月のクレーターがくっきり スマホ対応の天体望遠鏡
エレコムの「スマホ天体望遠鏡 EDG-TLS001」は、段ボール素材のパーツを組み立てて作る天体望遠鏡。商品名の通りスマートフォン(スマホ)で天体などが撮影できる。望遠鏡としての性能は光学約35倍と入門機クラスで、スマホのズームと合わせると最大約130倍で天体を観察できるという。もちろん直接目でのぞいての天体観測も可能だ。
組み立てに必要な時間は1時間半ほど
パッケージの内容は、段ボールのシートが9枚、レンズが3枚(ウレタンのような素材にはめこまれている)、それに三脚取付板、面ファスナー、透明シール、取扱説明書が同こんされている。
組み立ての難易度は人によって感じ方が異なるだろうが、決して難しくはない。対象年齢は15歳以上となっているが、おそらくこれはレンズなど小さなパーツの誤飲を防ぐためで、小学生の高学年であれば組み立てられるレベルだ。
シートには切れ目が入っており、手でパーツが簡単に外せる(全部で22パーツ)。パーツには折り曲げ線が入っているので、手だけでも折り曲げられるが、定規を使ったほうがきれいに仕上がる。組み立てに接着剤などは不要。ツメを穴に挿し込むことで立体的な望遠鏡を組み上げていく。
筆者は定規を使わず作ったため、折り目が完全に直線にならないこともあり、ツメの挿し込みが無理やりになってしまった。雑に作っても完成までこぎ着けられたのは、段ボール素材の柔軟性ゆえだろう。手順を間違えたとしても、段ボールが破れない限りやり直せる。
パーツを組んでいくと、最終的に筒状の「本体」に加えて、望遠鏡先端に位置する「対物部」、目でのぞき込む「接眼部」、三脚やスマホを固定するための「取付台」が完成する。これらを筒状の本体に取り付ければ完成だ。
パッケージを開けてから完成までかかった時間は、約1時間20分。途中途中で写真を撮りながらだったので、手早くやれば1時間前後、ゆっくりでも1時間半~2時間程度で作れるはずだ。
月のクレーターもくっきり
完成の喜びと、本当に使えるかの不安を心に抱きながら夜を待つ。スマホのほかに用意すべきは、望遠鏡本体を固定するための三脚だ。望遠鏡は倍率が高いため、手持ちでは対象物が揺れて観察できない。小さな星などではなおさらだ。三脚はカメラ用のものがそのまま利用できる。
三脚に取り付けたら、本体の上部にある照準を利用し、対象物に方向を合わせる。そして接眼部をのぞき、細かい位置を調整。このとき、対象物は上下左右が反転して映っているので、位置を調整する動きは上下左右が逆向きとなる。最初は戸惑うが慣れるとスムーズに調整できる。
ピントは対物部を前後にスライドさせることで合わせる。このとき、望遠鏡が少し動いてしまうため、ピント合わせは最初に行うとよいだろう。またスマホをセットする際も、三脚が軽いまたはしっかり固定されていないと動いてしまう。
以上を注意すれば、天体観測は簡単だ。月面などはかなりクリアに細かいクレーターまで見ることができる。スマホ(iPhone 6)で撮影した画像を掲載しているが、やはり目視のほうがクリアで解像感が高い。とはいえ、小さな星などは、スマホで撮影してあとから写真を拡大して見る楽しみがある。老眼などで小さな物が見えにくい人でも安心だ。
撮影時に注意したいのは手ブレ。望遠鏡が紙製で振動が伝わりやすいので、連写機能やレリーズなどを用いて手ブレを防ぎたい。また月は結構明るいので、露出を補正する必要がある。何枚か撮ることで適正露出の写真が撮れるだろう。
スマホにより日常的に撮影することが増えたが、天体はスマホの苦手な被写体のひとつ。肉眼できれいな月だなと思ってもスマホではうまく撮れない。この望遠鏡があれば月のクレーターもくっきり写り、天体への興味がわいてくる。まだチャレンジしていないが、土星の輪や木星の衛星も観察できるらしい。
画面での拡大やSNSへの投稿など、スマホで撮影できるメリットは大きい。対象年齢は15歳以上とあるが、望遠鏡の構造も理解できるし、保護者が一緒に扱うのであれば、小さな子どものいる家庭にも最適だろう。月食や流星群など、天体イベントのたびに役立つアイテムとなるだろう。
(写真・文 小口覺)
[日経トレンディネット 2016年5月19日付の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。
関連企業・業界