雑談力を磨いて、「また会いたい」人になる
たかが雑談と侮るなかれ。雑談の仕方を少し変えるだけで、人間関係はもちろん、仕事だってうまくいきます。たった1分で相手の心をつかむコツを専門家が伝授します。
ダラダラ会話はNG、相手の話を上手に引き出して
「雑談を"単なる世間話"や"意味のないムダ話"と思っているなら、それは大きな勘違いです」。そう指摘するのは、『超一流の雑談力』の著者でビジネスコンサルタントの安田正さんだ。
「自分が言いたいことをノープランで話し、なんの実りもないのが世間話。それに対し、会話のなかで相手の情報を得ながら距離を縮め、信頼関係を築くのが雑談です」
人に好印象を与えたり、仕事がスムーズに進んだり、友人や仲間が増えたり。雑談力を磨くことで、さまざまな利点があると安田さんは強調する。では、いったいどうすれば、スキルが身に付くのか。
「ポイントは、『聞く力』です。雑談がうまい人は、みんな例外なく聞き上手。自分が話すよりも、相手から話を聞き出すことに意識を向けること。特に女性は、自分の興味のあることだけを話してしまうケースが多いので注意しましょう」
さらに、雑談を通じて「何を知りたいか」という目的を持って話すことで、"ダラダラ会話"から脱却できる。ここから雑談力アップの方法をレクチャー。「トレーニング次第で、誰でも雑談上手になれますよ」。早速トライしてみよう。
★☆☆Level1
会話が続かない!→「聞く力」を上げる
1.相づちの「さしすせそ」を持つ
「雑談をうまく広げるには、"もっと話したい"と相手に思わせるような相づちが必要」と安田さん。「なるほど」「そうですね」だけでは不十分。話を聞いて自分がどう感じたのかが伝わる言葉を選ぼう。
2.うなずき方にバリエーションをつける
うなずきは、「あなたの話をきちんと聞いていますよ」という意思表示。話の内容や場面に応じてうなずき方に変化をつけながら、「相手の言葉が響いている」という姿勢を見せることで、気持ちよく話してもらえる。
3.「そうですね」プラス一言で会話を続ける
「そうですね」で終えてしまうと、会話の流れを止めてしまう。相手の話に対し、自分の感想や意見、話題にちなんだ情報など、"ちょっとした一言"を足すことで、連想ゲームのように会話をつないでいく。
4.「オウム返し」で質問し、話を深掘りする
相手が出した話題に知らない言葉や分からないことがあれば、「"オウム返し+質問"で、相手の話を促すのが効果的」と安田さん。自分から話題を振らなくても会話が弾むテクニックは、ぜひ覚えておきたい。
★★☆Level2
覚えてもらえない!→ 一言付け加える
1.挨拶+「よろしくお願いします!」で空気が温まる
挨拶は、会話の大切な"つかみ"部分。形式的な言葉で終えず、「よろしくお願いします!」と、笑顔で元気に伝えることで第一印象がぐんとアップ。場を和ませ、スムーズに会話を進めやすくなる効果も。
2.意外性やギャップを見せる
"自分はこういう人間です"という自己開示は、相手との距離を縮めるのに有効。なかでも、意外性やギャップのある情報は、親近感や魅力を感じてもらいやすくなる。うまく活用して自分をアピールしよう。
★★★Level3
相手がつまらなそう…… → ネタを事前に準備
1.20秒なら天気やニュースの話題でOK
ほんの立ち話程度の挨拶なら、当たり障りのない話題を選んでおくのが無難。笑顔で気持ちよくコミュニケーションすることを心がけよう。
2.社内なら、相手の仕事に役立つ情報を「ちょい出し」
人が本当に喜ぶのは、その人にとって実益のあるネタ。自分が直接関わっているからこそ分かる現場の声や情報など、相手にとって価値のあるネタを「ちょい出し」することで、関心を持ってもらいやすい。
3.ジャンル別に「へえ~」ネタを用意しておく
万人の興味を引きやすい雑学ネタを、ジャンル別にいくつか仕込んでおけば、会話が詰まったときに役に立つ。雑談が苦手な人にとっての安心材料にも。使い古したネタは定期的に入れ替えるようにしよう。
4.楽しい席では話を「ちょい盛り」
嘘をつくのはご法度だが、場を盛り上げるために多少大げさに表現するのはアリ。事実をちょっぴり脚色して話すことで、相手の興味をグッと引きつける"トーク上手"に。抑揚をつけて話すと、より伝わりやすい。
5.前回教えてもらったことに触れる
以前会ったことがある人と話すなら、「前回の話を受けて雑談する」ことで距離を縮めよう。特に目上の相手には効果大。「また教えてください」の一言を添えれば印象アップ。継続的な友好関係をつくりやすい。
安田 正さん
パンネーションズ・コンサルティング・グループ代表。早稲田大学理工学術院非常勤講師。企業のコミュニケーションの課題に解決策を提供する。著書『超一流の雑談力』(文響社)がベストセラーに。
(ライター 西尾英子)
[日経ウーマン 2016年5月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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