ホテルのような空間で高精度検診 1日8人限定
4カ月半で会員1200人超の「ハイメディック東京ベイ」
まるでリゾートホテルのよう…こだわりの「上質空間」
ハイメディック東京ベイは、東京ベイエリアに開設された会員制検診施設。経営は「エクシブ」や「東京ベイコート倶楽部」など、会員制リゾートを運営するリゾートトラストのグループ会社、ハイメディックだ。
同施設のコンセプトは、「ホテルのような上質空間で、ホスピタリティーあふれる検診を」。リゾートのプロフェッショナルが手がけるだけに、検診施設とは思えないほど、施設内は高級感に包まれている。東京都内にあって、これほどゆとりのあるスペースを備えた医療施設はまれだろう。
グランドハイメディック倶楽部では、「ハイメディック・東大病院」「ハイメディック山中湖」「ハイメディック・ミッドタウン」など、すでに複数の検診施設を稼働させているが、「ハイメディック東京ベイ」の強みは「ゆったりとした快適性」にあると、同施設の責任医師を務める大城秀巳医師(ミッドタウンクリニック有明院長)は話す。「受診者がいかにリラックスして快適な時間をここで過ごせるか。これが、検診以外の付加価値として、私たちが重きを置いていることです」(大城医師)
PET/MRIをはじめ、最新鋭の機器を備えた画像センター
まずは検診の流れから紹介しよう。ハイメディック東京ベイの会員になると、年1回受診できる検診券が発行される。希望の日程に予約を入れ、1泊2日で受診するのがスタンダードなコースだ。
1日目は、同じベイエリアにある「ホテルトラスティ東京ベイサイド」の地下1階に開設された「ハイメディック東京ベイ画像センター」で、PET/MRIなどの検査を受け、同ホテルに宿泊。2日目は至近距離にある「ハイメディック東京ベイ」に移動し、CTや超音波、3Dマンモグラフィ、上部消化管内視鏡などの検査を受ける。
特筆すべきは、1日目に行うPET/MRIだ。PET/MRIは、PET(Positron Emission Tomography:ポジトロン断層撮影)とMRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像装置)を同時に撮影する高性能の機器で、検診用としては日本で初めて同施設で導入された。PETとMRIを同時に撮影することで、病変の診断能力が高まり、微小ながんや心疾患、脳血管疾患の早期発見が可能になる。撮影に時間がかかるため、1日の対応人数は16人まで。グランドハイメディック倶楽部の他の検診施設の会員も利用できる。
見落としのリスクが極めて低い乳がん検査も魅力
女性にとっては、乳がん検査をどこまで精密に実施してくれるかも検診施設選びのポイントのひとつとなる。一般的な人間ドックでは、マンモグラフィと乳腺超音波検査の片方しか選択できない、あるいはいずれかがオプション扱いであることが多い。しかし、同施設ではすべての女性受診者がこのふたつを受けられる上に、マンモグラフィは、撮影画像を立体視できる「3Dマンモグラフィ」を採用している。
加えて、画像センターでは、マンモグラフィや全身用のPETよりもさらに小さな病変を検出できる「乳房用PET」も装備。マンモグラフィ独特の「挟まれるときの痛み」がなく、うつ伏せになって検出器ホールに乳房を入れるだけで検査ができる。「これだけ組み合わせて検査をすれば、まず見落としはないといえるのではないでしょうか。もちろん、ゼロとは言いませんが、見落としの可能性はかなり低くなる組み合わせです」(大城医師)
各検査の間は、終始コンシェルジュがエスコートしてくれ、待ち時間は全11室ある個室で過ごす(夫婦で利用できる2人用の部屋もある)。検査着を着た受診者が通路のベンチにずらりと並んで延々と待機する……という風景とは無縁だ。問診や採血などが行われる部屋もすべて個室で、プライバシーへの配慮も万全。2日間を通して、他の受診者と顔を合わせることはほとんどないという。
検査から結果説明まで1泊2日で完結するスピードが強み
ハイメディック東京ベイの検診のさらなる特徴は、結果が出るスピードだ。様々な画像検査で得られた画像は、放射線専門医を交えたダブルチェック体制で読影し、2日目の検査終了時にはすべての検診結果が出そろう。
「通常、撮影した画像を複数の専門家が読影し、すぐにご本人に結果を説明するのは、よほどの体制がなければ不可能です。しかも、検査項目が多ければ多いほど、大変になってきます」(大城医師)
2日間の検診で得られた数十項目の検診結果は、検診の専門家である医師が総合的に解析し、精密検査を要する項目や、将来の病気になるリスクを洗い出す。これらについて、時間をかけて丁寧に説明した上、生活習慣改善のアドバイスも行う。
「30~40分、場合によっては1時間かけて詳しく説明し、疑問や不安があればその場で解消していただくよう努めています」と大城医師は言う。
結果が郵送されるまで悶々として待つことなく、1泊2日の間に、ワンストップで結果まで知ることができるのはうれしいシステムだろう。
受け入れは1日8人限定
一般的な検診施設では、30分刻みに10名程度を受付するシステムが普通だ。だが、同施設では、1日に100人、200人という人数を受け入れることはない。ベルトコンベヤー式の検診を回避し、受診者の待ち時間を最小限に抑えるため、1日の受診者数はわずか10人以下という徹底ぶりだ。
「受け入れ人数は、2015年12月のオープン以来、1日6人としてきましたが、この枠を拡大し、2016年4月から1日8人に増員しました。今後も少しずつ増やす予定ですが、検診のクオリティーを下げるつもりはありません。快適性と先進性の両方を満たす検診を提供したいと考えています」(大城医師)
ハイメディック東京ベイは検診主体の施設だが、会員の検診後のフォローや生活習慣病予防のためのサポート、一般的な医療相談を行う医療相談室がある。また、精密検査や受診の必要が生じた場合は、受診者の希望に添って、専門の医療機関の紹介も行っている。
入会金・年会費合わせて約300万円、法人会員が半数近く
これだけの充実したサービスを受けるためには、どのくらいの料金がかかるのだろうか。気になるハイメディック東京ベイの入会金は、243万円(税込)。年会費は54万円(同)に設定されている。検診は1人につき年間1回。その他、上記の医療相談などのサービスを利用できる。
内訳 | 会員資格金 (入会金) | 年会費 | 検診券枚数 | 会員資格期間 |
本体価格 | 2,250,000 | 500,000 | 1枚 | 15年 |
消費税 | 180,000 | 40,000 | ||
合計 | 2,430,000 | 540,000 |
通常の人間ドックとは桁違いの料金設定だが、オープンから4カ月半の2016年4月末で、同施設の会員は約3100人の募集に対し、早くも1200人を超えた。
「割合として多いのは、会社の経営者の方々ですね」と大城医師。経営者は自身の健康状態が業績を左右しかねないだけに、健康管理には人一倍気を使っているのだろう。また、個人会員だけでなく、法人会員も半数近いという。検診券は譲渡することが可能なので、法人として入会し、福利厚生として従業員が利用するケースが多いという。
人間ドックは、忙しく働く現役世代や、老後をゆったりと過ごすシニア世代が、自身の健康に徹底的に向き合う日。どうせ検診を受けるなら、高額でもいいので、心地よい空間でくつろぎながら、最新鋭の検査で全身をくまなくチェックしたい。もちろんアフターサポートも手厚く――。そんなニーズに応えた高級会員制医療サービスは、今後、さらに拡大していくのだろうか。グランドハイメディック倶楽部では今後、2016年6月20日に「ハイメディック京大病院」、同7月5日には「ハイメディック名古屋」のオープンを予定している。
(取材:稲垣麻里子/文:田中美香/写真:村田わかな)
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