良な企業について厚生労働大臣の認定が受けられるというもの。認定は基準を満たす項目数に応じて3段階に分かれており、認定マーク(愛称「えるぼし」)の星の数で、「一つ星」から「三つ星」まで表される。このマークは商品や広告、求人等に使用でき、女性活躍企業であることを学生や消費者、取引先、投資家など様々な利害関係者にアピールできるというもの。

16年4月末までに1万3946社が届け出たが、「えるぼし」認定企業は記事末の一覧のとおり。認定46社のうち地方銀行が存在感を示している。

最高位の三つ星を獲得した千葉銀行の女性従業員比率は40.9%、女性管理職比率は15.1%。15年12月には内閣府の「女性が輝く先進企業」内閣総理大臣表彰にも選ばれた。新しい制度である「えるぼし」にエントリーするかどうか、様子見の企業も多かったが、千葉銀行は施行日の4月1日に申請した。「女性活躍企業として社内外にPRし採用面でも優位に進めていきたいと考え、認定エントリーを早い段階で行う必要があると思い、初日に申請した」(ダイバーシティ推進部・山本悠介氏)。今後、名刺への印字や、採用ホームページの掲載を予定している。子育てサポート企業の認定マークである「くるみん」[注]も獲得している同行は、積立定期預金のパンフレットにくるみんマークを掲載しているが、えるぼしマークも同様に金融商品のパンフレットへの活用も検討するという。

[注]「くるみん」は07年に開始した子育てサポートの企業向け認定。えるぼしと同様、厚生労働省が認定する。15年には、さらに高い条件を満たす企業に向けた「プラチナくるみん」の認定も始まった。

同じく三つ星を獲得した三州製菓(埼玉県春日部市)の従業員は237人。301人以上の企業は行動計画策定や届け出が義務であるが、300人以下の企業は努力義務。同社には策定・届け出の義務はないものの、認定を申請した。「当社は従業員の8割が女性であり、女性の活躍は経営上の重要課題。04年に埼玉県男女共同参画推進企業(現・さいたま輝き荻野吟子賞)に認定され、その後も認定や表彰を受けているため、埼玉県側のすすめもあり申請を決めた」(総務部マネージャー・板垣千恵子氏)。認定を受けて名刺にえるぼしを印字、社長以下営業部員が使用している。大手企業から「えるぼし三つ星取得は素晴らしい」と言われることが多くて驚いたと板垣氏。メディア露出もあり、従業員から「改めて女性に優しい企業で働いていることの実感がわいた」との声が届き、インナーコミュニケーションにも効果があることを実感している。

マークは採用活動に寄与、男子学生の手応えも上々

三つ星認定の曙ブレーキ工業(埼玉・羽生市)は採用活動への好影響を期待する。これまでも、「くるみん」などいろいろな認定を受けており、求人票等にマークを記載すると、女子学生だけでなく男子学生の反応も上々だった。

「えるぼし認定を受けるには月の平均の残業時間が45時間未満であることが条件。それが奏功するだろう。今の学生は男女ともにワークライフバランス指向。働きがいはもちろん重要だが、長く働き続けるために残業が少ないことを重視する。男子学生にも、えるぼし三つ星の当社は、ワークライフバランスが取れていて女性が活躍している"超ホワイト企業"と認知されるのではないか」(人事部長・前上亮子氏)

「えるぼし認定の基準の一つである女性管理職比率が産業別の平均値以上となっていることがよかった」と前上氏。えるぼし認定の特色は女性管理職比率に産業別の数値を用いていること。同社の女性管理職比率は5.0%。産業計の平均値(7.6%)が適応されれば三つ星に届かなかったが、産業別(輸送用機械器具製造業)の平均は1.0%。同社の女性管理職比率はそれを超えていたため三つ星を獲得できた。

曙ブレーキ工業もそうだが、今回のえるぼし認定企業を見ると様々な業界の企業が認定されており、女性の活躍の場が拡大していることを感じる。不動産業のヒューリックは、15年経済産業省「ダイバーシティ経営企業100選」、16年同「なでしこ銘柄」、そして今回のえるぼし三つ星認定と連続して高い外部評価を獲得。「続けて評価されたことに対して、取引先のお客様よりお褒めの言葉をいただいている」(広報・IR部・山田良浩氏)。不動産業界はまだまだ女性が少ないが、同社では女性が出産・育児をしながら活躍することを推進するため、事業所内保育所の設置など両立支援策の拡充に努めている。「当社では現状、結婚・出産というライフイベントで退職するケースはほとんどなく継続して勤めている。新卒採用でも女性を比較的多く採用しているため新卒採用のマーケットにおいても応募者の反応はプラス」(山田氏)

公共調達の女性活躍企業の優遇、対象は総額5兆円規模に

建設業界も女性活躍がイメージしにくい業界の一つ。そのため、スーパーゼネコン・清水建設の三つ星獲得は話題となった。「三つ星が取れる可能性があったこともあり16年3月中旬には認定を申請した」とダイバーシティ推進室長の西岡真帆氏。「当社は、従業員一人ひとりの多様な個性を生かし能力を最大限に発揮できるようダイバーシティー推進に取り組み、実績も積み上がってきたが、これまで取り組みの対外発信が弱かった。今後は機会をとらえてアピールしていきたい。えるぼしマークは、ホームページやパンフレットへの掲載を検討している。来期以降となるが、採用局面での効果も狙いたい」(西岡氏)

社外からの反応もあったが、社内各所から「認定を取ってくれてありがとう」との声が西岡氏のもとに届いた。なぜなら、政府が16年3月に公共調達に関する新たな取り組み指針を決定したためだ。国の事業の入札に際し、女性活躍加速のため、えるぼしやくるみん、プラチナくるみん認定企業など、ワークライフバランスを推進する企業を優遇するとしたのだ。内閣府の推定では、対象となる契約は、5万~6万件となり、総額5兆円規模になる見込み。14年度は36事業約10億円が対象だったため、一挙に大幅に拡大する。しかも、配点例を見ると、プラチナくるみんよりもえるぼし三つ星のほうが配点が高い。えるぼし獲得がステークホルダーにアピール効果があるだけでなく、受注拡大にも結び付くということだ。

「女性が活躍する会社は従業員誰もが活躍できる会社。今後もさらに取り組みを進めていきたい」(西岡氏)

中央大学大学院戦略経営研究科(ビジネススクール)教授の佐藤博樹氏は、認定企業を見て、「女性管理職比率は産業別になっているが、残業時間も産業別の基準にすればより精度の高い認定となっていたのではないか。また、女性活躍の取り組みが急進展している企業でも、現行の認定基準に合致しないために認定を受けることができていない場合も多い。例えば女性活躍の取り組みが学生から評価されると女性の応募が増加し、男女の採用倍率では基準を満たさないことにもなる。認定は参考資料として、就職活動などに活用することが望ましい。300人以下の企業においては認定を受けることはいろいろなメリットが生じる。努力義務ではあるが、行動計画を策定し届け出をして認定申請を目指すことをすすめる」と語る。

新しい認定制度であるえるぼしの認知はまだ低い。「年に一度しか申請できないのでは」「ROEなど財務指標も認定に関係するのでは」といった疑問の声も聞かれ、ダイバーシティ経営企業100選やなでしこ銘柄と混同されている向きもある。えるぼしは認定申請をして基準を上回っていれば都度認定が獲得できる。厚労省は16年6月15日、16年5月末までのえるぼし認定企業数は74社になったと発表した。

二つ星認定企業(所在地、常時雇用する労働者数)
・青森銀行(青森県青森市、2213人)
・常陽銀行(茨城県水戸市、5778人)
・イオンファンタジー(千葉県千葉市、5582人)
・京葉銀行(千葉県千葉市、3131人)
・前田建設工業(東京都千代田区、3232人)
・三菱マテリアル(東京都千代田区、5512人)
・キャン(岡山県岡山市、135人)
・キャンストアオペレーション(岡山県岡山市、2197人)
三つ星認定企業(所在地、常時雇用する労働者数)
・北洋銀行(北海道札幌市、5676人)
・荘内銀行(山形県鶴岡市、1549人)
・曙ブレーキ工業(埼玉県羽生市、1186人)
・川口信用金庫(埼玉県川口市、853人)
・埼玉縣信用金庫(埼玉県熊谷市、2252人)
・埼玉りそな銀行(埼玉県さいたま市、6288人)
・三州製菓(埼玉県春日部市、237人)
・武蔵野銀行(埼玉県さいたま市、3183人)
・イオンモール(千葉県千葉市、2814人)
・千葉銀行(千葉県千葉市、6635人)
・千葉興業銀行(千葉県千葉市、2227人)
・イオン銀行(東京都江東区、1390人)
・エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ(東京都千代田区、9370人)
・カルビー(東京都千代田区、1724人)
・協和エクシオ(東京都渋谷区、4153人)
・清水建設(東京都中央区、10548人)
・スリープロ(東京都新宿区、1784人)
・ソニー(東京都港区、12286人)
・中央エンジニアリング(東京都千代田区、535人)
・東京海上日動キャリアサービス(東京都新宿区、457人)
・日本電気(東京都港区、24275人)
・日立ソリューションズ(東京都品川区、5054人)
・ヒューリック(東京都中央区、130人)
・フォーカスシステムズ(東京都品川区、954人)
・富士通(東京都港区、24187人)
・古河電気工業(東京都千代田区、3251人)
・ベネッセコーポレーション(東京都多摩市、2778人)
・リコー(東京都中央区、11045人)
・小林化工(福井県あわら市、423人)
・福井県民生活協同組合(福井県福井市、937人)
・十六銀行(岐阜県岐阜市、4723人)
・たんぽぽ薬局(岐阜県岐阜市、958人)
・静岡銀行(静岡県静岡市、4736人)
・社会福祉法人聖隷福祉事業団(静岡県浜松市、8737人)
・京都銀行(京都府京都市、3161人)
・ニッセン(京都府京都市、2640人)
・社会福祉法人正和会(奈良県五條市、393人)
・ストライプインターナショナル(岡山県岡山市、4741人)
麓幸子(ふもと・さちこ)
日経BPヒット総合研究所長・執行役員。日経BP生活情報グループ統括補佐。筑波大学卒業後、1984年日経ホーム出版社(現・日経BP社)入社。1988年日経ウーマン創刊メンバーとなる。2006年日経ウーマン編集長、2012年同発行人。2014年より現職。同年、法政大学大学院経営学研究科修士課程修了。筑波大学非常勤講師(キャリアデザイン論・ジャーナリズム論)。内閣府調査研究企画委員、林野庁有識者委員、経団連21世紀政策研究所研究委員などを歴任。経産省「ダイバーシティ経営企業100選」サポーター。所属学会:日本労務学会、日本キャリアデザイン学会他。2児の母。編著書に『なぜ、あの会社は女性管理職が順調に増えているのか』『なぜ、女性が活躍する組織は強いのか?』『女性活躍の教科書』(いずれも日経BP社)、『企業力を高める―女性の活躍推進と働き方改革』(共著、経団連出版)、『就活生の親が今、知っておくべきこと』(日本経済新聞出版社)などがある。
[参考] 日経BPヒット総合研究所(http://hitsouken.nikkeibp.co.jp)では、雑誌『日経トレンディ』『日経ウーマン』『日経ヘルス』、オンラインメディア『日経トレンディネット』『日経ウーマンオンライン』を持つ日経BP社が、生活情報関連分野の取材執筆活動から得た知見を基に、企業や自治体の事業活動をサポート。コンサルティングや受託調査、セミナーの開催、ウェブや紙媒体の発行などを手掛けている。

女性活躍の教科書

著者 : 麓幸子、日経BPヒット総合研究所
出版 : 日経BP社
価格 : 1,728円 (税込み)

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